2024年9月4日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国貿易収支
・米国耐久財受注確報値
・米国製造業新規受注
・米国JOLTS求人件数
・米国ベージュブック(地区連銀経済報告)
・カナダ中銀政策金利

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ3倍デー

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米積極利下げ観測が後退しドル一段高に(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利低下か、早期利上げ観測緩和で長期債に買い(Bloomberg
・【日本株週間展望】一進一退、エヌビディア通過も米雇用統計に警戒(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/3(火)マーケット影響
・経済財政諮問会議での植田日銀総裁タカ派発言・資料提出報道→ドル円下落
・米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)→リスクオフ→ドル円下落
・米国ISM製造業仕入価格・雇用(強)→ドル円上昇

植田日銀総裁タカ発言やリスクオフの影響が強く反映されました。本日も下落優勢スタートを想定します。

(2)米国経済指標
本日の注目は米国JOLTS求人件数です。

8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。
但し、利下げタイミングとペースはデータ次第であり、特に労働市場(雇用関連指標)の良し悪しで、9月0.50%大幅利下げ有無が決まると見られます。

前日米国ISM製造業雇用(強)を受けて(a)ドル円上昇しましたが、(b)ドル円下落も生じました。
よって、強いサプライズなければ指標結果でトレンドが続くより、一時的な反応に留まる可能性を考えたい。

9/3(火)
・米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)→ドル円下落
・米国ISM製造業仕入価格・雇用(強)→ドル円上昇

(a)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション
(発表日:8/28/78/158/21, 8/28, 9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25)
1年以下:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
1~3年債:前回3500億円、予想3500億円、結果3500億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)

【考察】
発表前:据え置き期待の織り込み上昇。直前145.34
発表後:据え置き。上昇揉み合い。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国貿易収支
前回-731億ドル(改定-730)、予想-785億ドル、結果-788億ドル(×)

22:45 要人発言
カナダ中銀
政策金利:前回4.50%、予想4.25%、結果4.25%(○)
カナダ中銀が政策金利を4.25%に下げ、3会合連続-追加緩和を示唆(Bloomberg

23:00 経済指標
米国耐久財受注確報値:設備投資の先行指標
前月比:前回9.9%(改定)、予想9.9%、結果9.8%(×)
コア前月比:前回-0.2%(改定-)、予想-0.2%、結果-0.2%(○)

23:00 経済指標
米国製造業新規受注
前月比:前回-3.3%(改定)、予想4.6%、結果5.0%(◎)

23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 1/31/303/64/25/16/47/2, 7/30, 9/4)
(Bureau of Labor Statistics)
前回818.4万件(改定791.0)、予想812.0万件、結果767.3万件(×)
米求人件数、全てのエコノミスト予想下回る-2021年1月以来の低水準(Bloomberg

【考察】
発表前:前日9/3(火)植田日銀総裁タカ派発言や米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)の影響継続し、揉み合い下落。直前144.79。
発表後:サプライズの弱い数値。日通し安値144.00へ急落から下落継続。

23:01~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:8/138/23, 8/29, 9/4)
:政策スタンスはハト派。前回8/29派発言
アトランタ連銀総裁、雇用とインフレ目標へのリスクは均衡している(Bloomberg

【考察】インフレに対する勝利宣言しないタカ派発言

25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q2:前回2.0%、予想2.0%、結果2.1%(◎)

27:00 要人発言
米国ベージュブック(地区連銀経済報告)
FOMC開催の2週間前に公表。政策金利決定の材料とされるため注目度大
米地区連銀報告:経済活動は大半の地区で横ばい、ないし低下(Bloomberg

【考察】経済活動低下。ドル円下落継続

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値145.50
取引開始直後に日通し高値145.56を付けると、前日植田日銀総裁タカ派発言や米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)を受けたリスクオフ(株売り、債券買い)の影響を引き継いで、日銀早期追加利上げ観測(円買い)とリスクオフ(株売り、債券買い、円買い)から日通し安値144.89へ急落。

一方、日銀国債買いオペ通知期待の織り込み・予想通り据え置きから、145.55へ全戻し上昇。
その後、材料交錯から引けに掛けてもみ合い。
(1H足下降チャネル継続)

【日本市況】株式が急落、米景気懸念にリスク回避の円高-金利は低下(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後も、リスクオフ(株売り、債券買い、円買い)は続き、日通し安値144.76へ下落。
しかし、リスクオフ一服(株買い、債券売り)すると、切番145.00、日足BB-1σや4H足押し安値144.71付近からの押し目買い入り、ドル円もみ合い。

注目の米国JOLTS求人件数(弱)、米国ベージュブック(経済活動低下)を受けると、リスクオフ(株売り、債券買い、円買い)、9月FRB0.5%大幅利下げ観測高進から、引けに掛けて下落継続し日足安値143.71を付けました。
日足終値143.73
(4H足以下、下降トレンド)
【米国市況】円上昇、対ドル143円台-米大幅利下げ観測で金利急低下(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・9/3米国ISM製造業仕入価格・雇用(強)
・9/3米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)→リスクオフドル買い
・米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言

売り材料:
・9/3米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)→リスクオフ米国債買い
・米国JOLTS求人件数(弱)→リスクオフ米国債買い、9月FRB0.5%大幅利下げ観測高進
・米国ベージュブック:経済活動低下
・リビア産油再開合意が近いとの見方、米中景気減速懸念→原油先物価格下落

<円買い優勢>
買い材料:
・9/3経済財政諮問会議での植田日銀総裁タカ派発言・資料提出報道影響
・米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)→リスクオフ米国株下落
・米国JOLTS求人件数(弱)→リスクオフ米国株下落
・リビア産油再開合意が近いとの見方、米中景気減速懸念→原油先物価格下落

売り材料:
・日銀国債買いオペ通知据え置き
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ62.0→55.0%、50bps引き下げ38.0→45.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
  • 週足:9/2週、陰線形成中。下降トレンド。
  • 日足:9/3陰線。レンジ。20MA付近。
  • 4H足:レンジ。押し安値付近
  • 1H足:下降チャネル。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)日足安値145.132付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値145.423
(B)4H足押し安値144.713付近へ下落→転換上昇→目標日足安値145.132

②Short
(C)1H足レンジ安値145.423をダウ下落→目標日足安値145.132
(D)日足安値145.132をダウ下落→目標4H足押し安値144.713

本日:2勝1敗、+42.8pips
9月通算:3勝3敗、勝率50.0%、RR2.09 、+44.4pips

(Trading View)

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