2024年6月6日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日本30年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国貿易収支
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値
・米国アトランタ連銀GDP Now
・ECB理事会

(2)要人発言
・中村日銀審議委員発言
・政府日銀円安牽制
・FEDウォッチャーであるWSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(6/1~6/13)につき。
・ラガルドECB総裁

(3)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
来週のドル・円、米雇用統計に向け強含みか-157円台なら介入警戒も(Bloomberg
【日本株週間展望】足踏み続く、国内外の金融政策の方向性を見極め(Bloomberg

本日の注目材料は3点。

①6/5(水)経済指標の影響継続
NYマーケットでは
・米景気好調→ドル買い
・米国債利回り低下→ドル売り
・米国債利回り低下→リスクオン株上昇→円売り
が交錯してドル円上昇から揉み合いとなりましたが、リスクオン日本株上昇で円売り加速ならドル円上昇。ドル売りが進んでもドル円下落は一時的で押し目買いが入りやすいと推測します。

②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
政府・日銀為替介入が実施される可能性低いですが、再び156円台に乗ったことで円安牽制発言が想定されます。
また、6/4(火)には日本政府の骨太方針で円安影響に言及報道、日銀6月会合での国債購入減額検討報道が出ており、6/14(金)日銀会合を控えて引き続き日銀早期金融政策正常化観測に関する要人発言やリーク報道のヘッドラインも想定されます。
但し、サプライズの内容でなければ下落が生じても押し目買い機会になると考えます。

③米国経済指標
雇用と賃金インフレ関連の注目度が高い指標が発表されます。
初動は「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きが想定されますが、明日の米国雇用統計を控えて大きな動きは出にくいと想定します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

10:31~要人発言
中村日銀審議委員
(過去の発言:11/30, 6/6)
:前回11/30ハト派発言
来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員(Bloomberg

【考察】金融緩和継続支持のハト派発言。ドル円上昇

12:35 経済指標
日本30年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回2.008%、結果2.161%(×)
応札倍率:前回3.25倍、結果3.59倍(◎)
テール:前回30銭、結果9銭(◎)

【考察】総じて入札好調。ドル円上昇。

13:35~要人発言
植田日銀総裁(参議院財政金融委員会)
(過去の発言:5/75/85/95/175/235/255/27, 6/4, 6/6)
:前回6/4タカ・ハト派発言
国債買い入れ、出口進める中で減額が適当と考えている-植田日銀総裁(Bloomberg

【考察】国債買入減額のタカ派発言、利上げ慎重姿勢のハト派発言。ドル円乱高下から上昇。

14:45~要人発言
中村日銀審議委員
(過去の発言:11/30, 6/6)
:前回11/30ハト派発言
来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員(Bloomberg

【考察】利上げ否定のハト派発言、円安牽制発言。ドル円乱高下から上昇。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.9万件(改定22.1)、予想22.0万件、結果22.9万件(×)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回179.1万件(改定179.0)、予想178.9万件、結果179.2万件(×)

21:30 経済指標
米国貿易収支
前回-694億ドル(改定-)、予想-750億ドル、結果-746億ドル(○)

21:30 経済指標
米国非農業部門労働生産性指数確報値
農業部門を除いたモノとサービスを生産する労働者の生産性を把握する指標。
前期比:前回0.3%(改定)、予想0.3%、結果0.2%(×)

米国単位労働コスト
前期比:前回4.7%(改定)、予想4.7%、結果4.0%(×)

【考察】雇用と賃金が総じて弱い数値。初動ドル売りのドル円下落から、リスクオン円売りで上昇の乱高下。

21:15 経済指標
ECB理事会
(過去の速報発表日:6/157/279/1410/2612/141/253/7, 4/11, 6/6)
政策金利:前回4.50%、予想4.25%、結果4.25%(○)
ECB声明:24年、25年インフレ見通し上方修正。追加利下げ示唆なし。

21:50~要人発言
ラガルドECB総裁
ECB、金融緩和を米英に先駆け開始-追加利下げ見通しは示さず(Bloomberg
【ECB】タカ派的な緩和、政策の方向性は不透明-市場関係者の見方(Bloomberg

【考察】前日のカナダ中銀に続き、予想通りの利下げ。しかし追加利下げ示唆なし。市場は政策の方向性が不透明と判断。

23:20 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 5/245/31, 6/3, 6/6, 6/7)
Q2:前回1.8%、予想1.8%、結果2.6%(◎)

【考察】強い数値。ドル円上昇。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.11
取引開始直後から、6/5(水)米国ADP雇用者数(弱)、米国ISM非製造業仕入価格(弱)・雇用(弱)、カナダ中銀政策金利利下げ・追加利下げ示唆の波及影響継続のドル売り主導で東京安値155.36へ急落。

しかし、中村日銀審議委員のハト派発言、日本30年国債入札(強)、植田日銀総裁のタカ・ハト派発言を受けてリスクン株上昇の円売りドル買いが強まり、切番155.50や1H足押し安値155.48付近がサポートとなって、東京高値155.96へ上昇しました。

【日本市況】長期金利の低下鮮明、米利下げ観測で-株は3日ぶり反発(Bloomberg

欧米マーケット:
6/5(水)と同様、東京クローズから欧州オープン後も上昇継続。リスクオン欧州株上昇に連れて、日通し高値156.38へ上昇。

その後、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(弱)・米国非農業部門労働生産性指数・単位労働コスト確報値(弱)を受け155.90へ下押し。

しかし、ECB理事会・ラガルド総裁会見は予想通り利下げも追加利下げ示唆なく、政策の方向性が不透明との市場の見方にドル円も振らされ、日足高値156.45へ上昇してから乱高下。
乱高下が一服後、ECB利下げの波及と米国経済指標(弱)が改めて材料視されて引けに掛けて下落となりました。
日足終値155.62

【米国市況】雇用統計前で慎重、株は小動き-ドルは軟調155円台半ば(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・6/5(水)米国PMI確報値(強)、米国ISM非製造業景気指数(強)、新規受注(強)の影響継続
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・米雇用者数の伸び、発表値より弱かった可能性-統計局データが示唆(Bloomberg
・原油先物価格上昇→インフレ懸念

売り材料:
・6/5(水)米国ADP雇用者数(弱)、米国ISM非製造業仕入価格(弱)、雇用(弱)の影響継続
・6/5(水)カナダ中銀政策金利利下げ・追加利下げ示唆の波及影響継続
リスクオン米株上昇
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数(弱)
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値(弱)
・ECB理事会利下げの波及

<円買い優勢>
買い材料:
・植田日銀総裁のタカ派発言
・日銀審議委員の円安牽制発言

売り材料:
・6/5(水)米国ADP雇用者数(弱)、米国ISM非製造業仕入価格(弱)、雇用(弱)の影響継続→リスクオン日本株上昇
・6/5(水)カナダ中銀政策金利利下げ・追加利下げ示唆の波及影響継続→リスクオン日本株上昇
・中村日銀審議委員、植田日銀総裁のハト派発言
・日本30年国債入札(強)
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回6月12日公表:25bp引き下げ2.5%、据え置き97.5%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ56.9%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/3週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/5陽線。レンジ
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足三尊肩156.033付近へ下落→転換上昇→目標日足高値156.484
(B)日足高値156.484をダウ上昇→目標日足ダウ安値156.814

②Short
(C)日足高値156.484付近へ上昇→転換下落かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値155.740

6月通算:4勝2敗、勝率66.7%、+75.3pips

(Trading View)

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