2024年8月30日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・東京消費者物価指数
・外国為替平衡操作の実施状況
・米国PCE、PCEデフレータ
・米国シカゴ購買部協会景気指数
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測
・米国アトランタ連銀GDP Now

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・月末、週末五十日仲値
・月末ロンドンフィックス
・IMM通貨先物円ポジション
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。

5.本日の注目材料
(1)8/29(木)マーケット影響
①米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数・米国実質GDP改定値(強)→日足高値145.56へ急騰。
②FRB9月利下げ期待の背景から上値145.00付近に抑えたい勢力、又は注目の米国PCEデフレータ(弱)期待の織り込みや月末ポジション調整(推測)→ドル円急落

本日①を引き継いでドル円上昇スタートを見込みますが、米国PCEデフレータ発表前は手控えやポジション調整により方向感のない動きを想定します。

(2)米国経済指標
本日最大の注目は米国PCEデフレータです(2024年、米国PCEデフレータ発表日のドル円動きまとめ
今年の傾向として、数値の強弱の関わらず日足安値を付けるような下落が生じても、引けまでに全戻しもしくは半値戻しが生じています。本日のこの傾向が見られるか注視したい。

また、8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。但し、利下げタイミングとペースはデータ次第。
従って、注目は9月0.50%大幅利下げの有無となります。

(a)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
東京消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口
全国消費者物価指数の先行指標で日本国内のインフレが進んでいる中で注目度が高まっています。
前年比(日銀目標2.0%):前回2.2%(改定)、予想2.3%、結果2.6%(◎)
コア前年比:前回2.2%(改定)、予想2.2%、結果2.4%(◎)
コアコアCPI前年比:前回1.5%(改定)、予想1.4%、結果1.6%(◎)
東京消費者物価が伸び拡大、エネルギー上昇続く-追加利上げ観測後押し(Bloomberg

【考察】強い数値。ドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

17:00 経済指標
日銀
国債買い入れオペ8~9月日程更新(日銀、国債買い入れ
予定:9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25

19:00 経済指標
外国為替平衡操作の実施状況(財務省

【考察】7/30-8/28介入額ゼロ

21:30 経済指標
米国PCE
個人所得:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.3%(◎)
個人支出:前回0.3%(改定)、予想0.5%、結果0.5%(○)

米国PCEデフレータ(過去の発表日:1/262/293/294/265/316/28, 7/26, 8/30)
総合指数より基調的なインフレを反映するコア指数がより注目されます。
強い数値なら、「インフレへの警戒感→FF金利上昇する可能性→ドル買い材料」

【6/12米国FOMC公表2024年見通し:コアPCE2.6%】
前月比:前回0.1%(改定)、予想0.2%、結果0.3%(◎)
前年比(FRB目標2.0%):前回2.5%(改定)、予想2.6%、結果2.5%(△)
コア前月比:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
コア前年比:前回2.6%(改定)、予想2.7%、結果2.6%(△)
米PCEコア価格指数、7月は予想下回る伸び-利下げ観測後押し(Bloomberg

【考察】
発表前:4H足レンジ高値付近。直前145.36。
発表後:米国PCE(強)。PCEデフレータ(強弱混在)も概ね予想通り。FRB9月0.5%大幅利下げの可能性は低いと判断されたためか、織り込み剥落により日通し高値145.75へ上昇。

22:00 要人発言
OPECプラス
「10月から段階的な石油生産増加計画を進める可能性」

【考察】サプライズで原油先物価格急落。ドル円下落。

22:45 経済指標
米国シカゴ購買部協会景気指数
米国ISM製造業景気指数の前営業日に発表される同指標の先行指標。
基準50、前回45.3(改定)、予想44.9、結果46.1(◎)

23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(速報値発表日; 1/192/163/154/125/106/147/12, 8/16
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。

前回67.8、予想68.1、結果67.9(△)

米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回2.9%、予想2.9%、結果2.8%(×)
5年先:前回3.0%、予想3.0%、結果3.0%(○)

【考察】強弱混在。ドル円揉み合い。

23:40 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 8/15, 8/16, 8/26, 8/30)
Q2:前回2.0%、予想2.0%、結果2.5%(◎)

24:00 月末ロンドンフィックス
前後の時間帯でポジション調整によって不規則な乱高下生じやすい。

28:30 経済指標
IMM通貨先物8/27時点(ポジション推移
円ロング小幅増

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.97
取引開始後に日通し高値145.08を付けるも、東京消費者物価指数(強)を受けて日足安値144.65へ下落。
その後、8/29米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国実質GDP改定値(強)の影響(日本株上昇(円キャリー促進)、米国債利回り上昇)と、FRB9月利下げ期待の背景から上値145.00付近に抑えたい勢力のせめぎ合いにより揉み合いで引けました。
(4H足上昇チャネル内に、1H足レンジ形成)

【日本市況】株式は上昇、米景気楽観と月末需給-債券小安く円小動き(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後は、8/29米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国実質GDP改定値(強)の影響(欧州株上昇(円キャリー促進))と米国PCEデフレータ(強)予想の織り込みのためか、ドル円上昇継続。

米国PCE(強)。PCEデフレータ(強弱混在)は概ね予想通り。FRB9月0.5%大幅利下げの可能性は低いと判断されて織り込み剥落により日通し高値145.75へ上昇。

しかし、OPECプラス10月から増産計画のサプライズを受けた原油先物価格急落につれてドル円下落。

その後、米国シカゴ購買部協会景気指数(強)、米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値・インフレ予測(強弱混在)でも揉み合うも、原油先物価格上昇に転じると、日足高値146.25へ上昇して引けました。
(4H足上昇トレンド発生)
日足終値146.20

【米国市況】株上昇、終了直前に上げ幅拡大-ドル買い優勢で146円台(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・8/29米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国実質GDP改定値(強)の影響継続
・米国PCE(強)、PCEデフレータ(強弱混在)概ね予想通り
・米国シカゴ購買部協会景気指数(強)

売り材料:
・OPECプラス増産計画→原油先物価格急落→インフレ懸念後退

<円売り優勢>
買い材料:
・東京消費者物価指数(強)
・OPECプラス増産計画→原油先物価格急落→日本貿易収支改善

売り材料:
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

日本の観光立国化阻むパイロット不足、即戦力の外国人には給与の壁(Bloomberg
カード各社、訪日客増え赤字拡大 300億円規模に(日本経済新聞

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ66.0→67.0%、50bps引き下げ34.0→33.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:8月陰線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
  • 週足:8/26週、陽線形成中。下降トレンド。
  • 日足:8/29陽線。レンジ。BB-1σ付近。
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足戻り高値145.007をダウ上昇→目標4H足レンジ高値145.390
(B)4H足レンジ高値145.390をダウ上昇→目標4H足レンジ安値145.769

②Short
(C)4H足レンジ安値145.769付近へ上昇→転換下落→目標4H足レンジ高値145.390
(D) (C)後、4H足レンジ高値145.390かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足戻り高値145.007

本日:2勝2敗、+16.9pips
8月通算:23勝18敗、勝率56.1%、RR 1.98、+459.1pips

(Trading View)

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