ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)経済指標
・日本5年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国経常収支
・米国住宅着工件数、米国住宅建築許可件数
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・BOE金融政策委員会
(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言
(3)その他
・五十日仲値
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
来週のドル・円は上昇か、日銀慎重姿勢映し円売り-節目158円上回る(Bloomberg)
本日の注目材料は3点。
①米国経済指標
注目度の高い材料が続きます。
基本は(1)か(3)ですが、米国株が大きく動けば(2)と(4)も生じやすい。
但し、(2)や(3)でドル円下落が生じても一時的で押し目買い機会と考えます。
(1)強い数値→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)強い数値→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)弱い数値→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)弱い数値→リスクオン株上昇→ドル円上昇
②FRB要人発言
多数の発言が予定されています。
6/12FOMC公表・パウエルFRB議長会見はタカ派でしたが、年内利下げ見通しは1~2回(ドットプロット1.5回相当)と当局者の間でも分かれていました。
しかしながら、6/18複数のFRB要人から相次ぐタカ派発言が出ていることから、基本は(1)を想定します。
一方、(2)や(3)でドル円下落が生じても一時的で押し目買い機会と考えます。
(1)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)タカ派発言→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)ハト派発言→リスクオン株上昇→ドル円上昇
③欧州政情不安リスクオフ影響
6/10から欧州政情不安リスクオフが続いていますが、影響は欧州マーケットに強く表れており、東京マーケット、NYオープン後や欧州クローズ後はリスクオフ後退しています。
また、6/16(日)仏極右政党・国民連合(RN)を率いるルペン氏が、マクロン大統領と協力する意向を示したことからリスクオフ後退していますが、新たなヘッドラインで動きが変わりやすいため引き続き注意したい。
(1)欧州政情不安ヘッドライン→リスクオフ株下落→ドル円下落
(2)欧州政情不安後退ヘッドライン→リスクオン株上昇→ドル円上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。
12:35 経済指標
日本5年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆3000億円程度
最高落札利回り:前回0.580%、結果0.517%(◎)
応札倍率:前回3.90倍、結果3.97倍(◎)
テール:前回4銭、結果2銭(◎)
【考察】入札好調
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
16:23~要人発言
神田財務官
(過去の発言:4/11, 4/15, 4/17, 4/18, 4/29, 4/30, 5/2, 5/7, 5/9, 5/24, 6/20)
:前回5/24円安牽制発言。
神田財務官、投機による過度な変動に「かなり効果」 5月末公表の為替介入=時事(Reuters)
【考察】円安牽制発言。一瞬ドル円下落から全戻し
20:00 経済指標
BOE金融政策委員会
政策金利:前回5.25%、予想5.25%、結果5.25%(○)
MPC議事要旨:ハト派声明
20:04~要人発言
英国ベイリーBOE総裁
英中銀、金利5.25%で据え置き-利下げ支持に近づく委員が増加か(Bloomberg)
【考察】ハト派声明、発言でポンド売り。ドル円反応薄。
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回24.2万件(改定24.3)、予想23.5万件、結果23.8万件(△)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回182.0万件(改定181.3)、予想181.0万件、結果182.8万件(×)
21:30 経済指標
米国経常収支
前回-1949億ドル(改定-)、予想-2061億ドル、結果-2376億ドル(×)
21:30 経済指標
米国住宅着工
住宅購入に伴い、家電などの耐久消費財も購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため注目される。また、最近はFRB当局者が住宅関連指標をインフレ把握のために注目していることから、更に重要度が上がっている。
件数:前回136.0万件(改定)、予想138.0万件、結果127.7万件(×)
前月比:前回5.7%(改定-)、予想1.2%、結果-5.5%(×)
米国住宅建築許可
件数:前回144.0万件(改定)、予想146.5万件、結果138.6万件(×)
前月比:前回-3.0%(改定-)、予想1.4%、結果-3.8%(×)
21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標として注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回4.5(改定-)、予想4.5、結果1.3(×)
【考察】全て弱い数値。初動一時158.24へ下落。しかし、FRB早期利下げ観測材料にならないと判断され、米国債利回り上昇に連れてドル円全戻し。
21:51~要人発言
米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:4/4, 4/18, 5/7, 5/10, 5/15, 5/28, 6/3, 6/16, 6/20)
:政策スタンスはタカ派。前回6/16タカ派発言。
ミネアポリス連銀総裁、インフレ率2%達成は1、2年先の公算大(Bloomberg)
【考察】タカ派発言。ドル円上昇継続
22:45 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 5/24, 5/31, 6/3, 6/6, 6/7, 6/18, 6/20, 6/27, 6/28)
Q2:前回3.1%、予想3.1%、結果3.0%(×)
【考察】弱い数値
29:01 要人発言
米財務省、日本を為替「監視リスト」に追加-操作国認定は皆無(Bloomberg)
【考察】政府・日銀為替介入警戒後退。ドル円上昇継続
29:22~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:5/3, 5/10, 5/15, 5/30, 6/14, 6/18)
:政策スタンスは中立。前回6/14タカ派発言
シカゴ連銀総裁、米利下げ可能に-5月のようなインフレ統計増えれば(Bloomberg)
【考察】早期利下げ示唆のハト派発言。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値158.08
東京オープン直前に日足安値157.92、東京始値157.96を付けると、前日材料不足で意識されたと推測される恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等)、五十日仲値に向けてドル買い需要、米国債利回り上昇、日本5年国債入札(強)・リスクオン日本株上昇に連れて東京高値158.93へ上昇継続しました。
東京終値158.10
【日本市況】債券下落、米金利上昇で-TOPIX反落、円158円台(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後はリスクオン株上昇と原油先物価格上昇に連れて、日通し高値158.47へ急上昇。
神田財務官の円安牽制発言ありましたが一瞬の下押しから即全戻し。
米国経済指標は総じて弱く一時158.24へ下落。しかし、サプライズに乏しくFRB早期利下げ観測材料にならないと判断され、米国債利回り上昇に連れてドル円全戻し。
加えて、リスクオン欧米株上昇、米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言、米国財務省による為替監視リストに日本追加を受けて、日足高値158.94へ急上昇。米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言で小幅下押しで引けました。
日足終値158.93
【米国市況】円安進行、ドル160円が再び視野に-株に買い疲れの兆候(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・五十日仲値
・米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言
・原油先物価格上昇
売り材料:
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国経常収支米国住宅着工件数、米国住宅建築許可件数、米国フィラデルフィア連銀景況指数(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)
<円売り優勢>
買い材料:
・神田財務官の円安牽制発言
売り材料:
・日本5年国債入札(強)
・リスクオン株上昇
・米国財務省が為替監視リストに日本追加
・原油先物価格上昇
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回7月31日公表:据え置き89.7%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ57.9%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:6月陽線形成中。上昇トレンド。
- 週足:6/17週、陽線形成中。上昇トレンド。
- 日足:6/19陽線。レンジ
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)4H足ダウ高値157.883付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ高値158.084
(B) (A)後、4H足ダウ高値158.084をダウ上昇→目標日足戻り高値158.341
②Short
(C)日足高値158.134付近へ上昇→1H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ高値157.883
6月通算:14勝6敗、勝率70.0%、+244.7pips
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