2024年11月15日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本実質GDP1次速報値第3四半期
・日本5年債入札
・米国輸入、輸出物価指数
・米国NY連銀製造業景気指数
・米国小売売上高
・米国鉱工業生産指数、米国設備稼働率
・米国アトランタ連銀GDP Now
・IMM通貨先物円ポジション

2.要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

3.その他
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国小売売上高です。
2024年、米国小売売上高発表日のドル円動きまとめ

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:50 経済指標
日本実質GDP1次速報値第3四半期(内閣府
前期比:前回0.7%(改定0.5)、予想0.1%、結果0.2%(○)
前期比年率:前回2.9%(改定2.2)、予想0.7%、結果0.9%(○)
GDPデフレータ[=名目GDP/実質GDP]前年比:前回3.2%(改定3.1)、予想2.8%、結果2.5%(×)

【考察】強弱混在。対前回弱が材料視されたためかドル円上昇。

東京マーケット(9:00~15:30)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

11:04~要人発言
加藤財務相
(過去の発言:10/24, 10/29, 11/8, 11/15)
為替円安、極めて高い緊張感持って注視=加藤財務相(Reuters

【考察】強い円安牽制発言。ドル円下落

12:35 経済指標
日本5年債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
但し、「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆3000億円程度
最高落札利回り:前回0.568%、結果0.710%(×)
応札倍率:前回3.73倍、結果3.81倍(◎)
テール:前回3銭、結果2銭(◎)

【考察】入札好調

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

19:31~要人発言
米国コリンズ・ボストン連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:6/188/98/2210/8, 10/10, 11/15)
:政策スタンスは中立。前回10/10景気減速懸念、ハト派発言
ボストン連銀総裁、12月の利下げ「確実に選択肢」-米紙WSJ(Bloomberg

【考察】ハト派発言。ドル円下落

22:30 経済指標
米国輸入物価指数
前月比:前回-0.4%(改定-)、予想-0.1%、結果0.3%(◎)
前年比:前回-0.1%(改定)、予想0.3%、結果0.8%(◎)

米国輸出物価指数
前月比:前回-2.1%(改定-1.9)、予想-%、結果-0.1%(◎)
前年比:前回-0.7%(改定-0.6)、予想0.1%、結果0.8%(◎)

22:30 経済指標
米国NY連銀製造業景気指数
米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数や米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標として注目されます。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」。
基準0、前回-11.9、予想-0.7、結果31.2(◎)

22:30 経済指標
米国小売売上高
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。特にコア指数が重要視されます。
(過去の発表日; 1/172/153/144/155/156/187/168/159/17, 10/17,11/15)
前月比:前回0.4%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(○)
コア前月比:前回0.5%(改定)、予想0.3%、結果0.1%(×)
米小売売上高、10月は市場予想を上回る伸び-自動車が押し上げ(Bloomberg

【考察】
発表前:東京クローズからポジション調整と推測されるドル円急落から乱高下。直前155.27(4H足20MA付近)。
発表後:強弱混在。同刻発表の米国輸入、輸出物価指数(強)、米国NY連銀製造業景気指数(強)を受けて初動155.72へ上昇。しかし、ポジション調整の影響のためか全戻しから乱高下。

22:38~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言: 10/310/410/10, 10/17, 11/15)
:政策スタンスは中立。前回10/17金融政策や経済見通しについてはコメントなし
シカゴ連銀総裁、金利は向こう12-18カ月で「大幅に低下」へ(Bloomberg

【考察】タカ、ハト派発言。

23:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回-0.3%(改定-0.5)、予想-0.3%、結果-0.3%(○)

米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回77.5%(改定77.4)、予想77.3%、結果77.1%(×)

【考察】強弱混在。ドル円乱高下。

24:31~要人発言
米国コリンズ・ボストン連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:6/188/98/2210/8, 10/10, 11/15)
:政策スタンスは中立。前回10/10景気減速懸念、ハト派発言
ボストン連銀総裁、12月の利下げ「確実に選択肢」-米紙WSJ(Bloomberg
ボストン連銀総裁、インフレ率は2%に向かう強い軌道にある(Bloomberg

【考察】ハト派発言。ドル円下落継続

26:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q4:前回2.5%、予想2.5%、結果2.5%(○)

【考察】強い数値。ドル円下落継続

27:15~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:9/69/26, 10/10, 11/15)
:政策スタンスは中立。前回10/10タカ派発言

【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。

28:05~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言: 10/310/410/10, 10/17, 11/15)
:政策スタンスは中立。前回10/17金融政策や経済見通しについてはコメントなし

【考察】タカ、ハト派発言。

29:06~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:10/1010/2311/12, 11/14, 11/15)
:政策スタンスはタカ派。前回11/14タカ派発言。

【考察】タカ派発言。ドル円上昇

29:30 経済指標
IMM通貨先物11/12時点(Investing.com
円ショート増

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.28
取引開始後、前日NYクローズ直前からの米国パウエルFRB議長のタカ派発言の影響や週末五十日仲値に向けたドル買い需要で、日足高値156.75へ上昇。
しかし、仲値通過後の決済や加藤財務相の円安牽制発言を受けて日通し安値156.28へ下落して揉み合いで引けました。

【日本市況】株式は反発、4カ月ぶり円安や金融決算好感-債券は下落(Bloomberg

欧米マーケット:
東京クローズ直後からドル円急落発生し、欧州オープン直後には日通し安値155.22へ急落。目立った材料ないことから週末ポジション調整と推測します。但し、今までと異なる手段を用いた政府・日銀為替介入との見方も出ていますが真偽不明。


米国小売売上高(強弱混在)、米国輸入、輸出物価指数(強)、米国NY連銀製造業景気指数(強)となり初動155.72へ上昇するも、トランプトレードの熱狂が冷めた巻き戻しの動きやポジション調整(政府・日銀為替介入との見方もあり)の影響のためか全戻しから乱高下。

NYオープンすると、米国株急落(円キャリー巻き戻し)に連れて日足安値153.86へ急落して引けました。

総じて、米国経済指標やFRB要人発言の影響乏しく、トランプトレードの熱狂が冷めた巻き戻しの動きや週末ポジション調整と推測される円買い・ドル売りでドル円急落となりました。

日足終値154.35

【米国市況】トランプ氏当選の熱狂冷め、株が下落、ドル一時153円台(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・11/14米国パウエルFRB議長のタカ派発言の影響
・週末五十日仲値に向けたドル買い需要
・米国輸入、輸出物価指数(強)、米国NY連銀製造業景気指数(強)、米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・米国バーキン・リッチモンド連銀総裁のタカ派発言

売り材料:
・米国コリンズ・ボストン連銀総裁のハト派発言
・原油先物価格下落

<円買い優勢>
買い材料:
・加藤財務相の円安牽制発言
・原油先物価格下落

売り材料:
・日本5年債入札(強)
・IMM通貨先物11/12時点:円ショート増
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利450-475bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回12月18日(水)公表:据え置き27.8→41.8%、25bps引き下げ72.2→58.2%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:11月陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
  • 週足:11/11週、陽線形成中。上昇トレンド。BB+1σ付近。
  • 日足:11/13陽線。上昇トレンド。
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足押し安値155.734付近へ下落→転換上昇→目標4H足三尊肩156.102
(B)日足高値156.421をダウ上昇→目標4H足レンジ安値156.793

②Short
(C)4H足ダウ高値156.102かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値155.734
(D)4H足押し安値155.734かつ4H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値155.410

本日:0勝1敗、-16.2pips
11月通算:6勝7敗、勝率46.2%、RR2.01 、+58.9pips

(Trading View)

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