ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本国内企業物価
・日本20年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国生産者物価指数(PPI)
・米国30年債入札
・ECB理事会
2.要人発言
・田村日銀審議委員
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(FOMC開催前週の土曜日から公表翌日までの13日間:9/7~9/19)につき
・ラガルドECB総裁
3.その他
・メジャーSQ前日調整
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・【債券週間展望】長期金利は低下か、米利下げ確実-日銀利上げは先に(Bloomberg)
・【日本株週間展望】メジャーSQ控え荒い値動き、米景気不透明さ残る(Bloomberg)
・来週の円相場は上昇か、米大幅利下げ観測くすぶりドル売り圧力(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)9/11(水)マーケット影響
米国消費者物価指数(強)を受けて、市場はFRB9月0.25%利下げと判断。0.5%利下げ織り込み剥落。同時に懸念された高金利長期化・景気減速懸念リスクオフは一時的に留まり、リスクオン(株買い、債券売り、ドル買い・円売り)が優勢となり、乱高下のドル円上昇となりました。
本日、この影響を引き継いでチャネル状のドル円上昇スタートを想定します。
(2)米国経済指標
本日最大の注目は、米国生産者物価指数です。(2024年、米国生産者物価指数発表日のドル円動きまとめ)。
本日の米国生産者物価指数も、米国消費者物価指数同様に初動は数値の強弱で素直にドル円反応しても、以降は乱高下する可能性に警戒が必要と考えます。
(a)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→高金利長期化、景気減速懸念→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→景気減速懸念後退→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
7:16 要人発言
防衛省
北朝鮮が複数発の弾道ミサイル発射 EEZ外に落下推定(日本経済新聞)
【考察】地政学リスクオフ
8:50 経済指標
日本国内企業物価
前月比:前回0.3%(改定0.5)、予想0.0%、結果-0.2%(×)
前年比:前回3.0%(改定)、予想2.9%、結果2.5%(×)
企業物価指数、8月2.5%上昇 8カ月ぶりに伸び鈍化(日本経済新聞)
【考察】サプライズ弱。ドル円上昇。
東京マーケット(9:00~15:00)
10:05~要人発言
田村日銀審議委員(挨拶)
見通し期間後半に少なくとも1%まで利上げ必要=田村日銀審議委員(Reuters)
【考察】2026年度まで中立金利1%、と具体的な利上げペースを日銀政策委員として初めて言及したタカ派発言。ドル円下落。
12:35 経済指標
日本20年債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:1兆円程度
最高落札利回り:前回1.717%、結果%1.703(◎)
応札倍率:前回3.42倍、結果3.47倍(◎)
テール:前回17銭、結果20銭(×)
【考察】強弱混在するも、テール拡大が材料視されて市場は入札不調と判断。
14:41~要人発言
田村日銀審議委員(会見)
市場動向に十分配意しつつ、適時かつ段階的に利上げ必要-田村日銀委員(Bloomberg)
【考察】午前中よりタカ派発言トーンは低下。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:15 経済指標
ECB理事会
(過去の速報発表日:6/15, 7/27, 9/14, 10/26, 12/14, 1/25, 3/7, 4/11, 6/6, 7/18)
政策金利:前回4.25%、予想3.65%、結果3.65%(〇)
ECB声明:GDP予想下方修正、コアインフレ予想上方修正
ECBが追加利下げ、予想通り-インフレ率低下と景気低迷を受け(Bloomberg)
21:50~要人発言
ラガルドECB総裁
ECB次回利下げはいつか、ラガルド氏ヒント示さずーデータ待ち強調(Bloomberg)
【考察】予想通り政策金利引き下げ。景気減速懸念あるも今後の利下げはデータ次第。
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回22.7万件(改定22.8)、予想23.0万件、結果23.0万件(〇)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回183.8万件(改定184.5)、予想185.0万件、結果185.0万件(○)
21:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)
(発表日; 1/12, 2/16, 3/14, 4/11, 5/14, 6/13, 7/12, 8/13, 9/12)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.1%(改定0.0)、予想0.2%、結果0.2%(〇)
前年比:前回2.2%(改定2.1)、予想1.8%、結果1.7%(×)
コア前月比:前回0.0%(改定-0.2)、予想0.2%、結果0.3%(◎)
コア前年比:前回2.4%(改定2.3)、予想2.5%、結果2.4%(△)
米PPI、8月は伸びが市場予想やや上回る-前月分は下方修正(Bloomberg)
【考察】
発表前:1H足上昇チャネルの揉み合い。直前142.35。
発表後:米国生産者物価指数(強弱混在)。
同刻発表の米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(強)
・初動下落:リスクオフ(株売り、債券買い、ドル売り、円買い)となり、日通し安値141.91へ下落。
・急上昇、下落:米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(強)から景気減速懸念後退リスクオン(株買い、債券売り、ドル買い、円売り)が強まり全戻し上昇するも、リスクオン・オフ交錯からドル円乱高下。前日米国消費者物価指数発表後の同じく方向感ない動き。
26:00 経済指標
米国30年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):220億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.314%、結果4.015%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.31倍、結果2.38倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回65.32%、結果68.7%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+3.1bps、結果+1.4bps(◎)。4.015-4.001=0.014
WI:4.001%
【考察】入札好調
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値142.33
取引開始後、日通し安値142.23を付けると、前日米国消費者物価指数(強)の影響継続、日本国内企業物価(弱)、日米金利差縮小後退を好感したリスクオン(株買い、円売り)に連れて、日通し高値142.95へ上昇。
その直後、田村日銀審議員から具体的な利上げペースのタカ派発言が出たことで142.26へ急落するもリスクオン影響と交錯し、日通し安値14.23~日通し高値142.95間のレンジ推移となりました。
(日足BB-1σや4H足レンジ安値付近で、1H足上昇チャネル形成)
【日本市況】株式が大幅反発、米大幅利下げ観測後退で円高一服(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後、9/10~11と同じくリスクオンで日足高値143.04へ上昇。
一方で、ECB理事会や米国経済指標を控えて、上値を積極的に切番143.00抜け狙いの動き見られず。
米国生産者物価指数(強弱混在)、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(強)となり、初動はリスクオフ(株売り、債券買い、ドル売り、円買い)で日通し安値141.91へ下落。
しかし、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(強)から景気減速懸念後退リスクオン(株買い、債券売り、ドル買い、円売り)が強まり全戻し上昇するも、リスクオン・オフ交錯からドル円乱高下。9/11米国消費者物価指数発表後の同じく方向感ない動き。
その後、米国30年債入札(強)をきっかけにFRB9月0.5%利下げ織り込みが再び進み、引け直前に日足安値141.73を付けました。
日足終値141.82
【米国市況】主要株価指数が軒並み高い、円は対ドルで141円台に上昇(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・9/11米国消費者物価指数(強)→FRB9月0.5%利下げ観測後退
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数(強)
・原油先物価格上昇
売り材料:
・米国30年債入札(強)
<円売り優勢>
買い材料:
・田村日銀審議委員のタカ派発言
・日本20年債入札(弱)
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・9/11米国消費者物価指数(強)→FRB9月0.5%利下げ観測後退→日米金利縮小後退→日本株上昇(円キャリー促進)
・日本国内企業物価(弱)
・原油先物価格上昇
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ86.0→69.0%、50bps引き下げ14.0→31.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陰線形成中。上昇チャネル。押し安値140.76付近
- 週足:9/9週、コマ足形成中。下降トレンド。押し安値140.76付近
- 日足:9/11下ヒゲピンバー。下降チャネル下限付近。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)4H足ダウ安値141.939付近へ下落→転換上昇→目標4H足戻り高値142.463
(B)4H足戻り高値142.463かつ4H足20MAをダウ上昇→目標4H足レンジ安値142.870
②Short
(C) (A)後、4H足戻り高値142.463かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ安値141.939
(D)4H足ダウ安値141.939かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足レンジ安値141.421
本日:1勝0敗、+27.2pips
9月通算:10勝7敗、勝率58.8%、RR2.08 、+137.8pips
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