2024年4月18日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)4/17の欧米マーケット影響
欧州オープン後、154.65へ上昇してからは、林官房長官の円安牽制発言と小林日本商工会議所会頭の円安是正要望発言で下押しするも即全戻しから揉み合い。155円台目前に政府・日銀為替介入警戒感は継続。
NYマーケットに入ると、日米韓共同声明から協調為替介入警戒が一気に高まり日足安値154.16へ急落。米国ベージュブックでの経済拡大小、日米韓会合声明、鈴木財務相・神田財務官の円安牽制発言を受けて引けに掛けて揉み合い。
日足終値154.40

(2)経済指標
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国景気先行指数
・米国中古住宅販売件数

(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

(4)その他
・米国主要企業決算
・中東地政学リスクオフ

【日本株週間展望】続伸、半導体関連の決算に注目-IMFの見通しも(Bloomberg

本日の注目材料は4点。
①政府・日銀口先介入、実介入
4/15米国小売売上高の強い数値で154円台に乗ったことで今までより強い口先介入・実介入への警戒感が高まりました。しかし、ファンダメンタルズに基づくドル円急騰であることから、実介入が実施されてドル円暴落が生じても、押し目買いに機会になりやすいと推測します。

②FRB要人発言
タカ派発言でドル円下げ止まりやドル円上昇、ハト派発言ではドル円下落一時的から押し目買い機会の傾向が継続見込み。

③米国経済指標
「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定しますが、政府・日銀為替介入による一時的な急落には要警戒。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB政策利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいと推測します。

④中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

7:08~要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/112/62/293/74/2, 4/4, 4/18)
:政策スタンスはタカ派。前回4/4タカ派発言。
メスター総裁、利下げを急ぐべきでない-金融政策は良い位置にある(Bloomberg

【考察】タカ派発言

8:23~要人発言
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:1/81/172/32/122/212/273/74/24/5, 4/10, 4/18)
:政策スタンスは中立。前回4/10金融政策に関するコメントなし。
米インフレ抑制、停滞の可能性=ボウマンFRB理事(Reuters

【考察】タカ派発言

東京マーケット(9:00~15:00)

10:31~要人発言
野口日銀審議委員
今後は段階的利上げへ、ペース「かなりゆっくり」-野口日銀委員(Bloomberg

【考察】ハト派発言。

11:15~要人発言
神田財務官
(過去の発言:11/112/212/142/293/53/253/273/294/114/15, 4/17, 4/18)
:前回4/17円安牽制発言
G7が「過度な為替の変動は経済に悪影響」との認識を声明で再確認(Bloomberg

【考察】円安牽制発言

14:14~要人発言
野口日銀審議委員
追加利上げ、今年中に「ないともあるとも言えない」=野口日銀審議委員(Reuters

【考察】ハト派派発言。追加利上げ示唆のタカ派発言が材料視。

14:30 台湾主要企業決算
TSMC
売上高:予想183.1億ドル、結果188.7億ドル(◎)
EPS:予想1.30ドル、結果1.38ドル(◎)
TSMC、1年ぶりの増益-世界的なAIブーム寄与(Bloomberg

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.1万件(改定21.2)、予想21.5万件、結果21.2万件(○)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回181.7万件(改定181.0)、予想181.9万件、結果181.2万件(○)

21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標として注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回3.2(改定-)、予想2.1、結果15.5(◎)

22:05~要人発言
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:1/81/172/32/122/212/273/74/24/5, 4/10, 4/18)
:政策スタンスは中立。前回4/10金融政策に関するコメントなし。

【考察】金融政策に関するコメントなし。

22:27~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/101/172/232/283/13/84/11, 4/15, 4/18)
:政策スタンスは中立。前回4/15タカ・ハト派発言。
NY連銀総裁、利下げの緊急性感じていない-データに基づいて判断(Bloomberg

【考察】タカ派発言。

23:00 経済指標
米国景気先行指数
前月比:前回0.1%(改定0.2)、予想-0.1%、結果-0.3%(×)

23:00 経済指標
米国中古住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として米国新築住宅販売件数とともに重要。
件数:前回483万件(改定)、予想418万件、結果419万件(○)
前月比:前回9.5%(改定-)、予想-4.0%、結果-4.3%(×)

25:03~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/81/181/192/52/92/162/282/293/13/43/254/34/9, 4/12, 4/18)
:政策スタンスはハト派。前回4/12タカ派発言。
アトランタ連銀総裁、年末まで利下げ適切ではない-インフレ鈍化緩慢(Bloomberg

【考察】タカ派発言

27:41~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/53/73/83/123/153/193/213/223/263/273/294/14/24/44/54/94/114/124/154/16, 4/17, 4/18)
鈴木財務相、為替水準は今の金利差のみでつくられているわけではない(Bloomberg

【考察】円安牽制発言。

27:45~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:2/62/92/162/222/293/53/73/123/133/193/213/223/274/44/54/84/9, 4/10, 4/18)
:前回4/10ハト・タカ派発言
無視できない大きさの影響なら政策変更もあり得る=円安で日銀総裁(Reuters

【考察】ドル高牽制発言。

29:03 米国主要企業決算
ネットフリックス
売上高:前回88.3億ドル、予想92.6億ドル、結果億93.78ドル(◎)
EPS:前回2.11ドル、予想4.52ドル、結果5.28ドル(◎)
ネットフリックス、会員数933万人増加-市場予想大きく上回る(Bloomberg

29:18~要人発言
米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:2/52/62/73/64/4, 4/18)
:政策スタンスはタカ派。前回4/4タカ派発言。
米ミネアポリス連銀総裁、年内は金利据え置きの「可能性ある」と示唆(Bloomberg

【考察】タカ派発言

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.40
米国メスター・クリーブランド連銀総裁と米国ボウマンFRB理事のタカ派発言あるも、東京高値154.41に留まり、前日NYマーケット中の日米韓共同声明での為替急変動懸念表明や財務省円安牽制発言の影響引き継ぎや、神田財務官の円安牽制発言を受けて東京安値153.96へ下落。
その後、野口日銀審議委員のハト発言、日本株上昇や原油先物価格軟調が支えとなり154.36へ上昇から、東京引け間際の野口日銀審議委員の追加利上げ示唆タカ派発言が材料視され154.06へ再下落。

きょうの国内市況(4月18日):株式、債券、為替市場(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、政府・日銀為替介入警戒ありながらもじり上げ。米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国フィラデルフィア連銀景況指数の強い数値、米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言でドル円上昇。米国景気先行指数の弱い数値で下押しするもトレンドを変える材料にはなり得ず直ぐに押し目買い入り、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言も加わり、日足高値154.68へ上昇。
引け前に鈴木財務相の円安牽制発言、植田日銀総裁のドル高牽制発言で下押しするも直ぐに押し目買い入り、米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁も出たことで全戻し上昇。
日足終値154.66

【米国市況】国債続落、当局者がタカ派発言-ドル154円台後半に上昇(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・ドル買い優勢
買い:米国メスター・クリーブランド連銀総裁、米国ボウマンFRB理事、米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言。米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国フィラデルフィア連銀景況指数の強い数値
売り:原油先物価格軟調。中国中銀のドル高牽制発言。米国景気先行指数の弱い数値。

中国中銀、過度な為替変動阻止へ-人民元の安定維持方針変わらず(Bloomberg

・円売り優勢
買い:神田財務官の円安牽制発言。野口日銀審議委員のタカ派発言。鈴木財務相の円安牽制発言。植田日銀総裁のドル高牽制発言。原油先物価格軟調(巻き戻し)。
売り:野口日銀審議委員のハト発言。米株上昇リスクオン。

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
5月1日公表:据え置き98.3%
9月18日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ45.1%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

トレード

  • 月足:4月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:4/15週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:4/17陰線。上昇トレンド。政府・日銀の強い口先介入か実為替介入なければ4/18も上昇優勢と推測。
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】

①ロング
(A)4H足押し安値154.259付近へ下落→1H足転換154.47かつ20MAをダウ上昇→目標4H足レンジ高値154.735
(B)4H足レンジ高値154.735をダウ上昇→目標切番155.00

②ショート
(C)4H足レンジ高値154.735付近へ上昇→転換下落→目標1H足レンジ安値154.47
(D)日足安値154.160をダウ下落→目標1H足レンジ安値153.911

4月通算:8勝4敗、勝率66.7%、+61.4pips

(Trading View)

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