2024年7月9日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

(1)経済指標
・日本5年国債入札
・米国3年債入札

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言

(3)その他や
・日銀、「債券市場参加者会合」を7月9日と10日に開催(Bloomberg)→会合リーク報道に要警戒
・日本ETF決算(7/8や7/10多):分配金捻出の株売り圧力
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

(4)参考情報
来週の円相場は上昇か、米インフレの鈍化意識しドル安リスク(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利上昇か、債券市場参加者会合で減額拡大懸念(Bloomberg
【日本株週間展望】高止まり、米利下げや業績期待-需給面は懸念材料(Bloomberg

(5)本日の注目材料

①日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
7月に入り162円台目前を推移しており、政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。

一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)に加え、新規円売り(自動車認証不正問題の日本経済悪化波及、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)も生じていることから、ドル円下落は一時的で押し目が入りやすい相場環境は続くと考えます。

②パウエルFRB議長議会証言
7/2パウエルFRB議長発言は、ハト・タカ派発言が交錯するもFOMC公表後の発言と比べればハト派寄りとなり、他のFRB要人からもハト派発言が増える傾向が見られます。
一貫しているのは「更なるデータが必要」とのスタンスですが、7/2以降の注目度が高い指標は弱い数値が続いています。
・7/3米国ISM非製造業景気指数(弱)
・7/5米国雇用統計(対前回弱)

これらを受けて更にハト派寄りになるのか、「更なるデータが必要」とのスタンスを維持するのか注目したい。

7/11(水)米国消費者物価指数を控えており、基本はタカ・ハト派のバランスを取った発言に終始すると想定します。従って、(a)~(c)交錯によりドル円乱高下しやすいと考えます。

(a)タカ派発言(更なるデータが必要、利下げ慎重)→ドル円上昇
(b)ハト派発言(利下げ前向き)→米国債利回り低下→ドル円下落
(c)ハト派発言(利下げ前向き)→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

FRB議長、高金利批判に直面へ-金融政策巡る今週の議会証言(Bloomberg

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

11:36~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/46/76/186/216/246/256/276/287/2, 7/5, 7/9)
:前回7/5円安牽制発言
過度な金利上昇やインフレ「未然に防ぐこと重要」=鈴木財務相(Reuters

【考察】金利上昇、インフレ牽制発言。ドル円下落。

12:35 経済指標
日本5年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆3000億円程度
最高落札利回り:前回0.517%、結果0.614%(×)
応札倍率:前回3.97倍、結果4.26倍(◎)
テール:前回2銭、結果1銭(◎)

【考察】総じて入札好調。

15:53 要人発言
日銀、債券市場参加者会合事前ヒアリング資料公表
日銀の最終的な国債購入額、ゼロ・2兆-3兆・4兆円など幅広い意見(Bloomberg

【考察】日銀政策修正警戒感からドル円下落。しかし決定事項ではなくサプライズでもないことか全戻し。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

23:01~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(議会証言、事前原稿)(Fed News & Events, Calendar
(発言:5/15/145/196/12, 7/2, 7/9)
:政策スタンスは中立。前回7/2ハト、タカ派発言
パウエル議長、雇用市場のリスクを指摘-利下げ時期ヒント与えず(Bloomberg

【考察】初動はインフレ進展のハト派発言に反応して160.89へ下押し。しかし、最近のインフレや労働経済指標(弱)が続く状況でも更なるデータを必要とする利下げ慎重のタカ派発言を受けて、日足高値161.52へ急上昇。

23:31~要人発言
米国イエレン財務長官
イエレン氏が擁護、バイデン大統領は会合で「極めて鋭敏」(Bloomberg

【考察】金融政策へのコメントなし

26:00 経済指標
米国3年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):580億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.659%、結果4.399%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.43倍、結果2.67倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回64.14%、結果63.97%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+1.1bps、結果+0.8bps(◎)
WI:4.407%

【考察】入札好調。ドル円下落。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値160.80
取引開始直後に日足安値160.73を付けると、最近の米国インフレや労働経済指標(弱)を受けた米国利下げ期待からリスクオン日本株上昇(円キャリー促進)に連れて東京始値160.86から日通し・東京高値161.13へと上昇。
一方、161円台は重く、日銀の債券市場参加者会合への警戒もあり、引けに掛けてじり下げ。161円台突破には新規材料待ちの様相。
但し、4H足レベルの三角持ち合い上抜けしたことで上目線優勢と推測となし、押し目買いが入りやすいと推測されます。
東京終値160.90

【日本市況】日経平均が最高値、中長期債に買い-FRB議長証言待ち(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン直前に日銀債券市場参加者会合の事前ヒアリング資料が公表されたことで日銀政策修正への警戒感から、欧州オープン後に日通し安値付近160.74へ下落。
但し、決定事項ではなくサプライズでもないことから押し目買い入り、日通し高値161.18へ再上昇しましたが、本日最大の注目であるパウエルFRB議長の議会証言を控えて揉み合い。

NYオープンするとパウエルFRB議長の議会証言でハト派発言への警戒や織り込みから再び161円割れ。
パウエルFRB議長の議会証言事前原稿が伝わると、初動はインフレ進展のハト派発言に反応して160.89へ下押し。
一方、最近のインフレや労働経済指標(弱)が続く状況でも更なるデータを必要とする利下げ慎重のタカ派発言を受けて、日足高値161.52へ急上昇しました。
但し、161.50付近からは政府・日銀為替介入警戒感が更に高まり、かつ米国3年債入札(強)を受けたことで揉み合いで引け。
日足終値161.32

【米国市況】S&P500が最高値、年内利下げの見方-ドル161円台前半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国パウエルFRB議長のタカ派発言

売り材料:
・最近の米国インフレや労働経済指標(弱)→米国利下げ期待
・米国パウエルFRB議長のハト派発言
・米国3年債入札(強)
・原油先物価格下落→インフレ懸念後退

<円売り優勢>
買い材料:
・鈴木財務相の金利上昇、インフレ牽制発言
・日銀債券市場参加者会合、事前ヒアリング資料公表
・仏政情不安→リスクオフ欧州株下落(円キャリー巻き戻し)
フランスの左派、マクロン氏のグループに接近-連立形成で主導権狙う(Bloomberg
・原油先物価格下落→日本貿易収支改善

売り材料:
・日本5年国債入札(強)
・最近の米国インフレや労働経済指標(弱)→米国利下げ期待→前日米国株上昇影響→リスクオン日本株上昇(円キャリー促進)
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き95.3%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ70.0%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:7/8週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:7/8コマ足陽線。上昇トレンド。
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:三角持ち合い。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)日足高値161.119かつ4H足20MAをダウ上昇→目標1H足戻り高値161.358
(B)日足ダウ高値159.812付近へ下落→転換上昇→目標日足安値160.262

②Short
(C)日足安値160.262をダウ下落→目標日足ダウ高値159.812

7月通算:6勝4敗、勝率60.0%、+76.6pips

(Trading View)

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