ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本5年国債入札
・米国消費者物価指数(CPI)
2.要人発言
・政府、日銀
・FRB
3.その他
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ3倍デー
4.参考情報
・来週の円相場は下落か、米景気指標で過度な利下げ期待が後退の可能性(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利は上昇か、市場大混乱によるリスク回避反動(Bloomberg)
・【日本株週間展望】反発、米経済への過度の悲観和らぐ-様子見も強い(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)8/13(火)マーケット影響
①IMM通貨先物8/6時点で円売りポジションほぼ解消下、8/11桜井元日銀審議委員の日銀年内利上げ無理発言→日銀追加利上げ観測後退→円売り
②米国生産者物価指数(サプライズ弱)→米国債利回り低下、日米金利差縮小→ドル売り・円買い
③米国生産者物価指数(サプライズ弱)→インフレ低下好感→株上昇(円キャリー促進)→円売り
④地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)→安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
本日は、今週8/12,13と同じく日銀追加利上げ観測後退の円売り主導でドル円上昇スタートを想定します。但し、上値4H足レンジ高値148.00付近は固く、148.00手前からは戻り売りが強まりやすいと考えます。
(2)米国経済指標
本日最大の注目は米国消費者物価指数(CPI)です。(2024年、米国消費者物価指数発表日のドル円動きまとめ)
7/31FOMC公表声明において、従来インフレリスクのみへの焦点から、「インフレ・雇用両面のリスクに留意」へと修正されました。従って、インフレ指標だけでなく雇用指標への注目度が更に高まっています。
そこで、FOMC以降の注目指標とドル円の動きを見ると、景気・雇用・インフレ弱に素直な反応を示し、インフレ強は材料視されませんでした。
8/1(木)
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数(雇用弱)→初動ドル円下落から全戻し→再下落
・米国ISM製造業景気指数(景気弱、雇用弱、インフレ強)→ドル円下落
8/2(金)
・米国雇用統計(雇用弱、インフレ弱)→ドル円急落
8/5(月)
・米国ISM非製造業景気指数(景気強、雇用強、インフレ強)→ドル円上昇
8/8(木)
・米国新規失業保険申請件数(雇用強)→ドル円上昇
8/13(火)
・米国生産者物価指数(インフレ弱)→ドル円下落
類似指標の米国生産者物価指数(サプライズ弱)でドル円下落となったことから、本日も(d)ドル円下落の期待が高まりました。
それ故に強い数値が出れば、失望から(a)ドル円急上昇が想定されます。
一方、最近のドル円は株価(円キャリー取引)と高相関であることから、株先物・株指数の動向とセットでドル円の方向性を判断する必要があります。
また、指標発表前水準と、切番・日足・4H足位置関係は重要です。これら抵抗に一気に達すると半値戻しや全戻しが頻繁に生じます。よって、上げ余地や下げ余地の事前把握が必要となります。
(a)強い数値→FRB9月利下げ期待織り込み剥落→ドル円急上昇
(b)強い数値→FRB高金利維持長期化嫌気→株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→FRB9月大幅利下げ観測、株上昇→ドル円下落
(d)弱い数値→米国景気減速懸念後退→株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
(3)地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
7/30以降は中東情勢が悪化し、8/7以降はウクライナ情勢も一気に緊張が高まりました。
・Iran could attack Israel in less than 24 hours, sources say, as Western powers issue Tehran a warning(FOX NEWS)
・ウクライナの越境攻撃、ロシア動揺狙い複数の選択肢から実行-当局者(Bloomberg)
下記材料が想定されますが、最近の傾向は(a)ドル売り主導のドル円下落が生じており、中東戦争勃発となればドル円急落の可能性が高いと推測します。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
10:21 報道
岸田首相、総裁選不出馬を表明 裏金事件で「責任」(共同通信)
【考察】日本政情不安リスクオフ。ドル円下落。
12:35 経済指標
日本5年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆3000億円程度
最高落札利回り:前回0.614%、結果0.463%(◎)
応札倍率:前回4.26倍、結果3.51倍(×)
テール:前回1銭、結果5銭(×)
【考察】総じて入札不調
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国消費者物価指数(CPI)(発表日; 7/12, 8/10, 9/13, 10/12, 11/14, 12/12, 1/11, 2/13, 3/12, 4/10, 5/15, 6/12, 7/11, 8/14)
FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。CPIは米国生産者物価指数(PPI)の川下に相当する指標でPPIより注目度は高い。基調的なインフレを見る上では総合指数よりコア指数が重要。基本は「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回-0.1%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
前年比:前回3.0%(改定)、予想3.0%、結果2.9%(×)
コア前月比:前回0.1%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
コア前年比:前回3.3%、予想3.2%、結果3.2%(○)
米CPI、コア指数が4カ月連続で減速-9月利下げの論拠を補強(Bloomberg)
【考察】
発表前:8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)の様な弱い数値への期待や警戒からか、ロング勢決済や戻り売りに連れてドル円下落。直前146.94。
発表後:対前回は総合前月・コア前月比が強く、総合前年・コア前年比が弱い数値。対予想は総合前年比が弱く、他は同等。
・初動:総合前年・コア前年比が弱い数値で146.53へ下振れ
・急騰:総じて予想通りの数値はインフレ鈍化の安心感となり、米国債売り(利回り上昇)、株上昇(円キャリー促進)で日足高値147.59へ上昇。8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)を受けた織り込みからBuy the factの様な動き。
・乱高下:NYオープンすると、インフレ鈍化の米国債利回り低下、但しFRB9月0.5%利下げ観測後退から利回り上昇、株上昇(円キャリー促進)が交錯しドル円も乱高下の展開となりました。
29:42~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(メスター・クリーブランド連銀総裁退任により2024年7月FOMC投票代行)
(発言:8/2, 8/5, 8/8, 8/14)
:政策スタンスは中立。前回8/8タカ派発言
米シカゴ連銀総裁、雇用への懸念を強めている-インフレ抑制は進展(Bloomberg)
【考察】雇用懸念
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値146.79
取引開始直後から、今週8/12,13と同じく日銀追加利上げ観測後退や8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)を受けた株上昇(円キャリー促進)に連れて日通し高値147.19へ上昇。
その直後、岸田首相が総裁選不出馬を表明との報道が伝わると、日本政情不安リスクオフから日本株下落(円キャリー巻き戻し)に連れて日足安値146.07へ急落しました。
しかし、岸田政権の支持率低迷から新政権への期待も高く政情不安リスクオフ後退から再び株上昇(円キャリー促進)し、切番146.00や1H足押し安値146.11付近から押し目買いも入り、ドル円全戻し上昇となりました。
東京終値147.09
【日本市況】株続伸、首相退陣表明で一時上げ拡大-円下落、債券上昇(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後も、欧州株上昇に連れて日通し高値147.50を付けました。
その後、注目の米国消費者物価指数発表を受けて、8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)の様な弱い数値への期待や警戒からか、ロング勢決済や戻り売りに連れてドル円下落。
米国消費者物価指数は総じて予想通りの数値(対前回は総合前月・コア前月比が強く、総合前年・コア前年比が弱い数値。対予想は総合前年比が弱く、他は同等)。
9月FRB0.25%利下げはほぼ確定であるものの、0.5%利下げ織り込みは剥落して米国債利回り上昇。しかし、インフレ鈍化の米国債利回り低下と、インフレ鈍化を好感した米国株上昇(円キャリー促進)が交錯し、146.53へ急落から日足高値147.59急騰。
その後も乱高下の展開となりましたが、徐々に株上昇(円キャリー促進)が強まりドル円上昇で引けました。
日足終値147.32
【米国市況】株は上昇、CPIで利下げ観測強まる-ドル147円台前半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売買交錯>
買い材料:
・米国消費者物価指数(総じて予想通り)→安全資産の米国債売り→米国債利回り上昇
・米国消費者物価指数(総じて予想通り)→9月FRB0.5%利下げ織り込み剥落→米国債利回り上昇
売り材料:
・8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)影響
・米国消費者物価指数(前年比弱、総じて予想通り)→インフレ鈍化
・原油先物価格下落
<円売買交錯>
買い材料:
・岸田首相、総裁選不出馬表明→政情不安リスクオフ→日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・原油先物価格下落
売り材料:
・IMM通貨先物8/6時点で円売りポジションほぼ解消下、8/11桜井元日銀審議委員の日銀年内利上げ無理発言→日銀追加利上げ観測後退→日本株上昇(円キャリー促進)
・8/13米国生産者物価指数(サプライズ弱)→株上昇
・日本政情不安リスクオフ後退→日本株上昇
・米国消費者物価指数(総じて予想通り)→インフレ鈍化好感→米国株上昇(円キャリー促進)
・恒常的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ45.5→62.5%、50bps引き下げ54.5→37.5%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:8月陰線形成中。レンジ移行。20MA付近。
- 週足:8/12週、陽線形成中。8/5週の下ヒゲピンバーで押し安値へ回帰。
- 日足:8/13陰線。レンジ。BB+1σ付近の戻り売りと20MAへ押し目買い交錯。
- 4H足:レンジ。押し安値ヒゲ先かつBB-1σ付近で押し目買い優勢
- 1H足:下降トレンド。押し安値へA字戻し。押し目買い優勢。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)4H足レンジ安値147.187かつ1H足20MAをダウ上昇→目標4H足三尊肩147.717
(B)4H足レンジ高値145.510付近へ下落→転換上昇→目標4H足レンジ安値146.004
②Short
(C)日足安値146.594をダウ下落→目標4H足レンジ安値146.004
(D)4H足レンジ安値146.004をダウ下落→目標4H足レンジ高値145.510
本日:0勝2敗、-50.0pips
8月通算:11勝5敗、勝率68.8%、RR 1.89、+315.7pips
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