2024年6月13日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国生産者物価指数
・米国30年債入札

(2)要人発言
・政府円安牽制
・日銀金融政策決定会合(ブラックアウト期間6/11~)
・FRB要人発言
・イエレン財務長官発言

(3)その他
・メジャーSQ前日調整
・日銀会合関連リーク報道
・G7首脳会議(6/13~6/15)
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

本日の注目材料は4点。
①6/12(水)米国消費者物価指数、FOMC・パウエルFRB議長会見の影響
米国消費者物価指数サプライズ(弱)にも関わらず、FOMC・パウエルFRB議長会見がタカ派だったことで、一旦深めの戻しが生じても押し目買い入りやすくドル円上昇展開を想定します。

②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
政府・日銀為替介入が実施される可能性低いですが、157円台直前まで戻ったことで円安牽制発言が想定されます。
また、6/4(火)日本政府の骨太方針で円安影響に言及報道、6/4(火),6/10(月)日銀6月会合での国債購入減額検討報道、6/12(水)日銀会合での保有国債減額検討報道が出ました。
引き続き、6/14(金)日銀会合での早期金融政策正常化観測に関する要人発言やリーク報道が想定されます。
但し、サプライズの内容でなければ下落が生じても押し目買い機会になると考えます。

③独・仏政情不安リスクオフ影響
6/10「独・仏政情不安→リスクオフ欧州株下落→ドル円小幅下落」、6/11「仏マクロン大統領辞任の可能性報道(直後に否定)→リスクオフ欧州株下落→ドル円下落」が生じました。
本日も追加のサプライズ報道や要人発言が伝わる可能性があるため、ヘッドラインに警戒したい。

④米国生産者物価指数
直近6回のドル円動き。
12/13(水)、弱い数値→ドル円下落。下落トレンド発生。
発表前:弱い数値期待織り込みでドル円じり下げ。
発表後:総じて弱い数値。今後の米国消費者物価指数低下の期待もありドル円下落。11月発表と異なり素直な動き。

1/12(金)、弱い数値→ドル円急落から揉み合い。トレンド材料になれず。
発表前:強い数値への期待織り込みや地政学リスクオフ悪化による原油先物価格上昇に連れてドル円上昇。直前145.43
発表後:総じて弱い数値でドル円急落し日足安値144.35を付けましたが、日足サポート144.63付近でのショート勢決済や押し目買いも入り上昇して引け。米国三連休前でショート勢決済も入ったためと推測。

2/16(金)、強い数値→上昇から全戻し。トレンド材料になれず。
発表前:揉み合いから強い数値期待の上昇。直前150.35
発表後:全て強い数値で日足高値150.65へ急上昇。しかし、同刻発表の米国住宅着工、住宅建築許可件数は弱く揉み合い展開から全戻し下落。米国三連休前にロング勢ポジション調整の可能性あり。更に151円手前では政府日銀為替介入警戒感も高まる様子。


3/14(木)、強い数値→上昇から日銀観測報道で急落後、上昇トレンド発生。
発表前:弱い数値期待織り込みでドル円じり下げ。直前147.75。
発表後:強い数値で初動147.99へ上昇するも、同刻発表の米国小売売上高の弱い数値もあり、147.57へ急落。しかし、強い数値には変わりなく日通し高値148.04再上昇。
日銀マイナス金利解除調整報道により日足安値147.43へ急落するも、マイナス金利解除は織り込み済みであり押し目買いの機会となり日足高値148.36へ急上昇。

4/11(木)、強弱混在→下落から急騰の乱高下。トレンド材料になれず。
発表前:高値警戒感からじり下げ。直前153.13。
発表後:強弱混在。初動は総合の弱い数値を受けてドル円下落するも、総合より注目度の高いコア指数の強い数値の影響や、ECB理事会ハト派姿勢のユーロ売りドル買い、FRB要人の相次ぐタカ派発言もあり全戻し上昇。

5/14(火)、強い数値→上昇から急落の乱高下。トレンド材料になれず。
発表前:5/2日足高値・4H足戻り高値156.26付近へレジサポから強い数値期待じり上げ。直前156.45。
発表後:強い数値。初動日足高値156.78到達。しかし、総合・コア前月比前回値の大幅下方修正や米国PCE価格指数の算出に用いられる主要カテゴリーは比較的落ち着いているとの観測が材料視され、加えて一気に4H足押し安値156.71へ急騰したことでロング勢決済や戻り売りも強く乱高下。

初動は素直なドル円の動きを示していますが、サプライズでない限り直ぐに決済が入りやすくトレンド材料になりにくいと想定します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

20:43~要人発言
米国イエレン財務長官
(過去の発言:4/25, 5/4, 5/135/21, 5/23, 6/13)
:前回5/23為替介入牽制発言。4/25から数えて4回目
イエレン米財務長官、企業の競争欠如がインフレの一因になったと示唆(Bloomberg

【考察】金融政策に関するコメントなし。

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回22.9万件(改定)、予想22.5万件、結果24.2万件(×)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回179.2万件(改定179.0)、予想179.5万件、結果182.0万件(×)

21:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)
(発表日; 6/147/138/119/1410/1111/1512/131/122/163/144/11, 5/14, 6/13)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」

前月比:前回0.5%(改定-)、予想0.1%、結果-0.2%(×)
前年比:前回2.2%(改定2.3)、予想2.5%、結果2.2%(△)
コア前月比:前回0.5%(改定-)、予想0.3%、結果0.0%(×)
コア前年比:前回2.4%(改定2.5)、予想2.5%、結果2.3%(×)
米PPI、5月は前月比で予想外の低下-前年比やコアも減速(Bloomberg

【考察】
発表前:前日FOMC・FRB議長会見タカ派の影響により欧州株下落しながらも、タカ派のドル買い円売り続きじり上げ。直前157.05
発表後:総じて弱い数値(対予想は全て弱い。対前回は前年比のみ同等、他は全て弱い)
同刻発表の米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(弱)もあり、初動急落し日足安値156.58付け。前日FOMC・パウエルFRB議長会見タカ派の影響強く、一気に4H足押し安値156.63到達したことで押し目買い入り全戻し。
しかし、157.27へまで戻ると、一気に4Hダウ高値157.25到達からの戻り売り入り再び全戻し。

26:00 経済指標
米国30年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):220億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.635%、結果4.403%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.41倍、結果2.49倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回64.86%、結果68.5%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.7bps、結果-1.5bps(◎)

【考察】入札好調。ドル円下落

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.73
取引開始直後に日通し安値156.59を付けてからは、6/12(水)米国消費者物価指数サプライズ(弱)とFOMC・FRB議長会見タカ派の影響が交錯し、リスクオフ日本株下落が生じたものの、タカ派のドル買い円売り強く、揉み合いながら東京高値157.19へ上昇。

【日本市況】長期金利低下、米インフレ鈍化-円安定で日銀警戒も後退(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、FOMC・FRB議長会見タカ派の影響により欧州株下落しながらも、タカ派のドル買い円売り続き、日足高値157.31(米国消費者物価指数下落起点157.21超え、4H足戻り高値157.30付近)へ上昇。
米国生産者物価指数サプライズ(弱)、かつ同刻発表の米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(弱)。初動日足安値156.58へ急落するも、前日FOMC・パウエルFRB議長会見タカ派の影響強く、即全戻し。
しかしながら、NYオープン付近から、欧州政情不安リスクオフユーロ売り・株下落のドル買い・円買い発生。円買い強くドル円急落。
更に米国30年債入札(強)で下落するも、欧州クローズ後は政情不安リスクオフ後退し、巻き戻しの株上昇に連れてドル円上昇しました。
日足終値157.01

【米国市況】S&P500が最高値、PPIで利回り低下-157円付近(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・6/12FOMC公表、パウエルFRB議長会見タカ派影響継続
・欧州政情不安リスクオフ

売り材料:
・6/12米国消費者物価指数サプライズ(弱)影響継続
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数(弱)
・米国生産者物価指数サプライズ(弱)
・米国30年債入札(強)

<円売買交錯>
買い材料:
・欧州政情不安リスクオフ

売り材料:
・6/12米国消費者物価指数サプライズ(弱)影響継続→米国債利回り低下→日本国債利回り低下波及

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き87.6%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ60.5%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/10週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/12陰線。レンジ
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)日足ダウ高値156.431付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値156.889
(B)4H足押し安値156.889をダウ上昇→目標4H足戻り高値157.301
(C)4H足戻り高値157.301をダウ上昇→目標日足戻り高値157.666

②Short
(D)日足高値157.371付近へ上昇→1H足20MAを転換下落→目標4H足押し安値156.889

6月通算:8勝4敗、勝率66.7%、+156.2pips

(Trading View)

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