2024年11月26日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・米国住宅価格指数
・米国S&Pケースシラー住宅価格指数
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
・米国新築住宅販売件数
・米国リッチモンド連銀製造業指数
・米国5年債入札
・米国FOMC議事要旨(11/6~11/7開催分)

2.要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB

3.その他
・日本財務省、国債市場特別参加者会合
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

今週は11/28(木)米国感謝祭で祝日休場、11/29(金)米国ブラックフライデーで短縮取引となりますが、既に休暇入りしている投資家が多いことから閑散相場となりやすいです。
従って値動き乏しい展開になりやすいですが、一方で市場参加者が少ないタイミングを狙った投機筋による仕掛けで乱高下に警戒が必要と言えます。

5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目度の高い指標が続きますが、上記の様に閑散相場の環境につき乱高下になりやすいと推測します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:00~発言
米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:11/9休場中, 11/12, 11/13, 11/26)
:政策スタンスはタカ派。前回11/13タカ、ハト派発言
米ミネアポリス連銀総裁、12月に0.25ポイント利下げ検討は依然妥当(Bloomberg

【考察】ハト派発言。ドル円下落

8:37~要人発言
トランプ次期大統領、中国に10%追加関税へ-メキシコとカナダは25%(Bloomberg

【考察】インフレ懸念。ドル円上昇

東京マーケット(9:00~15:30)

14:00 経済指標
日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行
(発表日:1/232/293/264/235/286/257/238/279/25, 10/22, 11/26)
日銀物価目標:2.0%
加重中央値:前回0.8%、結果0.8%(○)
最頻値:前回1.4%、結果1.3%(×)
刈込平均値:前回1.7%、結果1.5%(×)

【考察】総じて弱い数値。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

20:08 報道
イスラエル、レバノン首都ベイルート空爆

【考察】停戦合意の会談が頓挫。中東地政学リスクオフ。ドル円急落。

23:00 経済指標
米国住宅価格指数
前月比:前回0.3%(改定0.4)、予想0.4%、結果0.7%(◎)

23:00 経済指標
米国S&Pケースシラー住宅価格指数
前月比:前回0.35%(改定)、予想0.30%、結果0.18%(×)
前年比:前回5.20%(改定5.21)、予想4.70%、結果4.57%(×)

【考察】強弱混在。

24:00 経済指標
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
米国ミシガン大学消費者信頼感指数と同様、経済活動全体に重要な役割を果たす個人消費に関する重要指標。
前回108.7(改定109.6)、予想111.9、結果111.7(△)

24:00 経済指標
米国新築住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として中古住宅販売件数とともに重要。
件数:前回73.8万件(改定)、予想72.0万件、結果61.0万件(×)
前月比:前回4.1%(改定7.0)、予想-1.9%、結果-1.8%(×)

24:00 経済指標
米国リッチモンド連銀製造業指数
基準0、前回-14、予想-11、結果-14(△)

【考察】同刻発表、全て弱い数値。

27:00 経済指標
米国5年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
(過去の発表日:8/28, 9/25, 10/28, 11/26)

発行額(Offering Amount):700億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.138%、結果4.197%(×)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.39倍、結果2.43倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回76.4%、結果64.1%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+1.6bps、結果-0.2bps(◎)。4.197-4.199=-0.002
WI:4.199%

【考察】強弱混在。ドル円揉み合い。

27:00~要人発言
イスラエル首相「レバノン停戦を確実に履行」、安保閣僚が協定承認(Reuters

【考察】中東地政学リスクオフ後退。しかし、市場は疑心暗鬼の為かドル円小幅上昇。

28:00 経済指標
米国FOMC議事要旨(11/6~11/7開催分)
(過去の発表日:1/32/214/105/227/38/21, 10/9, 11/26)
FOMC議事要旨、「緩やかな」利下げに対して幅広い支持(Bloomberg

【考察】ハト派内容。ドル円下落。

29:34~要人発言
バイデン米大統領、イスラエルとヒズボラの停戦合意成立を発表(Bloomberg

【考察】中東地政学リスクオフ後退。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.25
取引開始後、米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のハト派発言で日通し安値153.88へ下落するも、米国トランプ次期大統領の中国、メキシコ、カナダへ追加関税表明を受けたインフレ懸念から日足高値154.49へ急上昇しました。

貿易戦争から世界景気後退を嫌気したリスクオフ日本株下落(円キャリー巻き戻し)が生じて日通し安値153.55へ急落しましたが、米国トランプ次期大統領追加関税表明を受けたインフレ懸念も根強く153.85へ上昇して引けました。

【日本市況】株式が反落、トランプ氏の関税表明でリスクオフ-円上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、米国トランプ次期大統領追加関税表明を受けたインフレ懸念から154.22へ上昇するも、欧州株下落(円キャリー巻き戻し)も交錯しドル円乱高下。

更に、停戦合意の会談への期待が高まっていた中でイスラエルがレバノン首都ベイルート空爆実施で中東地政学リスクオフにより日足安値152.99へ急落。

その後、米国株上昇(円キャリー促進)でドル円上昇するも、米国経済指標(弱)、米国FOMC議事要旨(11/6~11/7開催分)ハト派内容、イスラエル首相「レバノン停戦を確実に履行」と米国バイデン大統領「イスラエル・ヒズボラ停戦合意成立」の中東地政学リスクオフ後退からドル円下落で引けました。
日足終値153.11

【米国市況】S&P500種が最高値、レバノン停戦を好感-153円近辺(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・米国トランプ次期大統領、中国、メキシコ、カナダへ追加関税表明。
・米国住宅価格指数(強)

売り材料:
・米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のハト派発言
・米国S&Pケースシラー住宅価格指数(弱)、米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(弱)、米国新築住宅販売件数(弱)、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)
・米国FOMC議事要旨(11/6~11/7開催分):ハト派内容

<円買い優勢>
買い材料:
・米国トランプ次期大統領の追加関税表明→貿易戦争から世界景気後退を嫌気→リスクオフ日本株、欧州株下落(円キャリー巻き戻し)
・イスラエル、レバノン首都ベイルート空爆→中東地政学リスクオフ

売り材料:
・米国株上昇(円キャリー促進)
・イスラエル首相「レバノン停戦を確実に履行」→中東地政学リスクオフ後退
・米国バイデン大統領:イスラエル・ヒズボラ停戦合意成立→中東地政学リスクオフ後退
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利450-475bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回12月18日(水)公表:据え置き47.7→36.9%、25bps引き下げ52.3→63.1%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:11月陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
  • 週足:11/18週、陽線確定。レンジ。BB+1σ付近
  • 日足:11/22陽線。レンジ。20MA付近
  • 4H足:下降チャネル。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)日足押し安値152.681付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値153.459

②Short
(C)4H足レンジ安値153.745をダウ下落→目標4H足押し安値153.459
(D)4H足押し安値153.459をダウ下落→目標日足押し安値152.681

本日:1勝1敗、+22.7pips
11月通算:10勝11敗、勝率47.6%、RR1.90 、+138.9pips

(Trading View)

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