2024年9月18日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本通関ベース貿易収支
・日銀、国債買入オペ通知
・米国住宅着工、米国住宅建築許可
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国FOMC公表

2.要人発言
・日銀ブラックアウト期間(日銀会合開催2営業日から会合当日まで:9/17~9/20)
・米国パウエルFRB議長

3.その他
・日銀会合関連リーク報道
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ4倍デー

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米大幅利下げ観測の反動-日銀総裁会見警戒(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利は上昇へ、米国の大幅利下げ観測は剥落公算(Bloomberg
・【日本株週間展望】上値試す、日米金融政策の決定後に円高基調和らぐ(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/17(火)マーケット影響
米小売売上高は強弱混在。前月比(強)で消費は底堅いと判断されリスクオン(株買い、債券売り[利回り上昇]、ドル買い、円売り) 更に、米鉱工業生産指数・設備稼働率(強)、米20年債入札(弱)で日足高値142.47へ急騰しました。

本日は、リスクオンの流れを引き継いでドル円上昇優勢と考えますが、下記(2)に向けて手控えや前日ロング勢決済による一時的なドル円急落に注意したい。

(2)FOMC公表、パウエルFRB議長会見(2024年、米国FOMC発表日のドル円動きまとめ
①政策金利(現状5.25-5.50%):
(a)市場予想通り9月0.25%利下げ→0.50%利下げ織り込み剥落→ドル円急上昇。但し、リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)でドル円急落へ転換する可能性あり。
(b)0.50%利下げ→市場織り込み約6割。よって、初動は強いドル売り→ドル円急落。但し、利下げ好感の株上昇(円キャリー促進)でドル円急上昇へ転換の可能性あり。
(c)11月0.50%利下げの可能性や年内利下げ4回以上示唆→ドル円急落

②パウエル議長会見
(a)ハト派発言、景気減速懸念→ドル円下落
(b)タカ派発言(追加利下げ慎重)→ドル円上昇
(c) (a)&(b)交錯バランスとり→ドル円乱高下

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

6:55 要人発言
防衛省
北朝鮮が弾道ミサイル発射の可能性 すでに落下か(日本経済新聞

【考察】地政学リスクオフ

8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支(輸出額から輸入額を差し引いた収支)
貿易赤字拡大は実需の円売り材料。
季調前:前回-6218億円(改定-6287)、予想-14062億円、結果-6953億円(○)
季調済:前回-7552億円(改定-6773)、予想-9890億円、結果-5959億円(◎)
7カ月連続で輸出数量低下 8月貿易収支、自動車減が響く(日本経済新聞

【考察】強い数値。日銀追加利上げ観測高進。

東京マーケット(9:00~15:00)

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション
2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ
(発表日:8/28/78/158/218/289/49/6, 9/11, 9/18, 9/25)
1~3年債:前回3500億円、予想3500億円、結果3500億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)
5~10年債:前回4000億円、予想4000億円、結果4000億円(○)
10~25年債:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)

【考察】
発表前:。直前141.68
発表後:据え置き。小幅上昇から、FOMC0.50%大幅利下げ観測・FOMC前のロング勢決済に押されてドル円下落継続。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国住宅着工
住宅購入に伴い家電などの耐久消費財も購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため注目されます。また、最近はFRB当局者が住宅関連指標をインフレ把握のために注目していることから重要度が上がっています。

件数:前回123.8万件(改定123.7)、予想131.4万件、結果135.6万件(◎)
前月比:前回-6.8%(改定)、予想6.1%、結果9.6%(◎)

米国住宅建築許可
件数:前回139.6万件(改定140.6)、予想141.1万件、結果147.5万件(◎)
前月比:前回-4.0%(改定-3.3)、予想1.1%、結果4.9%(◎)

【考察】強い数値

23:30 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日:9/3, 9/4, 9/9, 9/17, 9/18, 9/27)
Q3:前回2.5%、予想2.5%、結果2.9%(◎)

【考察】強い数値

27:00 経済指標
米国FOMC公表
(発表日; 1/313/205/16/12, 7/31, 9/18, 11/7, 12/18)
(Federal Open Market Committee)
①FRB政策金利:前回5.25-5.50%、予想5.00-5.25%、結果4.75-5.00%(×)

②実質GDP見通し
2024年:前回2.1%、結果2.0%(×)
2025年:前回2.0%、結果2.0%(○)
2026年:前回2.0%、結果2.0%(○)
2027年:前回-、結果2.0%
Longer run:前回1.8%、結果1.8%(○)

③失業率見通し
2024年:前回4.0%、結果4.4%(×)
2025年:前回4.2%、結果4.4%(×)
2026年:前回4.1%、結果4.3%(×)
2027年:前回-、結果4.2%
Longer run:前回4.2%、結果4.2%(○)

④コアPCE見通し
2024年:前回2.6%、結果2.3%(×)
2025年:前回2.3%、結果2.1%(×)
2026年:前回2.0%、結果2.0%(○)
2027年:前回-、結果2.0%
Longer run:前回2.0%、結果2.0%()

⑤政策金利見通し
2024年:前回5.1%(中央値5.125)、結果4.4%(中央値4.375)(×)。年内0.25%の2回利下げ見通し(4.75-4.4=0.35%)
2025年:前回4.1%、結果3.4%(×)
2026年:前回3.1%、結果2.9%(×)
2027年:前回-、結果2.9%
Longer run:前回2.8%、結果2.9%(◎)

⑥FOMC声明:FOMC声明:最大雇用を支え、インフレを2%に戻すことにコミット(Bloomberg)

【考察】
発表前:市場観測は依然として利下げ0.25%か0.50%で分かれており揉み合い。直前141.99。
発表後:利下げ0.50%。市場に十分に織り込まれていなかったことで、「米国債利回り急落→ドル売り」につれて、日通し安値140.56へ急落。


27:30~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar
(発言:7/27/97/107/157/31, 8/23, 9/18)
:政策スタンスは中立。前回8/23ハト派発言
FOMC、0.5ポイントの利下げ-積極緩和で経済守る決意表明(Bloomberg

【考察】会見直後に日足安値140.44を付けると、ハト派・タカ派のバランスを取った発言であったものの、慎重な追加利上げ姿勢(今後の0.50%追加利下げ継続否定)タカ派発言が材料視され、「米国債利回り急騰→強いドル買い」発生。0.50%利下げのドル円急落継続を見込んでいたショート勢の損切を巻き込み、日足高値142.71へ急騰しました。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値142.38
取引開始直後に日通し高値142.40を付けると前日の上昇を引き継ぐことなく、本日FOMC0.50%大幅利下げ観測、FOMC前のロング勢決済により、日通し安値141.23へ急落しました。
(日足戻り高値付近に1H足レンジ形成)

【日本市況】円上昇、米大幅利下げ観測根強い-債券と株式は上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後に、切番142.00へ上昇するもFOMC公表控えて揉み合い。

米国FOMC公表ではサプライズ0.5%利下げを受けて「米国債利回り急落→ドル売り」につれて、日通し安値140.56へ急落。
米国パウエルFRB議長会見直後に日足安値140.44を付けると、ハト派・タカ派のバランスを取った発言であったものの、慎重な追加利上げ姿勢(0.50%追加利下げ継続否定)タカ派発言が材料視され、「米国債利回り急騰→強いドル買い」発生。0.50%利下げのドル円急落継続を見込んでいたショート勢の損切を巻き込み、日足高値142.71へ急騰しました。急落、全戻しから上昇継続の乱高下。
日足終値142.28
(日足戻り高値付近、4H足レンジ形成)

【米国市況】株下落、パウエル議長が緩和を急がずと示唆-142円前半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・米国住宅着工、米国住宅建築許可(強)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・米国パウエルFRB議長のタカ派発言(大幅追加利上げ継続否定)

売り材料:
・米国FOMC公表:0.50%利下げ

<円売買交錯>
買い材料:
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ→62.2%、50bps引き下げ→37.8%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。レンジ。押し安値付近。
  • 週足:9/16週、陽線形成中。下降トレンド。
  • 日足:9/17陽線。明けの明星
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値141.804付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ高値142.392
(B)1H足レンジ高値142.392をダウ上昇→目標切番143.000

②Short
(C)日足高値142.469付近へ上昇→1H足レンジ高値142.392かつ1H足BB+1σをダウ下落→目標1H足押し安値141.804
(D) (B)後、切番143.000かつ1H足BB+1σをダウ下落→目標1H足レンジ高値142.392

本日:1勝1敗、-12.0pips
9月通算:13勝9敗、勝率59.1%、RR1.96 、+154.6pips

(Trading View)

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