ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀短観
・日銀、金融政策決定会合における主な意見(9月19・20日分)
・米国PMI確報値(製造業)
・米国建設支出
・米国JOLTS求人件数
・米国ISM製造業景気指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
2.要人発言
・FRB
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は上昇か、石破新総裁で日銀の利上げ路線維持を期待(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利上昇か、石破新総裁で「高市トレード」反動(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
本日の注目は、米国JOLTS求人件数と米国ISM製造業景気指数です。
(2024年、米国ISM製造業景気指数発表日のドル円動きまとめ)
9/18(水)FOMC公表・パウエルFRB議長会見や、それ以降のFRB要人でも繰り返し示されている通り、インフレ指標よりも労働市場鈍化へ警戒が高まっています。
先週ら前日まで月末・四半期末の大口投資家ポジション調整(推測)が交錯したことでドル円乱高下しやすい環境でしたが、指標の強弱に対して素直に反応しやすい環境になったと考えます。但し、月初のポジション調整もあり得るため注意したい。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50 経済指標
日銀短観(日本銀行)
大企業製造業・業況判断:前回13、予想13、結果13(○)
大企業製造業・先行き:前回14、予想13、結果14(○)
大企業非製造業・業況判断:前回33、予想32、結果34(◎)
大企業非製造業・先行き:前回27、予想28、結果28(○)
大企業全産業・設備投資:前回11.1%、予想11.8%、結果10.6%(×)
大企業製造業の景況感は横ばい、市場予想上回る-日銀正常化サポート(Bloomberg)
【考察】総じて強い数値。
8:50 経済指標
日銀、金融政策決定会合における主な意見(9月19・20日分)(日本銀行)
米経済や不安定な市場見極め、追加利上げに慎重な声相次ぐ-日銀意見(Bloomberg)
【考察】追加利上げ慎重姿勢のハト派内容。日銀早期追加利上げ観測後退。ドル円上昇
東京マーケット(9:00~15:00)
10:06~要人発言
鈴木財務相、円安阻止へ「意味のある介入だった」-退任会見で振り返り(Bloomberg)
【考察】161円台水準時のことですが円安マイナス面懸念。円安牽制発言とみられたためかドル円下押し。
13:27~要人発言
為替介入判断、属人的に変わるわけではない=三村財務官(Reuters)
(過去の発言:8/7, 10/1)
:前回8/7急変動牽制発言
【考察】急変動牽制発言
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
17:33~要人発言
日銀利上げ「慎重に判断を」、デフレ完全脱却が最優先-赤沢新再生相(Bloomberg)
【考察】日銀利上げ牽制発言。ドル円下げ止まり。
21:09~要人発言
デフレ脱却実現へ、金融緩和の基本的な基調維持を-石破首相(Bloomberg)
【考察】日銀利上げ牽制発言。ドル円上昇
22:32 要人発言
イラン、イスラエルに対し弾道ミサイル攻撃を準備中-米当局者(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ悪化。ドル円急落。
22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:1/24, 2/22, 3/21, 4/23, 5/23, 6/21, 7/24, 8/22, 9/23)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回47.0、予想47.0、結果46.6(×)
23:00 経済指標
米国建設支出
前月比:前回-0.3%(改定-0.5)、予想0.2%、結果-0.1%(△)
23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 1/3, 1/30, 3/6, 4/2, 5/1, 6/4, 7/2, 7/30, 9/4, 10/1)
(Bureau of Labor Statistics)
前回767.3万件(改定771.1)、予想765.5万件、結果804.0万件(◎)
23:00 経済指標
米国ISM製造業景気指数:景気先行指標として注目度大(Institute for Supply Management)
(発表日; 1/3, 2/1, 3/1, 4/1, 5/1, 6/3, 7/1, 8/1, 9/3, 10/1)
基準50、前回47.2(改定)、予想47.5、結果47.2(△)→注目大
・仕入価格:前回54.0、予想53.5、結果48.3(×)
・新規受注:前回44.6、予想45.0、結果46.1(◎)
・雇用:前回46.0、予想47.1、結果43.9(×)→注目大
米ISM製造業指数、6カ月連続で活動縮小-受注や雇用が低迷(Bloomberg)
【考察】
発表前:中東地政学リスクオフでドル円急落。直前143.54。
発表後:米国JOLTS求人件数(強)、米国ISM製造業景気指数・雇用(弱)の強弱交錯。初動は米国JOLTS求人件数(強)で143.88へ上昇するも、米国ISM製造業景気指数・雇用(弱)かつ中東地政学リスクオフで日足安値142.97へ急落。
(日足押し安値ヒゲ先142.89、1H足押し安値143.021、切番143.00付近)
23:11 要人発言
ホワイトハウス
「イランの攻撃は4月と似た形になる可能性」
【考察】4月のイランによる攻撃はほとんどドローンでありイスラエル軍によりほぼ撃墜されています。弾道ミサイル攻撃はないと判断され地政学リスクオフ後退し、143.92へ全戻し。
24:15 要人発言
ホワイトハウス
イランは12時間以内にイスラエル攻撃へ、弾道ミサイルで-米高官(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ継続でドル円下落。
25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q3:前回3.1%、予想3.1%、結果2.5%(×)
【考察】弱い数値。
25:32 要人発言
イスラエル国防軍
「イランがミサイル攻撃開始」
イラン、弾道ミサイルでイスラエルを直接攻撃-米国は防衛を支援(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ継続でドル円下落継続。
24:10~要人発言
米国クックFRB理事(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:6/25, 7/11, 9/27, 10/1)
:政策スタンスは中立。前回9/27ハト派、労働市場減速懸念発言
クックFRB理事、AIが生産性押し上げへ-どの程度かは依然不透明(Bloomberg)
【考察】金利見通しについてはコメントなし。
<まとめ>
東京マーケット:
・ドル円:上昇
・株:日経平均上昇、TOPIX上昇、ダウ先物揉み合い下落
・国債:日本10年債利回り下落、米国10年債利回り上昇
・通貨強弱:ドル>円(ドル買い優勢、円売り優勢)
・原油先物価格:揉み合い。
日足始値143.65
取引開始直後、日通し安値143.37へ下押しすると、前日米国パウエルFRB議長タカ派発言の影響継続、日銀金融政策決定会合における主な意見(9月19・20日分)のハト派内容を受けて日通し高値144.42(4H足三尊右肩実体144.28付近)へ上昇。
【日本市況】株式が反発、米経済を楽観視-円は下落し債券は小幅高(Bloomberg)
欧米マーケット:
・ドル円:欧州下落、NY乱高下
・株:欧州株下落、米国主要3指数(ダウ、S&P、ナスダック)下落、日経平均先物下落
・国債:欧州10年債利回り下落、米国10年債利回り下落
・通貨強弱:ドル≒円(ドル買い優勢、円買い優勢)
・原油先物価格:急騰
欧州オープン後、日足高値144.53(4H足押し安値144.48付近)を付けてからは、注目の米国経済指標を控えてロング勢決済入り下落から揉み合い。
ところが、米国経済指標発表直前、「イラン、イスラエルに対し弾道ミサイル攻撃を準備中」とのサプライズが伝わると、中東地政学リスクオフが一気に広がり143.18へ急落。
米国JOLTS求人件数(強)、米国ISM製造業景気指数・雇用(弱)は強弱交錯。
初動、米国JOLTS求人件数(強)で143.88へ上昇するも、米国ISM製造業景気指数・雇用(弱)かつ中東地政学リスクオフで日足安値142.97へ急落。
その後、中東地政学に関する要人発言や報道交錯し、ドル円乱高下となり引けました。
日足終値143.57
【米国市況】株は「様子見モード」、中東での対立激化-143円台半ば(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・9/30米国パウエルFRB議長タカ派発言の影響
・米国JOLTS求人件数(強)
・米国ISM製造業新規受注(強)
・中東地政学リスクオフ→安全資産ドル買い
・中東地政学リスクオフ→原油先物価格急騰→インフレ懸念
売り材料:
・米国PMI確報値(製造業)、米国建設支出(弱)
・米国ISM製造業景気指数、仕入価格、雇用(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)
<円買い優勢>
買い材料:
・日銀短観(強)→日銀追加利上げ観測
・鈴木財務相の円安牽制発言
・中東地政学リスクオフ→株下落(円キャリー巻き戻し)、安全資産円買い
・2024年6月調査想定為替レート(全規模・全産業)下期144.31(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・日銀、金融政策決定会合における主な意見(9月19・20日分)のハト派内容→日銀早期追加利上げ観測後退
・赤沢経済再生相、石破首相の日銀利上げ牽制発言
・中東地政学リスクオフ→原油先物価格急騰→日本貿易収支悪化
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ65.3→63.7%、50bps引き下げ34.7→36.3%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陰線確定。レンジ。20MA・押し安値付近。
- 週足:9/30週、陰線確定。下降トレンド中の調整波に相当。BB-1σ付近
- 日足:9/30陽線。レンジ。20MA付近。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足高値143.915をダウ上昇→目標4H足三尊右肩144.283
(B)4H足三尊右肩144.283をダウ上昇→目標日足レンジ高値144.819
②Short
(C)日足高値143.915付近へ上昇→転換下落→目標1H足押し安値143.021
(D)1H足押し安値143.021かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値142.554
10月通算:1勝2敗、勝率33.3%、RR2.02 、+39.9pips
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