2024年9月11日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国消費者物価指数(CPI)
・米国10年債入札

2.要人発言
・米国大統領選挙候補者討論会
2024年6月28日(金)米国大統領選候補者第1回テレビ討論会
ハリス氏とトランプ氏はどう戦うか-米大統領選討論会の注目点(Bloomberg

・中川日銀審議委員
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(FOMC開催前週の土曜日から公表翌日までの13日間:9/7~9/19)につき

3.その他
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ4倍デー

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・【債券週間展望】長期金利は低下か、米利下げ確実-日銀利上げは先に(Bloomberg
・【日本株週間展望】メジャーSQ控え荒い値動き、米景気不透明さ残る(Bloomberg
・来週の円相場は上昇か、米大幅利下げ観測くすぶりドル売り圧力(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/10(火)マーケット影響
米中景気減速懸念から急速にリスクオフ(株安、債券高、円買い)が高まり、原油先物価格急落も生じ、ドル円急落となりました。本日もこの影響を引き継ぎドル円下落スタートを想定します。
但し、米国大統領選挙候補者討論会や、米国消費者物価指数を控えての乱高下には注意したい。

(2)米国経済指標
本日最大の注目は、米国消費者物価指数です(2024年、米国消費者物価指数発表日のドル円動きまとめ

8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演や、以降のFRBメンバー発言を受けて、9月FOMC利下げ幅0.25%か0.50%かは、インフレよりも労働市場(雇用関連指標)で決まると見られていました。

しかし、9/6(金)米国雇用統計で市場の利下げ観測は大きく割れました。そのため、注目度が低下した米国消費者物価指数が一転して、利下げ幅を判断する重要な材料となりました。

初動は数値の強弱でドル円は素直に反応しやすいですが、株価(円キャリー高進、巻き戻し)に連れて動きやすいため注意したい。

(a)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→高金利長期化、景気減速懸念→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→景気減速懸念後退→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

10:00~要人発言
米国大統領選挙候補者討論会
ハリス氏が鋭い攻撃、トランプ氏は守勢に立たされる-大統領選討論会(Bloomberg


【考察】Real Clear Politicsの大統領勝利確率は、ハリス氏51.1%、トランプ氏47.3%。ハリス氏優勢であることから、トランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)の逆回転でドル円下落。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション
2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ
(発表日:8/28/78/158/21, 8/28, 9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25)
1~3年債:前回3500億円、予想3500億円、結果3500億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)
5~10年債:前回4000億円、予想4000億円、結果4000億円(○)
25年超債:前回750億円、予想750億円、結果750億円(○)

【考察】
発表前:据え置き期待織り込み上昇。直前142.31
発表後:据え置き。ドル円上昇するも、前日のリスクオフの影響強く戻り売りに押され、かつ直後の中川日銀審議委員タカ派発言を受けてドル円急落

10:30~要人発言
中川日銀審議委員(挨拶)
実質金利は極めて低い、見通し実現なら緩和度合い調整=中川日銀委員(Reuters

【考察】経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整、物価上振れリスク警戒がタカ派発言と判断され、ドル円下落継続

14:15~要人発言
中川日銀審議委員(会見)
見通し実現なら緩和調整、市場はしばらく不安定な状況-中川日銀委員(Bloomberg

【考察】経済・物価見通しオントラック。緩和度合調整示唆のタカ派発言であり、ドル円下落継続

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国消費者物価指数(CPI)(発表日; 1/112/133/124/105/156/127/11, 8/14, 9/11)
FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。CPIは米国生産者物価指数(PPI)の川下に相当する指標でPPIより注目度は高い。基調的なインフレを見る上では総合指数よりコア指数が重要。基本は「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」

前月比:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
前年比:前回2.9%(改定)、予想2.6%、結果2.5%(×)
コア前月比:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.3%(◎)
コア前年比:前回3.2%、予想3.2%、結果3.2%(○)
米CPI、コア指数が予想外に伸び加速-大幅利下げの可能性低下(Bloomberg

【考察】
発表前:欧州オープン後のリスクオン、原油先物価格上昇、米国消費者物価指数を控えたショート勢決済で上昇。直前141.76。
発表後:総じて強い数値。特に注目度の高いコア指数が強い。
・初動急騰:FRB9月0.50%大幅利下げ織り込み剥落。米高金利長期化からの景気減速懸念は見られずリスクオン(株買い、債券売り、ドル買い・円売り)で、日足高値142.55へ上昇。
・急落、再上昇:NYオープンすると、景気減速懸念リスクオフ(株売り、債券買い、円買い)が強まり141.25へ急落するも、再びFRB9月0.50%利下げ織り込み剥落とリスクオン(株買い、債券売り、ドル買い・円売り)が両立しドル円乱高下。米国大統領選挙候補者討論会でハリス氏優勢が明確になり、米国政情不安後退リスクオンも寄与したと推測します。

26:00 経済指標
米国10年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):390億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回3.960%、結果3.648%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.32倍、結果2.64倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回66.17%、結果76.0%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+3.1bps、結果-1.4bps(◎)。3.648-3.662=-0.014
WI:3.662%

【考察】入札好調

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値142.44
取引開始後、前日リスクオフの流れ継続、米国大統領選挙候補者討論会ハリス氏優勢からトランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)の逆回転、中川日銀審議員タカ派発言を受けて、日通し高値142.47から日足安値140.71へ急落。
しかし、週足・日足押し安値141.04や切番141.00からの押し目買いも入り、141.29へ急反発して引けました。

【日本市況】円8カ月半ぶり高値、日米金利差の縮小観測-株式は続落(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後は、9/9や9/10と同じくリスクオンとなり原油先物価格も上昇。注目の米国消費者物価指数を控えてショート勢の決済も入ったためか、揉みあいながらもドル円上昇。

米国消費者物価指数は総じて強い数値。初動はFRB9月0.50%大幅利下げ織り込み剥落、米高金利長期化からの景気減速懸念は見られずリスクオン(株買い、債券売り、ドル買い・円売り)で、日足高値142.55へ上昇。
しかし、NYオープンすると景気減速懸念リスクオフ(株売り、債券買い、円買い)が強まり141.25へ急落するも、再びFRB9月0.50%利下げ織り込み剥落とリスクオン(株買い、債券売り、ドル買い・円売り)が両立しドル円乱高下。
米国大統領選挙候補者討論会でハリス氏優勢が明確になり米国政情不安後退リスクオンや、スワップ4倍デー狙い短期勢参入も寄与したと推測します。
日足終値142.36

【米国市況】テク主導で株上昇、CPI後の売り克服-142円40銭台(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・米国消費者物価指数(強)
・米国大統領選挙候補者討論会:ハリス氏優勢→米国政情不安後退リスクオン
・原油先物価格上昇

売り材料:
・米国10年債入札(強)

<円買い優勢>
買い材料:
・米国大統領選挙候補者討論会:ハリス氏優勢→トランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)の逆回転
・中川日銀審議委員のタカ派発言
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・日銀、国債買入オペ通知:据え置き
・米国大統領選挙候補者討論会:ハリス氏優勢→米国政情不安後退リスクオン
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ66.0→85.0%、50bps引き下げ34.0→15.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。上昇チャネル。押し安値付近。
  • 週足:9/9週、陽線形成中。下降トレンド。
  • 日足:9/10陰線。レンジ下限付近。
  • 4H足:三角持ち合い。
  • 1H足:下降トレンド。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値142.573をダウ上昇→目標4H足レンジ安値142.870
(B)日足ダウ高値143.169かつ4H足三角持ち合い上限をダウ上昇→目標4H足レンジ高値143.506

②Short
(C)日足ダウ高値143.169付近へ上昇→転換下落→目標4H足レンジ安値142.870
(D) (A)後、1H足レンジ高値142.573をダウ下落→目標日足安値142.194

本日:シナリオ外のためトレードなし
9月通算:9勝7敗、勝率56.3%、RR2.08 、+110.6pips

(Trading View)

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