2024年7月5日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

(1)経済指標
・米国雇用統計
・IMM通貨先物円ポジション

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言

(3)その他
・五十日仲値
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

(4)参考情報

(5)本日の注目材料

①日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
7月に入り162円台目前を推移しており、政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。

一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)に加え、新規円売り(自動車認証不正問題の日本経済悪化波及、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)も生じていることから、ドル円下落は一時的で押し目が入りやすい相場環境は続くと考えます。

②米国経済指標
本日最大の注目は米国雇用統計(2024年、米国雇用統計発表日のドル円動きまとめ
今月に入り、主要な経済指標は弱い数値が多くなっています。
・7/1(月)米国ISM製造業(弱)
・7/2(火)米国JOLTS求人件数(強)
・7/3(水)米国ADP雇用者数、米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国ISM非製造業(弱)

そのため、前日には米国雇用統計サプライズ(弱)への警戒や期待織り込みからドル円下落が生じました。

従って、初動は(c)ドル円下落で、切番や日足抵抗での下げ止まりから(d)ドル円上昇を想定します。但し、(a)ドル円急騰は値幅も大きくなりやすいため要警戒したい。

(a)強い数値→巻き戻しのドル円急騰(Buy the fact)
(b)強い数値→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)ならドル円下落
(c)弱い数値→ドル円下落。但し、下記の通りFRBは「更なるデータ必要」とのスタンスを維持しており、ドル円下落トレンド続きにくい。
(d)弱い数値→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

6月の米雇用、大幅減速示す可能性-年内複数利下げシナリオ後押しも(Bloomberg

③FRB要人発言
7/2パウエルFRB議長発言は、ハト・タカ派発言が交錯するもFOMC公表後の発言と比べればハト派寄りとなり、他のFRB要人からもハト派発言が増える傾向が見られます。但し、一貫しているのは「更なるデータが必要」とのスタンス。

従って、引き続き基本は(a)ドル円上昇で、(b)ドル円下落しても一時的で押し目買い機会と考えます。

(a)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(b)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

6:01 報道
英14年ぶり政権交代へ、労働党が総選挙で410議席獲得見通し-出口調査(Bloomberg

【考察】野党労働圧勝で政権交代見込み。事前予想通りのサプライズなしのためか英国政情不安リスクオンにならず材料通過の安心感からドル円上昇。

東京マーケット(9:00~15:00)

11:21~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/46/76/186/216/246/256/276/28, 7/2, 7/5)
:前回7/2円安牽制発言
日銀には十分で適切な金融政策運営を期待=鈴木財務相(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

18:41~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:5/65/165/306/18, 7/1, 7/3, 7/5)
:政策スタンスは中立。前回7/3金融政策へのコメントなし
NY連銀総裁、インフレ退治で大幅な進展も目標達成には「まだ距離」(Bloomberg

【考察】タカ派発言。ドル円上昇。

21:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;7/78/49/110/611/312/81/52/23/84/55/3, 6/7, 7/5)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回27.2万人(改定21.8)、予想19.0万人、結果20.6万人(○)
失業率:前回4.0%(改定)、予想4.0%、結果4.1%(×)
平均時給
前月比:前回0.4%(改定)、予想0.3%、結果0.3%(○)
前年比:前回4.1%(改定)、予想3.9%、結果3.9%(○)
米雇用統計、雇用者数と賃金の伸び鈍化-失業率は4.1%に上昇(Bloomberg
【米雇用統計】FOMCに9月利下げの確信与える-市場関係者の見方(Bloomberg

【考察】
発表前:米国雇用統計(弱)警戒や期待織り込みでドル円急落すると、仏・英国政情不安後退のリスクオン株上昇(円キャリー促進)、米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言を受けて揉み合い。直前160.62。
発表後:強弱混在。初動NFP(強)で161.16(切番160.00付近)へ急騰から、失業率(弱)で急落し日足安値160.34付けると、平均時給(強)かつリスクオン株上昇に連れて日足押し安値ヒゲ先160.26や4H足押し安値160.34付近から押し目買い入り再び161.33へ急上昇の乱高下。

更に、対予想値ヘッドラインが消化されると、対前回値からの低下が9月FOMC利下げ観測を高めリスクオン株上昇(円キャリー促進)と交錯してドル円乱高下。

28:30 経済指標
IMM通貨先物6/25時点(ポジション推移
円ショート大幅増

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値161.29
前日米国祝日休場でしたがリスクオン欧州株上昇(円キャリー促進)の影響継続や、本日の英国総選挙において野党労働党勝利で政権交代見込みが伝わりましたが、事前予想通りであったことで英国政情不安リスクオフなく材料通過のリスクオンによって、取引開始には日足高値161.40を付けました。

東京マーケットオープンすると、前日同様に7/3米国経済指標(弱)の影響から本日米国雇用統計(弱)警戒や期待織り込みによるドル売り発生。
更に日経平均株価が過去最高値更新後に利確の下落によって円キャリー巻き戻し発生。
ドル売り・円買いによって東京始値161.36から急落し、日通し・東京安値160.53を付けました。
但し、日足押し安値160.74付近からの押し目買い入ったことで揉み合いで東京引け。
東京終値160.68

【日本市況】円が1週間ぶり高値、株の連騰止まる-日経平均最高値も(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、米国雇用統計(弱)警戒や期待織り込み続くも、仏・英国政情不安後退のリスクオン株上昇(円キャリー促進)、米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言が交錯し、日足押し安値160.74を挟んでもみ合い上昇。

注目の米国雇用統計は強弱混在。初動NFP(強)で161.16(切番160.00付近)へ急騰から、失業率(弱)で急落し日足安値160.34付けると、平均時給(強)かつリスクオン株上昇に連れて日足押し安値ヒゲ先160.26や4H足押し安値160.34付近から押し目買い入り、再び161.33へ急上昇の乱高下。

ところが、対予想値ヘッドラインが消化されると、対前回値からの低下が9月FOMC利下げ観測を高めリスクオン株上昇(円キャリー促進)と交錯してドル円乱高下。
日足終値160.80

【米国市況】株上昇、雇用統計が年内利下げ観測後押し-160円台後半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言

売り材料:
・7/3米国経済指標(弱)の影響、7/5米国雇用統計(弱)警戒や期待織り込み
・米国雇用統計:対前回(弱)→9月FOMC利下げ観測高進

<円買い優勢>
買い材料:
・日経平均株価が過去最高値更新後に利確下落:円キャリー巻き戻し
・鈴木財務相の円安牽制発言

売り材料:
・英国総選挙、野党労働党圧勝の政権交代:材料通過の安心感→リスクオン
・リスクオン米株上昇(円キャリー促進)
・IMM通貨先物6/25時点:円ショート大幅増
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き92.2%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ71.1%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:7月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:7/1週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:7/4陰線。上昇トレンド、調整波。
  • 4H足:下降トレンド、4H押し安値かつ切番付近
  • 1H足:下降チャネル、20MA付近
  • 15M足:上昇チャネル。ダブルボトムから上昇中。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足ダウ安値161.132付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ安値161.440
(B)日足押し安値160.744付近へ下落→転換上昇→目標日足安値160.948

②Short
(C)4H足ダウ安値161.440付近へ上昇→転換下落→1H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ安値161.132
(D)日足安値160.948をダウ下落→目標日足押し安値160.744

7月通算:4勝2敗、勝率66.7%、+62.3pips

(Trading View)

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