2024年5月23日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国PMI速報値
・米国新築住宅販売件数

(2)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

(3)その他
・主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(5/23~5/25)
・5/27(月)メモリアルデー(戦没者追悼記念日)控えた投資適格級社債の発行前倒し影響
・中東地政学リスクオフ
【債券週間展望】長期金利は上昇か、早期利上げとオペ減額に警戒続く(Bloomberg
【日本株週間展望】続伸へ、為替相場が落ち着き業績評価の見直し買い(Bloomberg

本日の注目材料は4点。

①米国エヌビディア好決算影響
本日東京マーケットはリスクオン株上昇が見込まれておりドル円上昇スタートと考えます。

②日銀、国債買入オペ通知
5/7(火)据え置き→ドル円急上昇
5/13(月)減額(円安対応観測)→ドル円急落から全戻し上昇
5/17(金)据え置き→5/13に続いて減額警戒感のなか、据え置きだったことで安心感の強い円売り発生しドル円急上昇

前日157円台目前まで急上昇しています。
よって、円安対応の減額の可能性ありますが、強いサプライズ減額なければ、以下の様なドル円上昇を想定します。
・「5/13(月)同様に円安対応観測の減額→一時的にドル円下落から上昇」
・「5/7、5/17同様に据え置き→ドル円急上昇」

但し、一気に158円台乗せのような急騰となれば、政府・日銀為替介入警戒感や強い円安牽制発言、日銀早期金融政策正常化観測に関する要人発言や報道のヘッドラインを受けたドル円下落にも注意したい。但し、サプライズの内容でなければ下落が生じても押し目買い機会になると考えます。

③米国経済指標
注目度の高い指標が続きます。初動は「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定します。
一方、弱い数値が出ても、単発データでは最近のFRB要人タカ派発言の見解が変わることはなく、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいです。

④米国FRB要人発言
5/20(月)~5/22(水)に掛けて総じてFRB要人発言タカ派発言が続きました。
本日も「タカ派発言→ドル円上昇」がメインと考えます。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

7:45 要人発言
中国軍、台湾周辺で24日まで軍事演習 頼清徳氏を威圧(日本経済新聞

【考察】5/20には中国呉江浩駐日大使が「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」と発言したなかでの軍事演習であり、強い地政学リスクオフ懸念。ドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

10:00 要人発言
台湾軍
対中国に海軍・空軍配備

【考察】地政学リスクオフ継続。ドル円揉み合い。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行
(過去の発表日:5/7, 5/13, 5/17, 5/23)
1~3年債:前回3750億円、結果3750億円(○)
3~5年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
5~10年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
日銀買い入れオペ、1年超3年以下が札割れ-異次元緩和以降で初(Bloomberg

【考察】
発表前:据え置きか減額か思惑交錯に加えて、台中地政学リスクオフ悪化を受けてドル円揉み合い。
発表後:据え置き。初動東京高値156.91へ上昇。強い円売りから157円台乗せ期待ありましたが、今まで以上に市場参加者の注目した指標となり、据え置きは織り込み済みだったためかSell the factの様な動きで下落。直前の台中地政学リスクオフ悪化も下落後押ししたよう。

10:49 報道
中国、6月初旬に台湾侵攻予定(Global Press)

【考察】中国軍が軍事演習で終わらず、そのまま台湾侵攻に繋げる可能性浮上。地政学リスクオフ。ドル円下落継続。

13:23 報道
日銀買い入れオペ、1年超3年以下が札割れ-異次元緩和以降で初(Bloomberg

【考察】札割れはサプライズ。次回オペでの減額観測からドル円下落

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

18:39~要人発言
米国イエレン財務長官
(過去の発言:4/25, 5/4, 5/13, 5/21, 5/23)
:前回5/21ロシア凍結資産利用発言。為替介入牽制発言なし。
イエレン長官、介入は「まれであるべきだ」と強調-事前の伝達も必要(Bloomberg

【考察】為替介入牽制発言。4/25から数えて4回目であり発言内容も同じでサプライズないためかドル円下落継続。

20:50~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:3/53/73/123/133/193/213/223/274/44/54/84/94/104/184/234/26,5/75/85/9, 5/17, 5/23)
:前回5/17円安牽制発言なし。日本株下落懸念後退。
日本経済「持ち直しの見方、変わらず」=植田日銀総裁(Reuters

【考察】4月会合の見解維持発言。5/9日銀金融政策決定会合における主な意見(4月25・26日分)での利上げ議論のタカ派内容が意識された為かドル円下落継続。

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回22.2万件(改定22.3)、予想21.9万件、結果21.5万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回179.4万件(改定178.6)、予想179.0万件、結果179.4万件(×)

【考察】強弱混在でしたが、米国新規失業保険申請件数が材料視されドル円上昇。

22:45 経済指標
米国PMI速報値
(速報値発表日:4/215/236/237/248/239/2210/2411/2412/151/242/223/214/23, 5/23)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回50.0、予想49.9、結果50.9(◎)
サービス業:前回51.3、予想51.5、結果54.8(◎)
総合:前回51.3、予想51.5、結果54.4(◎)

【考察】全て強い数値。日通し高値157.20へ急騰。

23:00 経済指標
米国新築住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として中古住宅販売件数とともに重要。
件数:前回69.3万件(改定66.5)、予想67.8万件、結果63.4万件(×)
前月比:前回8.8%(改定5.4)、予想-1.8%、結果-4.7%(×)

【考察】弱い数値。ドル円下落

28:07~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:3/13/43/254/34/94/124/195/10, 5/16, 5/20, 5/21, 5/22, 5/23)
:政策スタンスはハト派。前回5/22タカ派発言。

【考察】タカ派発言。ドル円上昇

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.83
中国軍の台湾周辺軍事演習、対抗措置として台湾軍が海軍・空軍配備が伝わると、地政学リスクオフでドル円下落から揉み合い。
注目の日銀国債買入オペ通知は据え置き。初動東京高値156.91へ上昇するも、据え置きは織り込み済みだったためかSell the factの様な動きで下落。
加えて、中国6月初旬に台湾侵攻予定報道もあり地政学リスクオフ悪化も下落後押し。
その後、157円台乗せ失敗し、日銀買い入れオペ1年超3年以下のサプライズ札割れが伝わると次回オペ減額観測も加わり、諦めたロング勢決済でドル円下落継続。

【日本市況】株反発、エヌビディア決算で半導体高-円堅調、債券上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
東京マーケット後半の流れを引き継いで欧州オープン直後もじり下げ。
米国イエレン財務長官から為替介入牽制発言でましたが、最初の4/25から数えて4回目であり発言内容も同じでサプライズないためかドル円下落継続。
その後、植田日銀総裁の4月会合見解維持発言を受けて5/9日銀金融政策決定会合における主な意見(4月25・26日分)での利上げ議論内容が意識され、日足安値156.53(4H足押し安値156.49付近)へ下落しました。
しかしこのタイミングで、米国新規失業保険申請件数(強)、更に米国PMI速報値が全て(強)となり日足高値157.20へ急騰しまし。
ところが、直後の米国新築住宅販売件数(弱)が伝わったタイミングで156.54急落から157.12へ急騰の乱高下。157円台乗せを受けたアルゴリズム取引由来の動きと推測されます。
その後、米高金利長期化を嫌気したリスクオフ株急落につれて、ドル買い・円買い交錯し、円買い強く再び157円割れの下落。
4H足ダウ高値156.83に支えられると、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言を受けて上昇して引けになりました。
日足終値156.95

【米国市況】株・国債ともに下落、利下げ観測後ずれ-157円近辺(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・米国新規失業保険申請件数(◎)
・米国PMI速報値:製造業(◎)・サービス業(◎)・総合(◎)
・米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言

売り材料:
・米国失業保険継続申請件数(×)
・米国新築住宅販売件数件数(×)、前月比(×)

<円売買交錯>
買い材料:
・中国軍、台湾周辺で24日まで軍事演習
・台湾軍対中国に海軍・空軍配備
・中国、6月初旬に台湾侵攻予定
・日銀買い入れオペ、1年超3年以下札割れ
・米国PMI速報値(◎)→米高金利長期化嫌気→リスクオフ株急落

売り材料:
・日銀、国債買入オペ通知(○)
・米国イエレン財務長官の円安牽制発言

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回6月12日公表:据え置き99.1%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ46.4%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:5/20週、形成中。上昇トレンド。
  • 日足:5/22陽線。三角持ち合い上抜け
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)日足高値156.847をダウ上昇→目標日足戻り高値157.802
(B)4H足押し安値156.485付近へ下落→転換上昇→目標日足高値156.847

②Short
(C) (B)後、4H足押し安値156.485をダウ下落→目標日足安値156.128

5月通算:12勝6敗、勝率66.7%、+261.2pips

(Trading View)

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