2024年3月21日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)3/20の欧米マーケット影響
米国FOMC公表は年内利下げ2回への警戒感があったなか3回維持だったことで初動151.22へ下振れするも、経済見通しは総じて強い数値、声明もタカ派発言により即全戻しの乱高下。
パウエル議長会見総じてハト派発言、会見中に日銀追加利上げ報道もあり日足安値150.72へ急落。しかし、報道影響は一時的。パウエル議長会見ハト派発言、リスクオン円売りが支えとなり151.41へ反発上昇。日足終値151.24

(2)経済指標
・日本通関ベース貿易収支
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国経常収支
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国PMI速報値
・米国景気先行指数
・米国中古住宅販売件数
・BOE金融政策委員会

(3)要人発言
・FRB要人
・ベイリーBOE総裁

(4)その他
・中東地政学リスクオフ

本日の注目材料は3点。
①米国経済指標
前日FOMC公表は総じてタカ派でしたが、パウエルFRB議長会見では「今年のある時点で利下げ開始が適切」と強調したハト派発言の影響強くドル円下落。つまりインフレ強くとも利下げに踏み切る可能性が高まったと言えます。
従って、強い数値が出てもドル円上昇は限定的、弱い数値なら下落しやすいと推測します。

②政府・日銀口先介入
3/19日銀会合で政策修正にも関わらずドル円急騰継続し一時年初来高値151.82へ到達。更に3/20FOMCハト派姿勢にも関わらずドル円下落は限定的。
リスクオン円売り主導のドル円急騰への警戒感が高まっていることから、今までより強い口先介入の可能性あり。

③中東地政学リスクオフ
軍事行動が活発になり原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買いによる材料交錯が生じやすい。どの材料の影響が強いか見極め必要。基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすいと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支
貿易赤字拡大は実需の円売り材料。
季調前:前回-17583億円(改定-17603)、予想-3823億円、結果-3794億円(◎)
季調済:前回2353億円(改定-)、予想-9183億円、結果-4516億円(○)
2月の貿易収支、3793億円の赤字 前年比6割縮小(日本経済新聞

東京マーケット(9:00~15:00)

9:48~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:1/192/92/142/162/202/223/53/73/83/123/15, 3/19, 3/21)
:前回3/19円安牽制なし
為替相場は安定推移が望ましい、高い緊張感持って注視-鈴木財務相(Bloomberg

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

10:05~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:1/41/232/62/92/162/222/293/53/73/123/13, 3/19, 3/21)
:前回3/19ハト派発言交錯。
国債購入は将来的に減額し保有も圧縮、当面は残高維持-日銀総裁(Bloomberg

【考察】ハト派発言。ドル円下げ止まりから上昇

11:05~要人発言
林官房長官
為替市場の動向を高い緊張感を持って注視=円安進行で官房長官(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。しかし、植田日銀総裁ハト派発言の影響強くドル円上昇継続。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:00 経済指標
BOE金融政策委員会
政策金利:前回5.25%、予想5.25%、結果5.25%(○)
MPC議事要旨:ハト派
英中銀、政策金利を据え置き-タカ派2人が利上げ主張撤回(Bloomberg

21:30~要人発言
英国ベイリーBOE総裁

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
(過去の発表日; 2/82/152/222/293/7, 3/14, 3/21)
前回20.9万件(改定21.2)、予想21.4万件、結果21.0万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回181.1万件(改定180.3)、予想182.3万件、結果180.7万件(○)

21:30 経済指標
米国経常収支
前回-2003億ドル(改定-1964)、予想-2100億ドル、結果-1949億ドル(◎)

21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数と相関性あるため注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
(過去の発表日; 1/18, 2/15
基準0、前回5.2(改定-)、予想-2.5、結果3.2(◎)

22:45 経済指標
米国PMI速報値
(速報値発表日:3/244/215/236/237/248/239/2210/2411/2412/151/242/22, 3/21)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回52.2、予想51.8、結果52.5(◎)
サービス業:前回52.3、予想52.1、結果51.7(×)
総合:前回52.5、予想52.2、結果52.2(○)

23:00 経済指標
米国景気先行指数
前月比:前回-0.4%(改定-)、予想-0.3%、結果0.1%(◎)

23:00 経済指標
米国中古住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として米国新築住宅販売件数とともに重要。
件数:前回400万件(改定)、予想395万件、結果483万件(◎)
前月比:前回3.1%(改定-)、予想-1.5%、結果9.5%(◎)

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値151.24
前日のパウエルFRB議長ハト派発言や日銀追加利上げ観測報道の影響、鈴木財務相・林官房長官の円安牽制発言により東京・日足安値150.27へ急落するも、植田日銀総裁のハト派発言でリスクオン円売りにより東京高値151.00へ急反発上昇。

きょうの国内市況(3月21日):株式、債券、為替市場(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン直後、日通し高値151.46へ上昇するも、再び前日のパウエルFRB議長ハト派発言付近のレートであり150.87へ下押し。しかし、相次ぐ米国経済指標が強い数値により日足高値151.76へ急上昇。
日足終値151.63

【米国市況】株4営業日続伸、リスクオン鮮明に-ドル一時151円75銭(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・ドル買い優勢
買い:米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数、米国経常収支、米国フィラデルフィア連銀景況指数、米国PMI速報値、米国景気先行指数、米国中古住宅販売件数の強い数値
売り:前日のパウエルFRB議長ハト派発言の影響

・円売買交錯
買い:前日の日銀追加利上げ観測報道の影響、鈴木財務相・林官房長官の円安牽制発言
売り:植田日銀総裁のハト派発言、日本株上昇、欧米株上昇

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
5月1日公表:25bp引き下げ6.9%、据え置き93.1%
6月12日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ66.9%、据え置き28.3%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当

テクニカル分析

トレード

  • 月足:3月陽線形成中。レンジ上限151.59付近
  • 週足:3/18週、陽線形成中。レンジ上限到達。
  • 日足:3/20上長ヒゲ陽線。レンジ上限到達。3/21は揉み合い想定。
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①ロング
(A)4H足押し安値150.785付近へ下落→ダウ転換上昇→目標1H足ダウ高値151.249

②ショート
(B) (A)後、4H足押し安値150.785をダウ下落→目標1H足押し安値150.379

3月通算:7勝3敗、勝率70.0%、獲得Pips +68.3

(Trading View)

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