2024年7月1日(月)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

(1)経済指標
・日銀短観
・米国PMI確報値(製造業)
・米国建設支出
・米国ISM製造業景気指数
・米国アトランタ連銀GDP Now

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言

(3)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
但し、月初営業日5月(5/1~3)と6月(6/3, 4)はドル円日足陰線となっています。

・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

(4)参考情報
【日本株週間展望】上昇、国内金利高で金融株買い-米雇用にらむ(Bloomberg

(5)本日の注目材料

①日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
先週は一気に161円台へ急上昇したことで、今週も政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。

一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)に加え、新規円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)も生じていることから、ドル円下落は一時的で押し目が入りやすい相場環境は続くと考えます。

②米国経済指標
本日最大の注目は米国ISM製造業景気指数です。(2024年、米国ISM製造業景気指数発表日のドル円動きまとめ
2024年上期は下記傾向が見られました。まずはこの目線で考えたい。
・ヘッドラインで動いても全戻しから乱高下するケースが多い(1, 2, 4, 5月)
・総じて(強)より(弱)に、ドル円は素直な反応を示しており、下落から全戻しが生じていない(3, 6月)

③欧州政情不安リスクオフ
6/30仏下院選挙第1回投票が実施されています。日本時間7/1午前に大勢が判明する見込みですが、世論調査ではルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」が首位の見通し。
但し、RNグループが議会過半数を確保できるかは、7/7第2回投票次第となっています。

一方、欧州政情不安が生じて以降、「欧州マーケットは欧州株下落→リスクオフ&キャリー巻き戻し→ドル円下落」しても、東京・NYマーケットでの反応薄くドル円上昇に転じる流れが頻発しました。7/7までこの傾向は続きやすいと推測します。

仏下院選第1回投票、ルペン氏の極右政党が首位の見通し-出口調査(Bloomberg

④米国政情不安リスクオフ
6/28米国大統領選候補者第1回テレビ討論会を受けて、11/5大統領選でトランプ前大統領がバイデン大統領を破る可能性が一気に高まりました。
そのため、トランプ氏政策(対中関税大幅増、不法移民強制送還、大型減税延長)への注目が上がっています。
現時点、下記(a)ドル買い優勢の見方が強い様子。

(a)米国赤字拡大、インフレ懸念→ドル買い
(b)米国赤字拡大→景気悪化懸念→ドル売り

米討論会を視聴したバークレイズ金利専門家、インフレへの備え促す(Bloomberg

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

28:21 報道
フランス株・国債に買い、ユーロ上昇-極右RN絶対多数の可能性低下(Bloomberg

【考察】極右国民連合(RN)が第1勢力になり、マクロン大統領が率いる与党連合は3番手の見通し。しかし、出口調査結果は事前の世論調査とほぼ一致。極右RN絶対多数に届く可能性が低下し、極端な政策変更に繋がるリスクが後退したことでユーロ買い先行。

29:20 要人発言
“北朝鮮が弾道ミサイル発射”韓国軍合同参謀本部(NHK

【考察】地政学リスクオフ。

8:50 経済指標
日銀短観(日本銀行
大企業製造業・業況判断:前回11、予想11、結果13(◎)
日銀短観(大企業製造業・先行き):前回10、予想11、結果14(◎)
大企業非製造業・業況判断:前回34、予想33、結果33(○)
大企業非製造業・先行き:前回27、予想28、結果27(△)
大企業全産業・設備投資:前回4.0%、予想13.8%、結果11.1%(△)
「強い数値→日銀金融緩和修正期待→円買い材料」「弱い数値→日銀金融緩和継続期待→円売り材料」

【考察】強弱混在。

8:50 経済指標
日本GDP2次速報値第1四半期(内閣府
前期比:結果-0.5%(改定-0.7)(×)
前期比年率:結果-1.8%(改定-2.9)(×)
1〜3月期GDP、実質2.9%減に修正 建設統計の改定反映(日本経済新聞

【考察】GDP年率-1.8%から-2.9%に下方修正→日銀政策修正観測後退

東京マーケット(9:00~15:00)

14:10 報道
1〜6月新車販売、認証不正でトヨタ23%減 大震災以来(日本経済新聞

【考察】日銀政策修正観測後退

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

22:39~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:4/114/154/185/6, 5/16, 5/30, 6/18, 7/1)
:政策スタンスは中立。前回6/18データ次第
米インフレの2%回帰を引き続き確信=NY連銀総裁(Reuters

【考察】金融政策へのコメントなし

22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:5/236/237/248/239/2210/2411/2412/151/242/223/214/23, 5/23, 6/21, 7/1)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回51.7、予想51.7、結果51.6(×)

【考察】弱い数値。

23:00 経済指標
米国建設支出
前月比:前回-0.1%(改定0.3)、予想0.2%、結果-0.1%(×)

23:00 経済指標
米国ISM製造業景気指数:景気先行指標として注目度大(Institute for Supply Management)
(発表日; 7/38/19/110/211/112/11/32/13/14/1, 5/1, 6/3, 7/1)
基準50、前回48.7(改定)、予想49.0、結果48.5(×)

・仕入価格:前回57.0、予想55.9、結果52.1(×)
・新規受注:前回45.4、予想49.0、結果49.3(◎)
・雇用:前回51.1、予想50.0、結果49.3(×)
米ISM製造業景況指数、3カ月連続で活動縮小-仕入れ価格低下(Bloomberg

【考察】
発表前:6/28米国大統領選候補者第1回テレビ討論会を受けてトランプ大統領返り咲きの可能性が高まったことからトランプ氏政策(対中関税大幅増、不法移民強制送還、大型減税延長)に伴うインフレ懸念のドル円上昇。直前161.40
発表後:総じて弱い数値。初動160.97(切番かつ4H足押し安値161.00付近)へ急落。
しかし、市場の注目材料はトランプ氏政策のインフレ懸念のためか指標は材料視されず、日足・4H足ダウ高値161.12付近から一気に押し目買い発生。更に直後の米国連邦最高裁トランプ氏免責特権一部認定も追い風となり急騰し、日足高値161.73付け。

23:29 報道
米連邦最高裁、トランプ氏の免責特権を部分的に認める(Bloomberg

【考察】米国大統領選挙トランプ氏に追い風。インフレ懸念のドル円上昇継続。

25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 6/36/66/76/186/206/27, 6/28, 7/1, 7/3, 7/10, 7/16, 7/17, 7/24, 7/26)
Q2:前回2.2%、予想2.2%、結果1.7%(×)

【考察】弱い数値。ドル円下落。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値160.87
取引開始直後は北朝鮮ミサイル発射の地政学リスクオフでドル円じり下げスタート。
日銀短観の強弱混在を受けて、東京始値160.92から乱高下。

注目の6/30仏下院選挙第1回投票において、仏極右RN予想より小幅勝利に留まったことで極端な政策修正懸念が後退したことや、日本GDP2次改定値第1四半期下方修正を受けた日銀政策修正観測後退のリスクオン株上昇に連れて東京高値161.19へ上昇。

一方、先週一気に161円台突破したことで為替介入警戒感は根強く、4H足レンジ高値161.122付近からの戻り売りに押されて東京引けに掛けて揉み合いました。
東京終値161.04

【日本市況】債券下落、短観改善-円は対ユーロで最安値、株戻り高値(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後も、仏極右RN予想より小幅勝利に留まったことを好感したリスクオン株上昇に連れてへ再上昇。

NYオープン前には、6/28米国大統領選候補者第1回テレビ討論会を受けてトランプ大統領返り咲きの可能性が高まったことからトランプ氏政策(対中関税大幅増、不法移民強制送還、大型減税延長)に伴うインフレ懸念から米国債利回り上昇も加わり、日通し高値161.46へ到達(1986年12月以来の高値更新)。

注目の米国ISM製造業は総じて弱い数値。初動160.98(切番かつ4H足押し安値161.00付近)へ急落するも、市場の注目材料はトランプ氏政策のインフレ懸念のためか指標は材料視されず、日足・4H足ダウ高値161.12付近から一気に押し目買い発生。

更に直後の直後の米国連邦最高裁トランプ氏免責特権一部認定も追い風となり、日足高値161.73へ急騰。
その後、162円台手前かつ4H足上昇チャネル上限付近へ到達したことで、じり下げで引けました。
日足終値161.47

【米国市況】ドルが一時161円73銭、長期金利上昇-大統領選強く意識(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・6/28米国大統領選候補者第1回テレビ討論会の影響継続:トランプ大統領返り咲きの可能性→トランプ氏政策(対中関税大幅増、不法移民強制送還、大型減税延長)に伴うインフレ懸念
・米連邦最高裁、トランプ氏の免責特権一部認定:インフレ懸念
・原油先物価格上昇

売り材料:
・米国PMI確報値製造業(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)

<円売り優勢>
買い材料:
・北朝鮮弾道ミサイル発射、地政学リスクオフ
・日銀7月会合での国債買い入れ減額、追加利上げ警戒感
・日本企業持ち合い政策保有株売却→日本株下落→リスクオフ&キャリー巻き戻し
政策保有株の売却進む 財閥や系列、地縁でも解消へ(日本経済新聞

売り材料:
・仏極右RN、予想より小幅勝利:リスクオン株上昇
・日本GDP2次改定値第1四半期下方修正
・原油先物価格上昇
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・新規円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
成田空港 燃料確保できず 1週間に57便 新規就航や増便見合わせ(NHK

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き91.2%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ70.78%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陽線確定。上昇トレンド。
  • 週足:6/24週、陽線確定。上昇トレンド。
  • 日足:6/28陽線コマ足。上昇トレンド。
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足戻り高値160.649付近へ下落→転換上昇→目標1H足ダウ高値160.883
(B) (A)後、1H足ダウ高値160.883をダウ上昇→目標4H足レンジ高値161.122
(C)4H足押し安値160.335付近へ下落→転換上昇→目標1H足ダウ高値160.883

②Short
(D)4H足押し安値160.335かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ高値159.820

7月通算:1勝0敗、勝率%、+20.2pips

(Trading View)

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