2024年9月25日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・米国新築住宅販売件数
・米国5年債入札

2.要人発言
・FRB

3.その他
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ3倍デー

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は神経質な展開か、自民党総裁選で上下に振れるリスク(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利低下へ、米金利低下や40年債入札を楽観視(Bloomberg
・【日本株週間展望】戻り試す、米景気懸念が和らぐ-自民総裁選も注視(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/24(火)マーケット影響
欧州オープン直後に日足高値144.68へ上昇しましたが、リスクオン(欧州株買い、欧米債券売り)・原油先物価格上昇が続いても強いドル売り発生しました。明確な材料ないことから投機筋等の月末ポジション調整と推測されます。
その後、リスクオン米国株上昇(円キャリー促進)するも、米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(弱)・米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)を受けるとドル売り強まり、日足安値143.12を付けました。

大口投資家の月末ポジション調整が始まったとすれば、本日以降はドルだけでなく円も株価とは無関係の動きが生じる可能性があるため、ドル円の方向性を見極めるには通貨強弱をメインにした方が良いかもしれません。

(2)米国経済指標
本日、米国新築住宅販売件数の注目度が高いですが、類似の9/19中古住宅販売件数(弱)のドル円への影響は一時的となりました。よって初動で大きく動いても、全戻しや揉み合いへの移行しやすいと想定します。

9/19(木)
・米国フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強)→ドル円上昇。但し、一時的。
・米国景気先行指数(強)、中古住宅販売件数(弱)交錯→ドル円下落から揉み合い。

9/23(月)
・米国PMI速報値サービス業・総合(強)、製造業(弱)→ドル円上昇から全戻し

9/24(火)
・米国住宅価格指数(弱)、米国S&Pケースシラー住宅価格指数(強弱)→ドル円揉み合い
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(弱)、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)→ドル円急落


マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション
2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ
(発表日:8/28/78/158/218/289/49/69/11, 9/18, 9/25)
1~3年債:前回3500億円、予想3500億円、結果3500億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)
5~10年債:前回4000億円、予想4000億円、結果4000億円(○)
10~25年債:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
物価連動債:前回600億円、予想600億円、結果600億円(○)

【考察】
発表前:五十日仲値に向けたドル需要、9/24中国人民銀の景気刺激策発表や植田日銀総裁のハト派発言の影響継続ドル円上昇。直前143.17
発表後:日通し高値143.49へ上昇するも、9/27自民党総裁選を控えた日本株下落につれて全戻し。

14:00 経済指標
日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行
(発表日:1/23, 2/29, 3/26, 4/23, 5/28, 6/25, 7/23, 8/27, 9/25)
日銀物価目標:2.0%
加重中央値:前回1.1%、結果0.7%(×)
最頻値:前回1.5%、結果1.3%(×)
刈込平均値:前回1.8%、結果1.8%(○)

【考察】弱い数値。9/24も植田日銀総裁は「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当」と発言していますが、「基調的な物価上昇率は目標2.0%割れ→日銀追加利上げ観測後退」。ドル円下げ止まり。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

18:00~要人発言
OECD、世界経済は「堅調」 インフレ一巡し実質賃金改善(日本経済新聞

【考察】2024年、日本経済成長率見通し下方修正。日銀追加利上げ観測後退

23:00 経済指標
米国新築住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として中古住宅販売件数とともに重要。
件数:前回73.9万件(改定75.1)、予想69.5万件、結果71.6万件(○)
前月比:前回10.6%(改定10.3)、予想-6.3%、結果-4.7%(○)

【考察】強い数値。ドル円上昇。

26:00 経済指標
米国5年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):700億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回3.645%、結果3.519%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.41倍、結果2.38倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回70.5%、結果70.3%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.3bps、結果0.0bps(×)。3.519-3.519=0.000
WI:3.519%

【考察】総じて入札不調。

29:00~要人発言
米国クーグラーFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:6/18, 7/16, 9/25, 9/26)
:政策スタンスは中立。7/16ハト、タカ派発言
FRBクーグラー理事、0.50%ポイント利下げ強く支持 労働市場に焦点(Reuters

【考察】ハト派、労働市場減速懸念発言

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値143.22
取引開始直後、前日欧米マーケットからの下落を引き継いで日足安値142.89を付けたものの、五十日仲値に向けたドル需要、9/24中国人民銀の景気刺激策発表や植田日銀総裁のハト派発言の影響継続、日銀国債買い入れオペ通知据え置きによる、日通し高値143.49へ上昇。

一方、9/27自民党総裁選を控えて日本株下落と日銀基調的なインフレ率を捕捉するための指標(弱)が交錯し、引けに掛けて揉み合いました。
(日足ダウ転換上昇と4H足ダウ転換下落交錯、1H足レンジ形成)

【日本市況】円が143円台半ばに下落、中国景気懸念後退でリスクオン(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン前から、前日と異なりリスクオン欧州株上昇(円キャリー促進)に連れ、OECDの2024年日本経済成長見通し下方修正を受けて、日通し高値144.44へ急伸。日足ダウ転換上昇に4H足ダウ転換下落狙いが吞み込まれてショート勢損切巻き込みドル円上昇の様子。

4H足レンジ上限144.29かつ4H足スクイーズBB+1σへ一気に到達すると、NYオープン直後に143.86へ下押し。
しかし、米国新築住宅販売件数(強)をきっかけに、日足レンジ高値143.91付近からの押し目買い入り引けに掛けて上昇継続し日足高値144.84を付けました。
該指標としては過剰な反応であることから、投機筋等の大口投資家による月末・四半期末ポジション調整の影響と推測します。9/24ドル円急落分を全戻し。
日足終値144.76

【米国市況】円下落、対ドル145円に接近-S&P500種3日ぶりの下げ(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・五十日仲値に向けたドル需要
・米国新築住宅販売件数(強)
・米国5年債入札(弱)
・月末、四半期末ポジション調整(推測)

売り材料:
・リビア政情不安後退、米中消費低迷懸念→原油先物価格急落→インフレ懸念後退

<円売り優勢>
買い材料:
・原油先物価格急落→日本貿易収支改善
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・9/24中国人民銀の景気刺激策発表の影響継続
・9/24植田日銀総裁のハト派発言の影響継続
・日銀国債買い入れオペ通知:据え置き
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(弱)
・OECD:2024年、日本経済成長率見通し下方修正。日銀追加利上げ観測後退
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

円は逆風に直面、FRB大幅利下げ効果も相殺か-海外投資や低利回り(Bloomberg

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ41.8→39.3%、50bps引き下げ58.2→60.7%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。レンジ。押し安値付近。
  • 週足:9/23週、陰線形成中。下降トレンド中の調整波に相当。
  • 日足:9/24上長ヒゲ陰線。上昇トレンドからレンジ移行。20MA下を推移。
  • 4H足:上昇チャネルから下降トレンド以降中。20MA下抜け。
  • 1H足:下降トレンド。
  • 15M足:下降チャネル。

【シナリオ】
①Long
(A)日足押し安値142.247付近へ下落→転換上昇→目標日足安値143.115
(B)4H足レンジ安値143.331かつ4H足20MAをダウ上昇→目標日足レンジ高値143.905

②Short
(C)4H足レンジ安値143.331付近へ上昇→転換下落→目標日足安値143.115
(D)日足安値143.115をダウ下落→目標日足押し安値142.247

本日:1勝1敗、-11.8pips
9月通算:17勝12敗、勝率58.6%、RR1.99 、+223.5pips

(Trading View)

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