ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国ADP雇用者数
2.要人発言
・植田日銀総裁(全国証券大会)
・FRB
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ3倍デー
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は上昇か、石破新総裁で日銀の利上げ路線維持を期待(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利上昇か、石破新総裁で「高市トレード」反動(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
本日の注目は、労働市場関連の米国ADP雇用指数ですが、昨日から下記の中東地政学リスクオフが市場最大の注目材料になったことから、該指標で大きな動きは出にくいと想定します。
(2)中東地政学リスクオフ
前日、イランがイスラエルへ大規模なミサイル攻撃を実施し、米国軍も今まで以上に戦闘に直接関与することから、中東戦争拡大への懸念が高まりました。
イラン、弾道ミサイルでイスラエルを直接攻撃-米国は防衛を支援(Bloomberg)
下記材料が想定されますが、前日はリスクオフドル買い・円買い交錯し、ドル円下落から乱高下となりました。
地政学リスクオフ悪化となれば初動ドル円急落から乱高下の可能性が高く、地政学リスクオフ後退となれば巻き戻しのドル円上昇を想定します。従って、今まで以上に報道や要人発言ヘッドラインに要警戒が必要と考えます。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→リスクオフドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
6:56~要人発言
イラン・アラグチ外相
イランの攻撃、イスラエルがさらなる報復招かない限り終了=外相(Reuters)
【考察】中東地政学リスクオフ後退
7:55~要人発言
イラン、弾道ミサイルでイスラエル攻撃-ネタニヤフ首相は報復誓う(Bloomberg)
【考察】直前のイラン・アラグチ外相発言で一旦はイラン攻撃が収束期待のリスクオンでドル円上昇継続。しかし、イスラエル報復が実行されれば再び中東地政学リスクオフ。
東京マーケット(9:00~15:00)
10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション)
(2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ)
(発表日:9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25, 10/2, 10/7, 10/11, 10/18, 10/28)
1年以下:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
1~3年債:前回3500億円、予想3250億円、結果3250億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3250億円、結果3250億円(○)
25年超債:前回750億円、予想750億円、結果750億円(○)
【考察】
発表前:中東地政学リスクオフ後退やオペ通知期待織り込みの上昇。直前143.60
発表後:予想通り減額。ドル円上昇継続。
11:07~要人発言
林官房長官
デフレ脱却最優先発言
【考察】デフレ脱却最優先は緩和継続示唆。ドル円上昇継続。
11:37~要人発言
石破首相が利上げに前向きとの見方は必ずしも正しくない-赤沢再生相(Bloomberg)
【考察】日銀利上げ牽制発言。ドル円上昇継続。
13:56 報道
「イスラエル、数日以内にイランへの攻撃計画」
【考察】中東地政学リスクオフ。ドル円急落。
15:33~要人発言
植田日銀総裁(全国証券大会)
(発言:7/31, 8/23, 9/3, 9/20, 9/24, 10/2)
:前回9/24ハト派発言
米経済や市場動向が経済・物価見通しに与える影響見極める-植田総裁(Bloomberg)
【考察】不確実性高まるとの発言がハト派的と判断されドル円上昇
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
17:18~要人発言
デフレ脱却へ成長型経済実現、金融政策運営「適切に」=加藤財務相(Reuters)
【考察】デフレ脱却最優先は緩和継続示唆。ドル円上昇継続。
18:18~要人発言
植田日銀総裁(石破首相との会談後)
(発言:7/31, 8/23, 9/3, 9/20, 9/24, 10/2)
:前回9/24ハト派発言
【考察】緩和継続・利上げ慎重のハト派発言。ドル円上昇継続。
19:34~要人発言
石破首相
追加の利上げをするような環境にはない-石破首相(Bloomberg)
【考察】日銀利上げ牽制発言。ドル円上昇継続。
21:15 経済指標
米国ADP雇用者数(発表日:1/4, 1/31, 3/6, 4/3, 5/1, 6/5, 7/3, 7/31, 9/5, 10/2)
後日発表の米国雇用統計との差異も注目されます。
前月比:前回9.9万人(改定10.3)、予想12.5万人、結果14.3万人(◎)
【考察】強い数値。日本政府・日銀要人の相次ぐハト派発言で円売り環境下が強いドル円上昇継続に寄与。
22:09~要人発言
米国ハマック・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
【考察】金利見通しについてはコメントなし。
23:09~要人発言
米国ムサレム・セントルイス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:6/18, 7/11, 8/15, 9/27, 9/29(休場中), 10/2)
:政策スタンス不明。前回9/27ハト派発言
【考察】金融政策についてはコメントなし。
24:00~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:9/20, 9/24, 9/26, 9/30, 10/2)
:政策スタンスは中立。前回9/26タカ派発言
【考察】金融政策についてはコメントなし。
25:08~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/17, 8/2, 8/8, 8/26, 8/29, 10/2)
:政策スタンスはタカ派。前回8/29タカ派発言
リッチモンド連銀総裁、インフレ退治の勝利宣言は時期尚早(Bloomberg)
【考察】大幅追加利下げ否定のタカ派発言。ドル円下げ止まりから上昇継続。
<まとめ>
東京マーケット:
・ドル円:上昇から下落
・株:日経平均下落、TOPIX下落、ダウ先物下落
・国債:日本10年債利回り下落、米国10年債利回り上昇から下落
・通貨強弱:ドル>円(ドル売り優勢、円売り優勢)
・原油先物価格:揉み合い。
日足始値143.58
取引開始直後に日足安値143.43(1H足押し安値143.512付近)を付けると、イラン・アラグチ外相「イスラエル報復ない限り軍事行動終了」発言から中東地政学リスクオフ後退、日銀国債買入オペ通知:予想通りの減額、赤沢経済再生相の日銀利上げ牽制発言を受けて、日通し高値144.19へ上昇(4H足戻り高値144.039付近)。
その後、「イスラエル、数日以内にイランへの攻撃計画報道」を受けると143.53へ急落して引け(1H足押し安値143.512、日通し安値143.43付近)。
しかし、東京クローズ後の植田日銀総裁ハト派発言の期待でドル円下げ止まると、「不確実性高まる」とのハト派的発言を受けドル円上昇。
【日本市況】株式反落、中東情勢緊迫でリスク回避-金利低下も円下落(Bloomberg)
欧米マーケット:
・ドル円:欧州上昇、NY上昇
・株:欧州株まちまち、米国主要3指数(ダウ、S&P、ナスダック)揉み合い上昇、日経平均先物上昇から下落
・国債:欧州10年債利回り上昇、米国10年債利回り上昇
・通貨強弱:ドル>円(ドル買い、円売り優勢)
・原油先物価格:乱高下の上昇
欧州オープン後も、植田日銀総裁ハト派的発言の影響継続、かつ加藤財務相のデフレ脱却最優先発言、植田日銀総裁(石破首相との会談後)のハト派発言、石破首相の日銀利上げ牽制発言を受けて日通し高値144.89へ上昇。
更に、米国ADP雇用者数(強)と米国バーキン・リッチモンド連銀総裁のタカ派発言を受けると、引けに掛けて上昇継続し、日足高値146.52を付けました。
日足終値146.47
【米国市況】円が2%下落、対ドル146円台-日米で「ダブルパンチ」(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国ADP雇用者数(強)
・米国バーキン・リッチモンド連銀総裁のタカ派発言
売り材料:
<円売り優勢>
買い材料:
・イスラエル、数日以内にイランへの攻撃計画報道→中東地政学リスクオフ
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・イラン・アラグチ外相「イスラエル報復ない限り軍事行動終了」発言→中東地政学リスクオフ後退
・日銀、国債買入オペ通知:予想通りの減額
・赤沢経済再生相、石破首相の日銀利上げ牽制発言
・植田日銀総裁のハト派発言
・林官房長官、加藤財務相のデフレ脱却最優先発言
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他:自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ63.2→64.3%、50bps引き下げ36.8→35.7%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:10月十字線形成中。レンジ。押し安値付近。
- 週足:9/30週、陽線形成中。下降トレンド中の調整波に相当。BB-1σ付近
- 日足:10/1十字線。レンジ。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:下降チャネル。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値143.021付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値143.512
(B) (A)後、1H足押し安値143.512かつ1H足20MAをダウ上昇→目標4H足戻り高値144.039
②Short
(C)1H足押し安値143.512をダウ下落→目標1H足押し安値143.021
(D)1H足押し安値143.021をダウ下落→目標1H足押し安値142.554
本日:0勝1敗、-25.3pipps
10月通算:1勝3敗、勝率33.3%、RR2.02 、+14.6pips
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