ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)4/9の欧米マーケット影響
欧州オープン直後、日足高値151.94を付けると海外勢の152円台トライを警戒してか、鈴木財務相の強い円安牽制発言、更に日銀24年度物価見通し上方修正議論報道を受けて日通し安値151.73へ下落。
NYマーケットオープンすると、株下落・米国債利回り低下、原油先物下落に連れて、日足安値151.57へ急落。
しかしながら、株上昇に転じ、米国3年債入札不調、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言からドル円上昇。総じて、4/10注目の米国消費者物価指数発表前のポジション調整も交錯しドル円乱高下。日足終値151.78
(2)経済指標
・日本国内企業物価
・米国消費者物価指数
・米国10年債入札
・米国FOMC議事要旨
(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人
・日米首脳会談
(4)その他
・五十日仲値
・中東地政学リスクオフ
来週のドル・円は軟調か、米CPIの鈍化予測や中東リスク警戒が重し(Bloomberg)
【債券週間展望】長期金利低下か、需給良好で-利上げ観測はくすぶる(Bloomberg)
【日本株週間展望】続落、米物価指標の上振れ警戒-ファストリ決算も(Bloomberg)
本日の注目材料は4点。
①政府・日銀口先介入
強い円安牽制発言、政府・日銀3者会合報道にも関わらずドル円下落は限定的で押し目狙いの機会になっています。
相場参加者がこのパターンに慣れた頃に、今までより強い牽制発言や報道で大き目のドル円下落に注意が必要ですが、その場合にも押し目買いに機会になる状況は変わらず。
②FRB要人発言
タカ派発言でドル円下げ止まりやドル円上昇、ハト派発言ではドル円下落一時的から押し目買い機会の傾向が継続見込み。
③米国経済指標
最大の注目は米国消費者物価指数発表。初動は「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定しますが、強い数値で一気に154円台に近付くようだと、政府・日銀口先介入や実介入警戒によってドル円急落の可能性が高まります。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB政策利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいと推測します。
④中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50 経済指標
日本国内企業物価
前月比:前回0.2%(改定-)、予想0.4%、結果0.2%(△)
前年比:前回0.6%(改定0.7)、予想0.8%、結果0.8%(○)
東京マーケット(9:00~15:00)
9:08~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:2/6, 2/9, 2/16, 2/22, 2/29, 3/5, 3/7, 3/12, 3/13, 3/19, 3/21, 3/22, 3/27, 4/4, 4/5, 4/8, 4/9, 4/10)
:前回4/9ハト派発言。
円安による輸入物価上昇、基調物価に反映なら政策変更も-日銀総裁(Bloomberg)
【考察】ハト・タカ派発言
9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国消費者物価指数(CPI)(過去の発表日; 4/12, 5/10, 6/13, 7/12, 8/10, 9/13, 10/12, 11/14, 12/12, 1/11, 2/13, 3/12, 4/10)
FRBが金融政策を決定する上で、インフレ変動を把握する重要指標。CPIは米国生産者物価指数(PPI)の川下に相当する指標でPPIより注目度は高い。基調的なインフレを見る上では総合指数よりコア指数が重要。
「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.4%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(○)
前年比:前回3.2%(改定)、予想3.4%、結果3.5%(◎)
コア前月比:前回0.4%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(○)
コア前年比:前回3.8%、予想3.7%、結果3.8%(○)
米コアCPI、3カ月連続で上振れ-米利下げ後ずれの可能性(Bloomberg)
【考察】
発表前:強い数値織り込みでじり上げ。直前151.83
発表後:
強い数値。初動152.52へ急騰から151.99へ急落するも上昇継続。一気に切番153.00直前へ到達したことで戻り売りもありましたが、後述FRB要人タカ派発言などもあり、引け後に日足高値153.24付け。
1990年につけた151.97を上抜け約34年ぶりの円安水準。
21:45~要人発言
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:1/8, 1/17, 2/3, 2/12, 2/21, 2/27, 3/7, 4/2, 4/5, 4/10)
:政策スタンスは中立。前回4/5タカ派発言
【考察】金融政策に関するコメントなし。
25:49~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/3, 1/5, 1/11, 2/7, 2/8, 2/12, 2/16, 2/21, 3/1, 4/4, 4/10)
:政策スタンスはタカ派。前回4/4タカ派発言。
リッチモンド連銀総裁、一部セクターの物価上昇圧力はなお高過ぎる(Bloomberg)
【考察】タカ派発言。ドル円上昇継続。
25:54~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:1/11, 1/12, 1/19, 2/2, 2/5, 2/14, 2/29, 3/1, 3/8, 3/25, 4/4, 4/8, 4/10)
:政策スタンスは中立。前回4/8金利見通しへのコメントなし。
シカゴ連銀総裁、インフレ抑制は道半ば-トレードオフ上昇へ(Bloomberg)
【考察】タカ派発言。ドル円上昇継続。
26:00 経済指標
米国10年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回4.166%、結果4.560%(×)
応札倍率:前回2.51倍、結果2.34倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率:前回64.29%、結果61.8%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+0.9bps、結果+3.1bps(×)
【考察】入札不調。ドル円上昇継続
26:31 報道
イランと代理勢力のイスラエル攻撃、差し迫っていると米判断-関係者(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ悪化
27:00 経済指標
米国FOMC議事要旨
(過去の発表日:4/12, 5/24, 7/5, 8/16, 10/11, 11/21, 1/3, 2/21, 4/10)
FOMCはランオフのペース半減支持、年内利下げ適切-議事要旨(Bloomberg)
【考察】タカ派内容。ドル円上昇継続
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値151.78
オープン直後、株下落リスクオフに連れて東京・日足安値151.68を付けるも、五十日仲値に向けてドル買い需要や株持ち直して東京高値151.82へじり上げ。
きょうの国内市況(4月10日):株式、債券、為替市場(Bloomberg)
欧米マーケット:
本日最も注目の米国消費者物価指数発表は全て予想より強い数値でドル円急騰。一気に152円台乗せ。加えて、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のタカ派発言、米国10年債入札不調、米国FOMC議事要旨のタカ派内容、中東地政学リスクオフ悪化に伴う原油先物価格上昇も後押しし日足高値153.24へ到達
日足終値153.15
【米国市況】ドル153円台突入、CPI予想上振れで-国債利回り急伸(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
・ドル買い優勢
買い:米国消費者物価指数の強い数値。米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のタカ派発言。米国10年債入札不調。米国FOMC議事要旨タカ派内容。原油先物価格上昇。
売り:
・円買い優勢
買い:イランによるイスラエルへのミサイル攻撃切迫報道。株下落リスクオフ
売り:原油先物価格上昇。
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
5月1日公表:25bp引き下げ3.1%、据え置き96.9%
9月18日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ44.9%、据え置き34.1%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
トレード
- 月足:4月陽線形成中。レンジ上限到達
- 週足:4/8週、陽線形成中。レンジ上限到達。
- 日足:4/9十字線。レンジ。4/10もレンジ抜けまで揉み合い優勢と推測。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)1H足押し安値151.443付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値151.579
(B)日足レンジ下限151.350付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値151.579
②ショート
(C)4H足押し安値151.579をダウ下落→転換上昇→目標1H足押し安値151.443
4月通算:4勝0敗、+45.9pips
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