2024年9月6日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国雇用統計
・IMM通貨先物円ポジション

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米積極利下げ観測が後退しドル一段高に(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利低下か、早期利上げ観測緩和で長期債に買い(Bloomberg
・【日本株週間展望】一進一退、エヌビディア通過も米雇用統計に警戒(Bloomberg

5.本日の注目材料

(1)米国経済指標
本日最大注目は米国雇用統計です(2024年、米国雇用統計発表日のドル円動きまとめ)。
それまでは強い予想の織り込み上昇、もしくは警戒感からの揉み合いや乱高下を想定します。


8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。
但し、利下げタイミングとペースはデータ次第であり、特に労働市場(雇用関連指標)の良し悪しで、9月0.50%大幅利下げ有無が決まると見られます。

今週注目指標のドル円動向をみると、「強い数値→ドル円上昇(但し限定的)」、「弱い数値→ドル円急落」であり、弱い数値は景気減速ハードランディング懸念が高まるためか、ドル下落の影響は続きやすい傾向が現れました。

9/3(火)
・米国ISM製造業景気指数、新規受注(弱)→ドル円下落
・米国ISM製造業仕入価格、雇用(強)→ドル円上昇(但し、限定的)

9/4(水)
・米国JOLTS求人件数(弱)→ドル円急落

9/5(木)
・米国ADP雇用者数(弱)→ドル円下落
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数(強)→ドル円上昇
・米国PMI確報値(サービス業、総合)(強)→ドル円上昇
・米国ISM非製造業景気指数、仕入価格、新規受注(強)→ドル円上昇(但し、ほぼ全戻し)
・米国ISM非製造業雇用(弱)→ドル円上昇後の全戻しに寄与

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:11~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:8/28/58/88/16, 8/23, 9/6)
:政策スタンスは中立。前回8/23ハト派、景気減速懸念発言
シカゴ連銀総裁「労働市場に警告サイン」複数回の利下げを想定-報道(Bloomberg

【考察】複数回利下げ示唆のハト派、労働市場減速懸念発言。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション
2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ
(発表日:8/28/78/158/21, 8/28, 9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25)
5~10年債:前回4000億円、予想4000億円、結果4000億円(○)
10~25年債:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
25年超債:前回750億円、予想750億円、結果750億円(○)

【考察】
発表前:据え置き織り込みよりも米国グールズビー・シカゴ連銀総裁発言の影響強くドル円下落。直前143.20
発表後:据え置き。小幅上昇に留まり急落へ転換

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;1/52/23/84/55/36/77/5, 8/2, 9/6)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回11.4万人(改定8.9)、予想16.5万人、結果14.2万人(△)
失業率:前回4.3%(改定)、予想4.2%、結果4.2%(○)
平均時給
前月比:前回0.2%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(◎)
前年比:前回3.6%(改定)、予想3.7%、結果3.8%(◎)
米雇用者数の伸び、市場予想に届かず-利下げ幅巡る議論活発化へ(Bloomberg

【考察】
発表前:強い数値期待の織り込み上昇。直前143.23(4H足下降トレンドライン・BB-1σ、1H足20MA付近)。
発表後:強弱混在するも総じて強い数値。市場はFRB9月利下げ0.25%か0.50%の思惑交錯。
初動は注目度が高まった雇用関連のNFP(弱)と失業率(強)交錯で日足高値144.09へ急騰から日通し安値141.98へ急落。
一方、平均時給サプライズ(強)からインフレ再燃への警戒も高まりつつあり143.89へ急騰。
その後、米国景気減速懸念リスクオフ(株売り、債券買い、円買い)が強まり、更に米国ウォラーFRB理事のハト派発言を受けて日足安値141.77へ急落しもみ合い。

21:45~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/17/37/57/17, 7/19, 9/6)
:政策スタンスは中立。前回7/19タカ派発言
NY連銀のウィリアムズ総裁、政策金利の引き下げが「適切になった」(Bloomberg

【考察】利下げ前向きハト派発言、インフレ対策必要のタカ派発言。

23:36~要人発言
米国ウォラーFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:3/16/24, 7/17, 9/6)
:政策スタンスは中立。前回7/17ハト、タカ派発言
ウォラーFRB理事、大幅利下げの可能性に「オープンマインド」(Bloomberg

【考察】大幅利下げ示唆のハト派発言、労働市場減速懸念発言

24:32~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:8/28/58/88/16, 8/23, 9/6)
:政策スタンスは中立。前回8/23ハト派、景気減速懸念発言

【考察】複数回利下げ示唆のハト派、労働市場減速懸念発言。

28:30 経済指標
IMM通貨先物9/3時点(ポジション推移
円ロング大幅増

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値143.44
取引開始直後に日通し高値143.48を付けると、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派、労働市場減速懸念発言をきっかけに、本日米国雇用統計への警戒感が高まり、リスクオフ(株下落、債券買い、円買い)とFRB9月0.5%利下げ観測高進(米国債買い・利回り低下)加速し、日通し安値142.41へ急落しました。
(4H足下降トレンドライン付近の1H足レンジ下限ブレイクし、4H足下降トレンド継続)

【日本市況】円が1カ月ぶり高値、米雇用統計を警戒-株安・債券高(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、日通し安値142.06を付けると、過度な米国雇用統計への警戒感後退・強い予想の織り込みが意識されたためか、切番142.00や4H足押し安値142.25付近から米国雇用統計前のショート勢決済、押し目買い入りドル円急上昇。
(4H足下降トレンドライン付近、1H足レンジ形成)

米国雇用統計は強弱混在するも総じて強い数値。市場はFRB9月利下げ0.25%か0.50%の思惑交錯となりました。

初動は注目度が高まった雇用関連のNFP(弱)と失業率(強)交錯で日足高値144.09へ急騰から日通し安値141.98へ急落。
一方、平均時給サプライズ(強)からインフレ再燃への警戒も高まりつつあり143.89へ急騰。
その後、リスクオフ(株売り、債券買い、円買い、ドル買い)が強まり、更に米国ウォラーFRB理事のハト派発言を受けて日足安値141.77へ急落し、もみ合いで引けました。
日足終値142.31
(日足レンジ下限ヒゲ先・下降チャネル下限付近へ、4H足下降トレンド到達し1H足レンジ形成)

【米国市況】株下落、米雇用統計で景気懸念再燃-ドル一時141円78銭(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国雇用統計:失業率、平均時給(強)
・リスクオフ

売り材料:
・米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)、米国ウォラーFRB理事のハト派、労働市場減速懸念発言
・米国雇用統計:NFP(弱)

<円買い優勢>
買い材料:
・リスクオフ株下落
・IMM通貨先物9/3時点:円ロング大幅増
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・日銀、国債買入オペ通知:据え置き
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ60.0→70.0%、50bps引き下げ40.0→30.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
  • 週足:9/2週、陰線形成中。下降トレンド。
  • 日足:9/5陰線コマ足。レンジ下限付近。
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値143.912をダウ上昇→目標日足高値144.232
(B)日足安値143.850付近へ下落→転換上昇、1H足20MAをダウ上昇→目標1H足戻り高値143.446

②Short
(C)1H足戻り高値143.446かつ1H足20MAをダウ下落→転換下落→目標1H足レンジ安値143.088
(D)1H足レンジ安値143.088をダウ下落→転換下落→目標日足安値143.850

本日:2勝0敗、+40.9pips
9月通算:6勝5敗、勝率54.5%、RR2.09 、+61.7pips

(Trading View)

コメント

タイトルとURLをコピーしました