2024年6月14日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日銀金融政策決定会合公表
・米国輸入物価指数、米国輸出物価指数
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、インフレ予測

(2)要人発言
・植田日銀総裁会見
・FRB要人発言

(3)その他
・メジャーSQ算出日
・実質五十日仲値(6/15休場)
・日銀会合関連リーク報道
・IMM通貨先物
・G7首脳会議(6/13~6/15)
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

本日の注目材料は2点。
①日銀金融政策決定会合公表、植田日銀総裁会見
直近6回のドル円動き。
9/22(金)、金融緩和維持、ハト派会見→ドル円急騰から揉み合い。上昇トレンド続かず。
発表前:金融緩和継続期待の織り込みでドル円上昇。
発表後:金融緩和政策維持。上昇継続。
会見:ハト派発言で上昇継続。材料不足のためか強い上昇トレンドにならず揉み合い。

10/31(火)、金融緩和維持、ハト派会見→ドル円急騰、上昇トレンド発生。
発表前:金融緩和継続期待織り込みでドル円上昇。
発表後:YCC修正となったが前日リーク報道通りだったことでサプライズなくドル円上昇。
会見:ハト派発言。会見終了直後に下落するも直ぐに全戻し。

12/19(火)、金融緩和維持→上昇。物価2%への確度の高まり示唆、早期マイナス金利解除否定→乱高下から上昇トレンド発生。
発表前:経済大臣日銀政策会合に出席する報道で早期のマイナス金利解除観測から142.25へ下落。
発表後:金融緩和維持。フォワードガイダンスなどの文言変更もなく、早期のマイナス金利解除観測後退。東京高値143.79へ急騰。
会見:物価2%への確度の高まり示唆で一時142.49へ急落。しかし、12/7チャレンジング発言の意図は一段と気を引き締めてという意味で早期マイナス金利解除否定。全戻し上昇。

1/23(火)、金融緩和維持、物価目標の実現確度向上発言→上昇から急落。マイナス金利解除後も金融緩和継続強調→急騰、上昇トレンド発生。
発表前:金融緩和継続期待織り込みで上昇。直前148.18。
発表後:金融緩和維持、展望レポートの24年度物価見通し下方修正を受け148.56へ急上昇。しかし、物価目標実現の確度が高まっているという文言追記は初でサプライズ。3月や4月会合でのマイナス金利解除観測として材料視され、東京安値147.85へ急落。
会見:金融緩和維持のハト派発言でしたが、物価目標の実現確度が少しずつ高まっていると述べたことが3月や4月会合でのマイナス金利解除観測として材料視され、日足安値146.98へ急落。
しかしマイナス金利解除しても金融緩和継続を強調したことで147.78へ急反発。

3/19(火)、マイナス金利等の政策修正あるも金融緩和継続→ドル円急騰、上昇トレンド発生
発表前:事前リーク報道通し、マイナス金利解除等の政策修正しても緩和継続期待によりじり上げ。直前149.29。
発表後:政策修正により初動日足安値149.00へ下落。しかし内容はリーク報道通りでサプライズなし。長期国債買い入れにより金融緩和継続、政策修正しても実質金利マイナス、日米金利差縮小効果なし(3/20FOMC公表タカ派姿勢見込み)、により東京高値150.40へ急騰。
会見:鈴木財務相発言で一時149.99へ下押しあるも、会見内容はハト派。ドル円上昇継続。

4/26(金)、金融緩和維持・円安容認発言→ドル円急騰、一時介入騙し急落あるも上昇トレンド発生
発表前:タカ派姿勢への警戒から揉み合い。直前155.53。
発表後:金融緩和維持。ドル円急騰。
会見:現状の円安は「無視できる状況」とサプライズの円安容認ハト派発言で上昇。会見後、一時、157.00手前の157.83から急落。下落幅小さいことから介入に見せ掛けた投機筋仕掛けと推測。その後、ドル円上昇継続。

本日会合では、追加利上げなく緩和継続、国債買い入れ減額方針の提示が見込まれます。
6/4(火)日本政府の骨太方針で円安影響に言及報道、6/4(火),6/10(月)日銀6月会合での国債購入減額検討報道、6/12(水)日銀会合での保有国債減額検討報道が出ました。
よって、以下を想定します。
・報道通り→材料通過のドル円上昇
・報道より小さい国債買入減額、保有国債削減→ドル円急騰
・報道より多いサプライズの国債買入減額、保有国債削減→ドル円下落

加えて、
・早期追加利上げ否定→ドル円急騰
・早期追加利上げ示唆→ドル円急落

但し、ドル円急落ら160円台に迫れば一気に為替介入警戒感が高まり、揉み合いやロング勢決済の急落に注意したい。
一方、ドル円急落が生じても、6/12FOMC・パウエルFRB議長タカ派姿勢を受けたドル買い円売りは継続することから押し目買い機会になると考えます。

②米国経済指標
注目度の高い指標が続きます。
「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」を想定します。
しかし、弱い数値が出ても、6/12米国消費者物価指数(弱)や6/13米国生産者物価指数(弱)の様に一時的にドル円急落しても、6/12FOMC・パウエルFRB議長タカ派姿勢を受けたドル買い円売りが支えとなり、押し目買い機会となりやすい環境は続くと想定します。

③独・仏政情不安リスクオフ影響
6/10から独・仏政情不安リスクオフが続いています。一時リスクオフ後退する局面もありましたが、直ぐに再燃し不安定な状況が続いています。
但し、影響は欧州マーケットに強く表れており、東京マーケット、NYオープン後や欧州クローズ後はリスクオフ後退しています。
本日も余程のサプライズなければ、「リスクオフ欧州株下落→ドル円下落」、「リスクオフ後退→ドル円上昇」を想定します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 実質五十日仲値(6/15休場)
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。

12:23 経済指標
日銀金融政策決定会合公表(日本銀行
(発表日:4/286/167/289/2210/3112/191/233/19, 4/26, 6/14, 7/31, 9/20, 10/31, 12/19)
過去の傾向では正午付近の公表は会合参加者の意見の相違は少なく金融政策変更なし。13:00頃に近づくほど金融政策変更の可能性高い。

政策金利:前回0.0-0.1%、予想0.0-0.1%、結果0.0-0.1%(○)
声明:「7月会合で今後1-2年程度の具体的国債減額計画決定」「国債買い入れは3月会合方針継続」。ハト派
国債買い入れ、次回会合で今後1―2年の減額計画を決定へ=日銀(Reuters

【考察】
発表前:6/4(火),6/10(月)国債購入減額検討報道、6/12(水)保有国債減額検討報道受けて政策修正警戒ありながらも、緩和政策継続期待の織り込みと実質五十日仲値に向けてのドル買い需要で上昇。
しかし発表が12:00を過ぎて政策修正への警戒からロング勢決済入り、日足安値156.81へ急落。直前157.07。
発表後:政策修正警戒していたなか、具体的な減額計画先延ばしサプライズかつ3月会合方針緩和継続のハト派により、日足高値158.26へ急騰。

12:25 要人発言
日銀、「債券市場参加者会合」開催(日本銀行

15:30~要人発言
植田日銀総裁
(発言:5/75/85/95/175/235/255/276/4, 6/6, 6/14)
:前回6/6タカ・ハト派発言
日銀が国債購入を減額へ、相応の規模と植田総裁-7月利上げ排除せず(Bloomberg

【考察】前回4/26会見のようなサプライズ円安容認なく、具体的な言質を与えない発言に終始。円安牽制発言と7月会合利上げ排除否定発言でドル円乱高下。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

15:41~要人発言
フランス、総選挙で左派勝利ならEU離脱も-ルメール財務相が警告(Bloomberg

【考察】植田日銀総裁会見中、仏政情不安リスクオフ欧州株下落に連れて、ドル買い円買い交錯ながらも、円買い強くドル円急落。

21:30 経済指標
米国輸入物価指数
前月比:前回0.9%(改定)、予想0.1%、結果-0.4%(×)
前年比:前回1.1%(改定)、予想1.5%、結果1.1%(△)

米国輸出物価指数
前月比:前回0.5%(改定)、予想0.3%、結果-0.6%(×)
前年比:前回-1.0%(改定-)、予想-%、結果0.6%(◎)

【考察】強弱混在。

21:35~要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:4/24/44/185/145/165/20, 5/22, 5/28, 6/14)
:政策スタンスはタカ派。前回5/28金利の見通しにはコメントなし(準備原稿)
メスター総裁、あと数カ月の良好な物価指標が必要-利下げ検討前に(Bloomberg

【考察】タカ派発言。ドル円上昇。

23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(速報値発表日;5/126/167/148/119/1510/1311/1012/81/192/163/154/125/10, 6/14)
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。

前回69.1、予想73.1、結果65.6(×)

米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回3.3%、予想3.2%、結果3.3%(○)
5年先:前回3.0%、予想3.0%、結果3.0%(○)

【考察】強弱混在。

27:06~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:4/44/84/104/124/195/35/105/15, 5/30, 6/14)
:政策スタンスは中立。前回5/30タカ派発言
クリーブランド連銀総裁、インフレへのリスク「まだ上向き」(Bloomberg

【考察】タカ派発言

28:30 経済指標
IMM通貨先物6/11時点(ポジション推移
円ショート拡大

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値157.01
日銀会合政策修正警戒ありながら緩和政策継続期待の織り込みと実質五十日仲値に向けてのドル買い需要で上昇。
しかし発表が12:00を過ぎて政策修正への警戒からロング勢決済入り、東京安値156.81へ急落。
6/4(火),6/10(月)国債購入減額検討報道、6/12(水)保有国債減額検討報道を受けて警戒していたなか、日銀会合公表は具体的な減額計画先延ばしのサプライズ、かつ3月会合方針継続のハト派だったことで日足高値158.26へ急騰。
植田日銀総裁会見は、前回4/26会見のようなサプライズ円安容認なく具体的な言質を与えない発言に終始。円安牽制発言、7月会合利上げ排除否定発言でドル円乱高下。

【日本市況】円が下落、日銀買い入れ減額先延ばし-長期金利は低下(Bloomberg

欧米マーケット:
植田日銀総裁会見中、仏ルメール財務相の極右政権誕生でEU離脱示唆発言を受けて、欧州政情不安リスクオフ株下落に連れて、ドル買い円買い交錯ながらも、円買い強くドル円急落。
欧州オープン後には156.88(日通し安値156.81付近)を付けました。
一方、前日までと同様にNYマーケットオープンが近づくと、欧州政情不安リスクオフよりよ6/12FOMC・パウエルFRB議長タカ派姿勢への関心が高まりドル円下げ止まり。
米国メスター・クリーブランド連銀総裁のタカ派発言を受けて上昇に転じ、米国ミシガン大学消費者信頼感指数・インフレ予測速報値は強弱混在で乱高下しながらも、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁タカ派発言もあり上昇継続しました。
日足終値157.41

【米国市況】安全資産買い、仏政治不安でリスク警戒-ドル157円台前半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・仏ルメール財務相の左派連合選挙勝利でEU離脱示唆→欧州政情不安リスクオフ
・米国メスター・クリーブランド連銀総裁のタカ派発言
・米国ミシガン大学インフレ予測(強)
・原油先物価格上昇

売り材料:
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(弱)

<円売買交錯>
買い材料:
・植田日銀総裁の円安牽制発言、7月会合利上げ排除否定発言
・仏ルメール財務相の極右勢力誕生でEU離脱示唆→欧州政情不安リスクオフ株下落

売り材料:
・日銀金融政策決定会合公表ハト派
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き85.5%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ61.4%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/10週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/13陽線。レンジ
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)日足高値157.313をダウ上昇→目標日足戻り高値157.666
(B)日足戻り高値157.666をダウ上昇→目標日足戻り高値158.330
(C)日足安値156.584付近へ下落→転換上昇→切番157.000

②Short
(D)日足戻り高値158.330付近へ上昇→転換下落→目標日足ダウ高値157.666

6月通算:9勝5敗、勝率64.3%、+158.4pips

(Trading View)

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