ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀、政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(7月30・31日分)
・日本40年債入札
・米国耐久財受注速報値
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国実質GDP確報値
・米国中古住宅販売成約指数
・米国7年債入札
2.要人発言
・米国パウエルFRB議長
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・スポット応当日
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は神経質な展開か、自民党総裁選で上下に振れるリスク(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利低下へ、米金利低下や40年債入札を楽観視(Bloomberg)
・【日本株週間展望】戻り試す、米景気懸念が和らぐ-自民総裁選も注視(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)9/25(水)マーケット影響
9/24から投機筋等の大口投資家の月末・四半期末ポジション調整と推測される極端なドル売り・ドル買いが生じて、9/24ドル円急落分を全戻しする展開となりました。
円も株価との連動が乏しく、円ポジション調整も生じる可能性があることから、ドル円の方向性を見極めるには通貨強弱をメインにした方が良いかもしれません。
(2)米国経済指標
同刻発表の米国耐久財受注速報値、米国実質GDP確報値と米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数の注目度が高いです。
9/19からの傾向は初動で大きく動いても、全戻しや揉み合いへの移行でしたが、本日指標は強弱が揃えばドル円急騰・急落に繋がりやすいと考えます。
9/19(木)
・米国フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強)→ドル円上昇。但し、一時的。
・米国景気先行指数(強)、中古住宅販売件数(弱)交錯→ドル円下落から揉み合い。
9/23(月)
・米国PMI速報値サービス業・総合(強)、製造業(弱)→ドル円上昇から全戻し
9/24(火)
・米国住宅価格指数(弱)、米国S&Pケースシラー住宅価格指数(強弱)→ドル円揉み合い
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(弱)、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)→ドル円急落
9/25(水)
米国新築住宅販売件数(強)→ドル円上昇
(3)FRB要人発言。特にパウエル議長
9/18(水)FOMC後のパウエル議長会見はハト派・タカ派のバランスを取った発言であったものの、0.50%追加利下げ継続否定のタカ派発言が材料視されてドル円急上昇となりました。
基本はこのスタンスは変わらずドル円上昇と考えますが、本日発表の経済指標がサプライズ弱となってハト派発言が強調されればドル円急落に警戒したい。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50 経済指標
日銀、政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(7月30・31日分)(日本銀行)
円安の進展による物価上振れリスクに注意とある委員-7月日銀会合(Bloomberg)
【考察】タカ派内容。サプライズなしですが、日銀追加利上げ観測。
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。年末・月末スポット応当日は仲値に向けて売買交錯しやすい。
*スポット:直物為替(直物取引)。原則、売買を契約した日(約定日)から2営業日後に受け渡しをする外国為替取引のことです。
*スポット応当日:スポットの受け渡し日のこと。年末、月末や四半期末には仲値に向けた実需勢等の売買が交錯しやすく荒い値動きが生じる可能性があります。
12:35 経済指標
日本40年債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:7,000億円程度
最高落札利回り:前回2.42%、結果2.34%(◎)
応札倍率:前回2.20倍、結果2.58倍(◎)
【考察】入札好調
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国耐久財受注速報値:設備投資の先行指標
前月比:前回9.8%(改定9.9)、予想-2.9%、結果0.0%(○)
コア前月比:前回-0.2%(改定-0.1)、予想0.1%、結果0.5%(◎)
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.9万件(改定22.2)、予想22.2万件、結果21.8万件(◎)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回182.9万件(改定182.1)、予想182.7万件、結果183.4万件(×)
21:30 経済指標
米国実質GDP確報値(過去の発表日:1/25, 2/28, 3/28, 4/25, 5/30, 6/27, 7/25, 8/29, 9/26)
速報値は改定値や確報値に比べて注目度高いですが、改定値や確報値でもドル円が大きく動くことあり。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
【9/18(水)米国FOMC公表2024年見通し:実質GDP2.0%、コアPCE2.3%】
実質GDP(=名目GDP-物価変動):前回3.0%、予想2.9%、結果3.0%(○)
個人消費:前回2.9%、予想2.9%、結果2.8%(×)
GDPデフレータ(=名目GDP/実質GDP):前回2.5%、予想2.5%、結果2.5%(○)
PCEコアデフレータ(FRB目標2.0%):前回2.8%、予想2.8%、結果2.8%(○)
【考察】
発表前:切番145.00レジサポ成功の材料不足で米国経済指標発表を控えてロング勢決済入り、日通し高値145.20から急落。直前144.22(4H足レンジ高値144.29付近)。
発表後:同刻発表指標は総じて強い数値。初動144.72へ上昇。
22:15~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:8/11(休場中), 8/20, 9/20, 9/24, 9/26)
:政策スタンスは中立。前回9/24タカ派発言
【考察】9/24と同じ内容のタカ派発言。
22:20~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar)
(発言:7/2, 7/9, 7/10, 7/15, 7/31, 8/23, 9/18, 9/26)
:政策スタンスは中立。前回9/18ハト,タカ派発言
【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。
22:25~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/1, 7/3, 7/5, 7/17, 7/19, 9/6, 9/26)
:政策スタンスは中立。前回9/6ハト、タカ派発言
ウィリアムズNY連銀総裁、参照レートの使用状況観察する組織設置(Bloomberg)
【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。
23:00 経済指標
米国中古住宅販売成約指数
売買契約が結ばれているものの、最終引渡しが行われていない物件の指数。引き渡しが済んだ中古住宅販売件数の先行指標として注目される。
前月比:前回-5.5%(改定-)、予想-1.0%、結果0.6%(◎)
前年比:前回-4.6%(改定-)、予想-5.5%、結果-4.3%(◎)
【考察】強い数値。
23:30~要人発言
米国バーFRB副議長(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:5/20, 5/21, 9/10, 9/26)
:政策スタンスは中立。前回9/10金融政策への発言なし。
FRB副議長、銀行流動性枠組みの調整検討-保険外預金の保護を視野(Bloomberg)
【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。
23:21~要人発言
米国イエレン財務長官
イエレン米財務長官、2%インフレは可能-為替介入は無秩序な場合に(Bloomberg)
【考察】労働市場とインフレデータからソフトランディング示唆発言
26:00 経済指標
米国7年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):440億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回3.770%、結果3.668%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.50倍、結果2.36倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回75.1%、結果70.8%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+0.9 bps、結果-0.7bps(◎)。3.668-3.675=-0.007
WI:3.675%
【考察】総じて入札好調。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.71
取引開始後はスワップ3倍デー狙いロング勢決済(推測)や日銀会合議事要旨(7月30・31日分)タカ派内容を受けて144.44へ下押し。
しかし、日銀会合議事要旨にサプライズなく影響小。その後、9/24,9/25東京マーケット中の円売り傾向継続、日本株上昇に連れて、1H足レンジ高値144.46へのレジサポ成功すると日通し高値145.04へ上昇。
一方、前日欧米マーケットの強いドル買いは引き継がず、9/23~9/25東京マーケット中のドル軟調傾向が継続。ドル売り強く切番145.00レジサポ失敗すると、144.63へ下押し・揉み合いで引け。
(4H足上昇トレンド推進波内部で、1H足上昇チャネル形成)
【日本市況】日経平均2カ月ぶり高値、円安好感し全面高-債券は下落(Bloomberg)
欧米マーケット:
9/24,9/25欧州マーケット序盤円売り傾向継続、欧州株上昇に連れて日通し高値145.20へ上昇。
しかし、切番145.00レジサポ成功するには材料不足のためか、注目の米国経済指標発表を控えてロング勢決済入り、1H足上昇チャネル下限抜けから日足安値144.11へ急落。
米国耐久財受注速報値(強)、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強弱)、米国実質GDP確報値(強)、米国ボウマンFRB理事のタカ派発言、米国中古住宅販売成約指数(強)を受け、日足高値145.22へ急上昇。
しかしながら、9/24以降の欧米マーケットで見られる投機筋等の大口投資家の月末・四半期末ポジション調整(推測)の強いドル売りによって再び145円台定着失敗。週足BB-1σ・日足BB+1σや切番145.00付近からドル売りを仕掛ける大口勢力が存在している様子。
その後、引けに掛けて、原油先物価格下落にも連れて揉み合いとなりました。
日足終値144.81
【米国市況】S&P500再び最高値、ドル一時145円台-PCEに注目(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国耐久財受注速報値(強)、米国実質GDP確報値(強)
・米国中古住宅販売成約指数(強)
売り材料:
・米国7年債入札(強)
・サウジ原油供給拡大報道→原油先物価格下落
<円売り優勢>
買い材料:
・日銀、政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(7月30・31日分):タカ派内容
・サウジ原油供給拡大報道→原油先物価格下落→日本貿易収支改善
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・日本40年債入札(強)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ42.6→47.2%、50bps引き下げ57.4→52.8%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陰線形成中。レンジ。押し安値付近。
- 週足:9/23週、陽線形成中。下降トレンド中の調整波に相当。
- 日足:9/25陽線。上昇トレンド。
- 4H足:上昇トレンド。
- 1H足:上昇トレンド。
- 15M足:上昇トレンド。
【シナリオ】
①Long
(A)4H足レンジ高値144.290付近へ下落→転換上昇→目標日足高値144.844
(B) (A)後、日足高値144.844をダウ上昇→目標4H足戻り高値145.903
②Short
(C)日足高値144.844付近へ上昇→転換下落→目標4H足レンジ高値144.290
(D)4H足戻り高値145.903付近へ上昇→転換下落→目標4H足戻り高値145.260
本日:2勝2敗、+19.1pips
9月通算:19勝14敗、勝率57.6%、RR2.00 、+242.6pips
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