2024年4月26日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)4/25の欧米マーケット影響
米国経済指標は強弱混在で乱高下。初動は実質GDP・個人消費の弱い数値で155.31へ下押しするも、GDPデフレータ・PCEコアデフレータと米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数の強い数値を受けて日足高値155.75へ上昇。直後、日銀の国債買い入れ額削減検討報道で155.35へ急落するも時期や規模が不透明で直ぐ全戻し。米国7年債入札不調で引けに掛けて揉み合いながら上昇。
日足終値155.65

(2)経済指標
・東京消費者物価指数
・日銀金融政策決定会合公表
・米国PCE、PCEデフレータ
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測

(3)要人発言
・植田日銀総裁
・FEDウォッチャーであるWSJ紙のニック・ティミラオス氏(Twitter):FOMCブラックアウト期間(4/20~4/30)のため発言や記事に要注意。

(4)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。

・米国主要企業決算
・IMM通貨先物ポジション
・中東地政学リスクオフ

本日の注目材料は3点。
①日銀金融政策決定会合公表、植田日銀総裁会見
市場コンセンサスは金融緩和維持。
積極的な利上げのサプライズがない限り、イベント通過の安心感や広い日米金利差継続からドル円上昇優勢と推測します。
但し、155円台に乗ったことで今までより為替介入への警戒感が高まったことから、ドル円急騰が生じれば実介入によるドル円暴落の可能性あり。但し、現状のドル円上昇はファンダメンタルズに基づくことから、実介入が実施されても押し目買いに機会になりやすいと推測します。

日銀会合注目点:新たな物価見通しと総裁会見、円安けん制の有無(Bloomberg

②米国経済指標
特に米国PCEデフレータの注目度が高い。「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定しますが、政府・日銀為替介入による一時的な急落には要警戒。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB政策利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいと推測します。

③中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
東京消費者物価指数(政府統計の総合窓口
全国消費者物価指数の先行指標で日本国内のインフレが進んでいる中で注目度が高まっています。
日銀物価目標2.0%。日銀政策金利0.0-0.1%
前年比:前回2.6%(改定)、予想2.5%、結果1.8%(×)
コア前年比:前回2.4%(改定)、予想2.2%、結果1.6%(×)
コアコアCPI前年比:前回2.9%(改定)、予想2.7%、結果1.8%(×)

8:47~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/53/73/83/123/153/193/213/223/263/273/294/14/24/44/54/94/114/124/154/164/174/184/194/23, 4/25, 4/26)
:前回4/25円安牽制発言
為替市場動向をしっかり注視、万全な対応取っていく-鈴木財務相(Bloomberg

【考察】円安牽制発言。

東京マーケット(9:00~15:00)

12:22 経済指標
日銀金融政策決定会合公表(日本銀行
(過去の発表日:4/286/167/289/2210/3112/191/23, 3/19, 4/26, 次回6/14)
過去の傾向では正午付近の公表は会合参加者の意見の相違は少なく金融政策変更なし。13:00頃に近づくほど金融政策変更の可能性高い。

政策金利:前回0.0-0.1%、予想0.0-0.1%、結果0.0-0.1%(○)
声明:2024年3月金融政策決定会合決定方針を維持。緩和継続。
経済・物価情勢の展望(4月、基本的見解):緩和的な金融環境が継続。
日銀が政策維持、国債購入方針据え置き-物価基調上昇なら緩和調整(Bloomberg

【考察】
発表前:4/25(木)国債買い入れ額削減検討報道(時事通信)を受けてタカ派姿勢への警戒から揉み合い。直前155.53。
発表後:国債買い入れ額削減なし(日本経済新聞等、複数メディアなら報道なければ事前報道の信頼性低そう)。金融緩和維持。ドル円急騰。

15:30~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:2/62/92/162/222/293/53/73/123/133/193/213/223/274/44/54/84/94/104/18, 4/23, 4/26)
:前回4/23タカ、ハト派発言。
日銀総裁、円安が基調物価に無視し得ぬ影響なら判断材料に-政策維持(Bloomberg

【考察】現状の円安は「無視できる状況」とサプライズの円安容認ハト派発言。ドル円上昇継続。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国PCE
個人所得:前回0.3%(改定)、予想0.6%、結果0.5%(△)
個人支出:前回0.8%(改定)、予想0.6%、結果0.8%(○)

米国PCEデフレータ(過去の発表日:4/285/266/307/288/319/2910/2711/3012/221/262/29, 3/29, 4/26)
強い数値なら、「インフレへの警戒感→FF金利上昇する可能性→ドル買い材料」
前年比:前回2.5%(改定)、予想2.6%、結果2.7%(◎)
前月比:前回0.3%(改定)、予想0.4%、結果0.3%(△)
コア前年比:前回2.8%(改定)、予想2.7%、結果2.8%(○)
コア前月比:前回0.3%(改定)、予想0.4%、結果0.3%(△)

【考察】
発表前:植田日銀総裁円安容認発言の影響で上昇継続。直前156.93
発表後:米国PCE・PCEデフレータ共に強弱混在。初動156.63へ下振れから揉み合い。

23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(過去の速報値発表日;5/126/167/148/119/1510/1311/1012/81/192/163/15, 4/12
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。

前回77.9、予想77.9、結果77.2(×)

米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回3.1%、予想3.1%、結果3.2%(◎)
5年先:前回3.0%、予想3.0%、結果3.0%(○)

【考察】強弱混在。しかし、インフレ予測(強)が材料視され上昇継続

28:30 経済指標
IMM通貨先物4/23時点(ポジション推移
円ショート拡大

【考察】円売り材料

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値155.65。
東京消費者物価指数の弱い数値が出るも日銀金融政策決定会合公表でのタカ派姿勢が警戒され揉み合い。
日銀金融政策決定会合公表は現状緩和維持のハト派で東京高値156.22へ急上昇。

【日本市況】円34年ぶり安値更新、日銀政策維持で金利差意識-株上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
植田日銀総裁会見ではサプライズの円安容認ハト派発言からドル円急騰継続し日通し高値156.83を付けると日足安値154.97へ急落。政府・日銀為替介入としては下落幅が小さいことから、介入に見せかけた投機筋の仕掛けか。
直ぐに全戻しとなり日通し高値156.93へ急騰。
注目の米国PCE・PCEデフレータは強弱混在、2月・3月度と異なり強い数値が材料視、かつ植田日銀総裁発言の影響強く上昇継続。
更に米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値・インフレ予測も強弱混在するも強い数値が材料視され急騰継続。
警戒されていた政府・日銀為替介入もなく、原油先物価格高止まりも支えとなり、引け直前に日足高値158.44到達。
日足終値158.35

【米国市況】円が大幅安、158円台前半-物価指標受け株高・国債安(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・ドル買い優勢
買い:米国PCE個人支出、米国PCEデフレータ前年比・コア前年比、米国ミシガン大学インフレ予測の強い数値。原油先物価格高止まり。
売り:米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値の弱い数値。

・円売り優勢
買い:
売り:東京消費者物価指数の弱い数値。日銀金融政策決定会合公表のハト派維持。植田日銀総裁の円安容認発言。IMM通貨先物4/23時点円ショート拡大。原油先物価格高止まり。

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
5月1日公表:据え置き93.8%
9月18日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ44.4%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

トレード

  • 月足:4月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:4/22週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:4/25陽線。上昇トレンド。
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①ロング
(A)4H足ダウ高値155.681をダウ上昇→目標切番156.000
(B)日足安値155.198付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値155.511

②ショート
(C)1H足レンジ安値155.511かつ1H足20MAを転換下落→目標日足安値155.198

4月通算:11勝5敗、勝率68.8%、+90.6pips

(Trading View)

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