2024年10月17日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本通関ベース貿易収支
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国小売売上高
・米国鉱工業生産指数、米国設備稼働率
・米国アトランタ連銀GDP Now
・ECB理事会

2.要人発言
・政府日銀円安牽制発言
・FRB
・ラガルドECB総裁

3.その他
・台湾主要企業決算
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

5.本日の注目材料

(1)米国経済指標
注目は、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数と米国小売売上高です。
2024年9~10月、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数発表日のドル円動きまとめ
2024年、米国小売売上高発表日のドル円動きまとめ

(a)米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強)と小売売上高(強)→ドル円急騰
(b)米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(弱)と小売売上高(弱)→ドル円急落
(c)米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数と小売売上高が強弱交錯→初動ドル円乱高下。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支(輸出額から輸入額を差し引いた収支)
貿易赤字拡大は実需の円売り材料。
季調前:前回-6953億円(改定-7032)、予想-3100億円、結果-2943億円(◎)
季調済:前回-5959億円(改定-4720)、予想-5150億円、結果-1872億円(◎)

【考察】強い数値。ドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

11:01~要人発言
中国、不動産の未完成プロジェクトへの支援を84兆円相当に拡大へ(Bloomberg
中国株下落、調整局面入り-政府の記者会見に再び失望(Bloomberg

【考察】中国景気回復期待で日本株下げ止まるも、記者会見の期待外れで中国株下落に連れて日本株再下落。ドル円乱高下。

14:40 台湾主要企業決算
TSMC
売上高:予想2993億台湾ドル、結果3253億台湾ドル(◎)
EPS:予想11.55台湾ドル、結果12.54台湾ドル(◎)
TSMC、24年売上高見通し引き上げ-来年は設備投資増の公算大(Bloomberg

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:15 経済指標
ECB理事会
(過去の速報発表日:1/253/74/116/6, 7/18, 9/12)
政策金利:前回3.65%、予想3.40%、結果3.40%(○)
ECB声明:ハト>タカ派
ECB、2会合連続で利下げ-悪化する経済下支え(Bloomberg

【考察】予想通り0.25%利下げ。公表はサプライズなくドル円反応薄。

21:50~要人発言
ラガルドECB総裁
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨(Reuters

【考察】ハト派、景気減速懸念発言

21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回1.7(改定-)、予想3.0、結果10.3(◎)

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回25.8万件(改定26.0)、予想25.7万件、結果24.1万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回186.1万件(改定185.8)、予想186.4万件、結果186.7万件(×)

【考察】強弱混在。

21:30 経済指標
米国小売売上高
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。特にコア指数が重要視されます。
(過去の発表日; 1/172/153/144/155/156/187/168/15, 9/17, 10/17)
前月比:前回0.1%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(◎)
コア前月比:前回0.1%(改定0.2)、予想0.1%、結果0.5%(◎)
米小売売上高、9月は予想を上回る伸び-個人消費の堅調さ示す(Bloomberg

【考察】
発表前:直前149.54。
発表後:強い数値。同刻発表の米国新規失業保険申請件数(強)・失業保険継続申請件数(弱)混在、米国フィラデルフィア連銀景況指数(強)。総じて強く日足高値150.083へ急上昇。

22:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回0.8%(改定)、予想-0.1%、結果-0.3%(×)

米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回78.0%(改定)、予想77.9%、結果77.5%(×)

【考察】弱い数値。ドル円下落。

24:00~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言: 10/310/4, 10/10, 10/17)
:政策スタンスは中立。前回10/10ハト派発言

【考察】金融政策や経済見通しについてはコメントなし

25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q3:前回3.2%、予想3.2%、結果3.4%(◎)

【考察】強い数値。ドル円上昇継続

29:04 米国主要企業決算
ネットフリックス
売上高:前回95.6億ドル、予想97.7億ドル、結果98.2億ドル(◎)
EPS:前回4.88ドル、予想5.12ドル、結果5.40ドル(◎)
【決算速報】ネットフリックス、売上高は予想を上回り、利益は予想を上回る結果に(Investing.com

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値149.60
取引開始直後に日通し高値149.67を付けてからは、前日米国株上昇の影響を引き継がず日本株下落に連れて日足安値149.24へ下落。

中国政府の不動産支援拡大表明で日本株下げ止まるとドル円上昇するも、記者会見は期待外れと判断され中国株下落。一方、TSMC決算(強)も交錯してドル円揉み合いで引けました。

【日本市況】株式が続落、半導体関連の業績懸念続く-超長期債が上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後は、ECB理事会利下げ期待の欧州株上昇に連れて日通し高値149.87へ上昇。しかしながら、ECB理事会公表や米国経済指標を控えて、150円台トライ材料にはなれず149.49へ急落の乱高下。

ECB理事会公表は予想通りの利下げでサプライズなくドル円反応薄でしたが、直後の米国小売売上高(強)、米国新規失業保険申請件数(強)、米国フィラデルフィア連銀景況指数(強)を受けて日通し高値150.083へ急上昇しました。8/1(木)以来の150円台。

切番150.00ではロング勢利確や戻り売り勢も強く、更に米国鉱工業生産指数,設備稼働率(弱)を受けて149.65へ下押し。

しかし、米国ソフトランディング期待、更に米国大統領選挙のトランプ氏優勢からトランプトレードの復活も加わり、米国株上昇や米国10年債利回り上昇に連れて再び150円台乗せから日足高値150.32へ上昇して引けました。
日足終値150.22

【米国市況】円下落、対ドル150円台-強い経済統計で米利下げ観測後退(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国小売売上高(強)、米国新規失業保険申請件数(強)、米国フィラデルフィア連銀景況指数(強)、米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・トランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)影響:Real Clear Politicsの大統領勝利確率は、トランプ氏58.1%、ハリス氏40.9%。

売り材料:
・米国失業保険継続申請件数(弱)、米国鉱工業生産指数,設備稼働率(弱)

<円売り優勢>
買い材料:
・日本通関ベース貿易収支(強)→日銀早期追加利上げ観測
・中国政府:不動産支援拡大表明会見失望→日本株下落(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・中国政府:不動産支援拡大表明→日本株上昇(円キャリー促進)
・TSMC決算(強)→日本株上昇
・ECB理事会利下げ→欧州株上昇
・米国小売売上高(強)、米国新規失業保険申請件数(強)、米国フィラデルフィア連銀景況指数(強)、米国アトランタ連銀GDP Now(強)→米国ソフトランディング観測→米国株上昇
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回11月7日(木)公表:据え置き6.3→9.8%、25bps引き下げ93.7→90.2%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:10月陽線形成中。レンジ。20MA付近。
  • 週足:10/14週、陽線形成中。レンジ。戻り高値付近
  • 日足:10/16陽線。上昇チャネル。
  • 4H足:上昇チャネル。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足押し安値149.452付近へ下落→転換上昇→目標4H足レンジ高値149.743
(B)4H足レンジ高値149.935をダウ上昇→目標1H足戻り高値150.220

②Short
(C)1H足戻り高値150.220付近へ上昇→転換下落→目標4H足レンジ高値149.935
(D)4H足レンジ安値149.075をダウ下落→目標4H足押し安値148.460

本日:2勝0敗、+43.3pips
10月通算:13勝9敗、勝率59.1%、RR1.98 、+186.6pips

(Trading View)

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