ファンダメンタルズ分析
注目材料
１．経済指標
・日本30年債入札
・米国貿易収支
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・ECB理事会
２．要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ大統領
・FRB
・ラガルドECB総裁
３．その他
・連合、25年春闘の要求集計結果公表
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）
４．参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤円キャリー取引（促進or巻き戻し）に分類できます。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:30)
12:35 経済指標
日本30年債入札（財務省）
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額：9000億円程度
最高落札利回り：前回2.294%、結果2.508%（×）
応札倍率：前回3.74倍、結果3.50倍（×）
テール：前回7銭、結果12銭（×）
【考察】入札不調。
16:00 要人発言
連合の春闘要求32年ぶり６％超え、日銀の早期利上げ観測を後押し（Bloomberg）
【考察】サプライズの強い要求。日銀早期利上げ観測でドル円急落。
欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)
22:15 経済指標
ECB理事会
（過去の速報発表日：6/6, 7/18, 9/12, 10/17, 12/12, 1/30, 3/6)
政策金利：前回3.15%、予想2.90%、結果2.90%（○）
ECB声明：ＥＣＢが再び利下げ、緩和局面は終わりに近づいていると示唆（Bloomberg）
【考察】利下げ終了示唆のタカ派発言
22:52～要人発言
ＥＣＢ理事会後のラガルド総裁発言要旨（Reuters）
22:30 経済指標
米国貿易収支
前回-984億ドル（改定-981）、予想-1288億ドル、結果-1314億ドル（×）
22:30 経済指標
米国非農業部門労働生産性指数確報値
農業部門を除いたモノとサービスを生産する労働者の生産性を把握する指標。
前期比：前回1.2%（改定）、予想1.2%、結果1.5%（◎）
米国単位労働コスト
前期比：前回3.0%（改定）、予想3.0%、結果2.2%（×）
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回24.2万件（改定）、予想23.5万件、結果22.1万件（◎）
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回186.2万件（改定185.5）、予想187.8万件、結果189.7万件（×）
22:45～要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁（2025年FOMC投票権なし）
（過去の発言：1/9, 2/17, 2/27, 3/6）
：政策スタンスはハト派。前回2/27タカ派発言
フィラデルフィア連銀総裁、インフレ圧力強まる－目標への進展脅かす（Bloomberg）
【考察】タカ派発言
24:05～要人発言
米国ラトニック商務長官
トランプ関税、ＵＳＭＣＡ準拠品全ての適用延期する公算大－商務長官（Bloomberg）
【考察】3/5自動車のみ対象から大幅拡大で貿易戦争緩和。リスクオン米国株上昇に連れてドル円急騰。
25:30～要人発言
米国トランプ大統領
「メキシコUSMCA準拠品、4/2まで関税免除」
【考察】対加関税免除への言及なく、失望・警戒感からドル円再下落。
26:15 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now（US Atlanta Fed）（Investing.com）
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
（発表日：2/28, 3/3, 3/6, 3/17, 3/18, 3/26, 3/28）
Q1：前回-2.8%、予想-2.8%、結果-2.4%（◎）
28:47～要人発言
米国トランプ大統領：
「加・メキシコUSMCA準拠品、4/2まで関税免除」
「鉄鋼とアルミニウムへの関税、来週発効」
米の対カナダ・メキシコ関税、ＵＳＭＣＡ準拠品は４月２日まで延期（Bloomberg）
【考察】メキシコだけでなく加関税免除となりましたが、鉄鋼とアルミニウムへの関税発言でドル円揉み合い。
29:27～要人発言
米国ウォラーFRB理事
（過去の発言：2/6, 2/13, 2/18, 3/6）
：政策スタンスは中立。前回2/18タカ派発言
ウォラーＦＲＢ理事、年内になお２回ないし３回の利下げ余地も（Bloomberg）
【考察】利下げ前向きのハト派発言
＜まとめ＞
東京マーケット
日足始値148.85
東京オープン後に日通し安値148.73を付けると、3/5までの材料（3/4独メルツ次期大統領「債務抑制策緩和」発言影響、米国ISM非製造業景気指数・仕入価格・新規受注・雇用サプライズ（強）、ホワイトハウス「交渉確定ならウクライナ支援再開」、「米国、対加・メキシコ自動車関税の１か月先送り」、ホワイトハウス「トランプ大統領、関税適用免除の要請にオープン」発言、米国ベージュブック「経済活動上向き」内容）を受けた日本株上昇に連れて、日足高値149.34へ上昇。
一方、3/4独メルツ次期大統領「債務抑制策緩和」発言影響を受けた欧米国債利回りに連れた日本国債利回り上昇や日本30年債入札（弱）で148.77へ下落して引けました。
【日本市況】長期金利が16年ぶり1.5％、ドイツ財政拡大で－株価続伸（Bloomberg）
欧米マーケット
欧州オープン直前、連合「春闘賃上げ要求32年ぶり６％超」のサプライズを受けてドル円急落。欧州オープン後もこの影響引き継いで日足安値147.31へ急落。
しかし、米国ラトニック商務長官「関税猶予、USMCA全製品対象の可能性」発言を受けるとリスクオン米国株上昇に連れて148.39へ急騰。
ところが、米国トランプ大統領「メキシコUSMCA準拠品、4/2まで関税免除」発言で対加関税免除の言及なく失望・警戒感からドル円再下落。
その後、米国トランプ大統領「加・メキシコUSMCA準拠品、4/2まで関税免除」「鉄鋼とアルミニウムへの関税、来週発効」発言でドル円揉み合いで引けました。
日足終値147.99
【米国市況】株が大幅安、関税注視で変動大きく－ドル148円近辺（Bloomberg）
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
＜ドル売り優勢＞
買い材料：
・米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言
売り材料：
・3/4独メルツ次期大統領「債務抑制策緩和」発言影響→独財政拡張期待→ユーロ買いドル売り
・米国ウォラーFRB理事のハト派発言
・3/3OPECプラス「４月から生産量引き上げ」発表影響→原油先物価格下落→インフレ懸念後退
＜円買い優勢＞
買い材料：
・3/4独メルツ次期大統領「債務抑制策緩和」発言影響→独財政拡張期待→欧米国債利回り上昇に連れた日本国債利回り上昇
・日本30年債入札（弱）
・連合「春闘賃上げ要求32年ぶり６％超」のサプライズ→日銀早期利上げ観測
・米国トランプ大統領「メキシコUSMCA準拠品、4/2まで関税免除」発言で対加関税免除の言及なし→失望でリスクオフ米国株下落（円キャリー巻き戻し）
・原油先物価格下落→日本貿易収支改善
売り材料：
・米国ラトニック商務長官「関税猶予、USMCA全製品対象の可能性」→3/5自動車対象から大幅拡大で貿易戦争緩和→リスクオン米国株上昇（円キャリー促進）
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96（日本銀行、短観）以上推移→日本企業業績改善・株上昇（円キャリー促進）
・構造的円売り（日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増）
・その他円売り（航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念）
政策金利市場織り込み
・FRB：現行政策金利4.25-4.50%
FOMC市場織り込み（CME FedWatch Tool）
次回3月19日（水）公表：据え置き（94.0→91.0%）、0.25%引き下げ（6.0→9.0%）
2025年利下げ観測：0.25%×2回=0.50% → 政策金利3.75～4.00%相当
・日銀：現行政策金利0.50%
市場織り込み（東京短資株式会社）
次回3月19日（水）公表：0.25%引き上げ（1→1%）
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足：3月陰線形成中。レンジ。押し安値かつ20MA付近。
- 週足：3/3週、陰線形成中。下降トレンド。押し安値ヒゲ先付近。
- 日足：3/5陰線。下降チャネル。押し安値付近。
- 4H足：レンジ。
- 1H足：レンジ。
- 15M足：上昇チャネル。
【シナリオ】
①Long
(A)日足高値149.095をダウ上昇→目標1H足戻り高値149.515
②Short
(B)1H足レンジ安値148.785をダウ下落→目標1H足レンジ安値148.474
本日：１勝１敗、+9.2pips
3月通算：3勝3敗、勝率50.0%、RR1.94 、+46.6pips
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