ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本2年債入札
・国債買い入れオペ2024年10~12月分の予定公表
・米国シカゴ購買部協会景気指数
2.要人発言
・米国パウエルFRB議長
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・月末五十日仲値
・月末ロンドンフィックス
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は上昇か、石破新総裁で日銀の利上げ路線維持を期待(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利上昇か、石破新総裁で「高市トレード」反動(Bloomberg)
・(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)9/27(金)マーケット影響
石破自民党新総裁選出のサプライズで株売り・円買いのドル円急落が生じました。その後の報道番組出演で金融市場を配慮したハト派発言が出ましたが、日経平均先物は夜間取引で下落。
加えて、衆院選10/27投開票方針が伝わっています。
石破政権から、経済・財政政策政策の明確なメッセージが出されるまでは日本株の上値値は重くなり、ドル円も下落優勢と推測します。
衆院選、10月27日投開票軸に 自民党・石破茂総裁が方針(日経新聞)
(2)中東地政学リスクオフ
9/27以降、中東情勢が更に悪化し、中東戦争拡大への懸念が高まりました。
・米大統領、「当然の報い」とイスラエル擁護-ヒズボラ指導者殺害巡り(Bloomberg)
・強硬貫くイスラエル、「レッドライン」意に介さず-イランの出方焦点(Bloomberg)
下記材料が想定されますが、最近の傾向は(a)ドル売り主導のドル円下落が生じており、中東戦争勃発となればドル円急落の可能性が高いと推測します。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 月末五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。
12:35 経済指標
日本2年債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回0.387%、結果0.397%(×)
応札倍率:前回5.54倍、結果3.81倍(×)
テール:前回3厘、結果9厘(×)
【考察】入札不調。ドル円下落継続。
15:02~要人発言
石破自民党総裁
10月9日にも衆議院解散 石破茂総裁、27日投開票を表明(日本経済新聞)
【考察】事前報道通りのサプライズなし。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
17:00 経済指標
日銀
国債買い入れオペ2024年10~12月分の予定公表(日銀、国債買い入れ)
(オファー日程:10/2, 10/7, 10/11, 10/18, 10/28)
1年以下:8~9月; 1500億円、10~12月; 1500億円→ 現状維持
1~3年債:8~9月; 3500億円、10~12月; 3250億円→ -250億円
3~5年債:8~9月; 3750億円、10~12月; 3250億円→ -500億円
5~10年債:8~9月; 4000億円、10~12月; 3750億円→ -250億円
10~25年債:8~9月; 1500億円、10~12月; 1500億円→ 現状維持
25年超:8~9月; 750億円、10~12月; 750億円→ 現状維持
物価連動債:8~9月; 600億円、10~12月; 600億円→ 現状維持
月間合計:8~9月; 5兆3100億円、10~12月; 4兆9100億円→ -4000億円
【考察】予定通り、四半期ごと4000億円減額
21:51~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:9/20, 9/24, 9/26, 9/30)
:政策スタンスは中立。前回9/26タカ派発言
「インフレは不快なほど目標を上回っている」
【考察】9/26と同様のタカ派発言。ドル円上昇。
22:45 経済指標
米国シカゴ購買部協会景気指数
米国ISM製造業景気指数の前営業日に発表される同指標の先行指標。
基準50、前回46.1(改定)、予想46.0、結果46.6(◎)
【考察】強い数値。ドル円上昇継続。
25:24~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:8/13, 8/23, 8/29, 9/4, 9/23, 9/30)
:政策スタンスはハト派。前回9/23タカ派発言
アトランタ連銀総裁、再度の50bp利下げを排除せず-ロイター(Bloomberg)
【考察】前回9/23タカ派発言と異なり、11月FOMC0.50%利下げ示唆のハト派発言。明日10/2米国JOLTS求人件数やISM製造業雇用指数(弱)への思惑も入ったためかドル円下落。
25:51~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:8/2, 8/5, 8/8, 8/16, 8/23, 9/6, 9/23, 9/30)
:政策スタンスは中立。前回9/6ハト派、景気減速懸念発言
【考察】大幅利下げ支持のハト派発言。ドル円下落継続
26:56~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar)
(発言:8/23, 9/18, 9/26, 9/30)
:政策スタンスは中立。前回9/26金融政策や経済見通しについてコメントなし。
「利下げを急がない」
パウエルFRB議長、政策は「時間とともに」より中立スタンスに(Bloomberg)
【考察】追加利下げを急がないタカ派発言。11月FOMC0.50%利下げ観測織り込みが剥落しドル円上昇
<まとめ>
東京マーケット:
・ドル円:下落
・株:日経平均, TOPIX下落、ダウ先物揉み合い下落
・国債:日本国債利回り上昇、米国債利回り揉み合い
・通貨強弱:ドル売り優勢、円売りから買い移行
・原油先物価格:乱高下
日足始値142.29
取引開始直後から、月末五十日仲値に向けたドル買い需要のためか日通し高値142.96を付けたものの、石破新政権政策警戒(緊縮財政、増税強化)から日本株下落(円キャリー巻き戻し)と日本国債利回り上昇に連れて、日足安値141.65へ急落して引けました。
【日本市況】株式は大幅安、石破次期政権の政策警戒-金利上昇・円高(Bloomberg)
欧米マーケット:
・ドル円:欧州上昇、NY上昇
・株:欧州株下落、米国主要3指数下落から急上昇(ダウ、S&P、ナスダック)、日経先物下落から上昇
・国債:欧州国債利回り上昇、米国債利回り上昇
・通貨強弱:ドル>円(ドル売りから買いへ移行、円売り優勢)
・原油先物価格:乱高下
欧州オープン直後から欧州株下落にも関わらず強い円売り発生。明確な材料ないことから大口投資家による月末・四半期末ロンドンフィックスに向けてのポジション調整の影響と推測します。
4H足押し安値ヒゲ先141.74付近からの押し目買いに連れてドル円上昇。
更に、米国ボウマンFRB理事のタカ派発言、米国シカゴ購買部協会景気指数(強)を受けて日通し高値143.37(日足押し安値・1H足戻り高値143.23付近)へ上昇。
その後、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言を受け142.94(1H足押し安値143.03、切番143.00付近)へ下押しするも、米国パウエルFRB議長のタカ派発言で日足高値143.92(日足三尊右肩143.93、4H足20MA、切番144.00直前付近)へ急上昇して引けました。
日足終値143.63
【米国市況】株上昇、ややタカ派のパウエル氏講演乗り切る-143円後半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・月末五十日仲値に向けたドル買い需要
・米国ボウマンFRB理事、米国パウエルFRB議長のタカ派発言
・米国シカゴ購買部協会景気指数(強)
・月末、四半期末ロンドンフィックスに向けてのポジション調整(推測)
売り材料:
・米国ボスティック・アトランタ連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言
<円売り優勢>
買い材料:
・9/27石破自民党新総裁選出→新政権政策警戒(緊縮財政、増税強化)→日本株下落、日本国債利回り上昇
・日本2年債入札(弱)→日本国債利回り上昇
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ46.7→65.3%、50bps引き下げ53.3→34.7%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陰線形成中。レンジ。20MA・押し安値付近。
- 週足:9/23週、確定。下降トレンド中の調整波に相当。BB-1σ付近
- 日足:9/27。上昇トレンド。BB+1σ付近。
- 4H足:上昇チャネル。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A) (C)後、日足安値142.068をダウ上昇→目標1H足レンジ安値142.506
(B)1H足レンジ安値142.506かつ1H足20MAをダウ上昇→目標1H足戻り高値143.232
②Short
(C)日足安値142.068をダウ下落→目標4H足押し安値ヒゲ先141.739
(D)4H足押し安値ヒゲ先141.739をダウ下落→目標1H足押し安値141.121
本日:2勝0敗、+94.5pips
9月通算:22勝14敗、勝率61.1%、RR2.00 、+421.3pips
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