2024年9月20日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本消費者物価指数(CPI)
・日銀金融政策決定会合公表
・IMM通貨先物円ポジション

2.要人発言
・植田日銀総裁会見
・FRB

3.その他
・日銀会合公表直前リーク報道
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米大幅利下げ観測の反動-日銀総裁会見警戒(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利は上昇へ、米国の大幅利下げ観測は剥落公算(Bloomberg
・【日本株週間展望】上値試す、日米金融政策の決定後に円高基調和らぐ(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)日銀金融政策決定会合公表、植田日銀総裁会見
2024年、日銀金融政策決定会合発表日のドル円動きまとめ
日銀会合注目点:追加利上げと米利下げの影響、植田総裁会見から探る(Bloomberg


注目点は、
①政策金利(現状0.25%):
(a)市場コンセンサス通り0.25%据え置き→事前観測報道も据え置きのため最有力。材料通過の安心感や実質金利マイナスの金融緩和環境継続からドル円上昇か。
(b)0.15~0.25%利上げ(利上げ示唆のリーク報道もなく可能性は低い)→サプライズで強い円買い→ドル円暴落

(a)メインシナリオですが、初動はアルゴリズム取引暴走による乱高下もあり得るため注意したい。

②植田総裁会見:7/31(水)前回会合後の会見では、「経済・物価見通し実現なら追加利上げ」、「短期金利0.5%は天井と意識しない」が強いタカ派発言と判断されドル円急落生じました。

(a)タカ派発言:7/31(水)前回会合、8/23(金)国会閉会中審査、9/3(火)経済財政諮問会議と同じく、「経済・物価見通し実現なら利上げ継続」発言が繰り返される見込み。ドル円急落の引き金となった「短期金利0.5%は天井と意識しない」という発言はないと考えますが、もし同様の発言あればドル円急落。また、9/12(木)田村日銀審議員発言の様に積極的かつ具体的な利上げペース示唆あってもドル円下落想定。
(b)ハト派発言→8/23や9/3より慎重な利上げ姿勢や具体的な利上げペースが緩やかなら、ドル円上昇。
(c) (a)&(b)バランス取り→ドル乱高下。

7/31発言の失敗から、(c)メインシナリオと考えます。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
日本消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口
(過去の発表日; 1/192/273/224/195/246/217/19, 8/23, 9/20)
日銀物価目標2.0%。日銀政策金利0.25%
前年比:前回2.8%、予想3.0%、結果3.0%(○)
コア前年比:前回2.7%、予想2.8%、結果2.8%(○)
コアコア前年比:前回1.9%、予想2.0%、結果2.0%(○)
消費者物価4カ月連続伸び拡大、エネルギー高止まり-食料上昇(Bloomberg

【考察】強い数値。日銀追加利上げ観測。初動上昇するも東京オープン後に下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

11:52 経済指標
日銀金融政策決定会合公表(日本銀行
(発表日:1/233/194/266/14, 7/31, 9/20, 10/31, 12/19)
過去の傾向では正午付近の公表は会合参加者の意見の相違は少なく金融政策変更なし。13:00頃に近づくほど金融政策変更の可能性高い。

政策金利:前回0.25%、予想0.25%、結果%(○)。
(実質金利=政策金利-期待インフレ率=0.25-2.0=-1.75%)
声明:7月会合「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の現状維持。個人消費増加・インフレ上振れ懸念。タカ派内容
日銀、政策金利の現状維持を全員一致で決定 消費の判断引き上げ(Reuters

【考察】
発表前:前日NYマーケットの影響かつ日本消費者物価指数(強)受けて乱高下継続。直前142.58。
発表後:予想通り政策金利据え置きでしたがタカ派声明を受けて、142.78への上振れから141.95へ下落し揉み合い。

15:31~要人発言
植田日銀総裁
(発言:6/46/66/146/176/186/217/31, 8/23, 9/3, 9/20)
:前回9/3タカ派発言
「経済・物価見通しが実現していけば金融緩和度合いを調整する」
「直ちに見通しの確度高まり、すぐ利上げとはならない」
日銀が金融政策維持、円安修正で判断に「時間的な余裕」と植田総裁(Bloomberg

【考察】会見開始直後に警戒感から日足安値141.74を付けてからは、利上げ慎重姿勢のハト派発言を受けて日通し高値144.42へ急騰。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

24:33~要人発言
米国ウォラーFRB理事
(過去の発言:11/711/281/162/142/152/23, 3/1, 9/20)
:政策スタンスは中立。前回3/1金利見通しへのコメントなし。

【考察】再度0.50%大幅利下げ可能性示唆のハト派発言。9/18パウエルFRB議長会見での0.50%大幅利下げ継続否定発言とは反対の見解。

26:01~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:5/35/105/175/286/256/288/11(休場中), 8/20, 9/20)
:政策スタンスは中立。前回8/20タカ派発言
大幅利下げ反対したボウマンFRB理事、早計な勝利宣言のリスク指摘(Bloomberg

【考察】9/18FOMCで0.25%利下げ主張して0.50%大幅利下げに反対しており、利下げ慎重のタカ派発言。

27:00~要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:6/178/22, 8/23, 9/20)
:政策スタンスはハト派。前回8/23ハト派発言。
フィラデルフィア連銀総裁、雇用とインフレのリスクはより均衡(Bloomberg

【考察】ハト派発言

28:30 経済指標
IMM通貨先物時点(Investing.com
円ロング

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値142.60
取引開始後、前日NYマーケットの影響かつ日本消費者物価指数(強)受けて乱高下継続。
日銀会合公表は予想通り政策金利据え置きでしたがタカ派声明を受けて、142.78への上振れから141.95へ下落し揉み合いました。
(4H足20MA付近で、15M足下降チャネル形成)

【日本市況】円が143円後半に下落、政策判断に時間的余裕と日銀総裁(Bloomberg

欧米マーケット:
植田日銀総裁会見開始直後に警戒感から日足安値141.74を付けてからは、利上げ慎重姿勢のハト派発言を受けて日通し高値144.42へ急騰。
NYオープン前に143.47へ下押しあるも日足高値144.50へ再上昇。

しかし、米国ウォラーFRB理事のハト派発言、米国ボウマンFRB理事のタカ派発言、米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁のハト派発言交錯し、引けに掛けて揉み合いました。
日足終値143.92

【米国市況】円売り継続、一時144円49銭-S&P500種は小反落(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国ボウマンFRB理事のタカ派発言

売り材料:
・米国ウォラーFRB理事、米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁ハト派発言

<円売り優勢>
買い材料:
・日本消費者物価指数(強)
・日銀金融政策決定会合公表のタカ派声明
・IMM通貨先物9/17時点:円ロング増
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・植田日銀総裁のハト派発言
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ61.2→49.7%、50bps引き下げ38.8→50.3%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。レンジ。押し安値付近。
  • 週足:9/16週、陽線形成中。下降トレンド中の調整波に相当。
  • 日足:9/19上長ヒゲ陽線。20MAかつ下降チャネル上限付近
  • 4H足:上昇チャネル。
  • 1H足:上昇チャネル。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値143.035をダウ上昇→目標4H足レンジ高値143.755
(B)4H足押し安値141.302付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値142.106

②Short
(C)1H足押し安値142.106かつ4H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値141.302
(D) (A)後、1H足レンジ高値143.035かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値141.106

本日:1勝0敗、+54.8pips
9月通算:15勝9敗、勝率62.5%、RR1.97 、+240.1pips

(Trading View)

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