ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本40年債入札
・米国耐久財受注速報値
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国実質GDP改定値
・米国シカゴ購買部協会景気指数
・米国PCE、PCEデフレータ
・米国中古住宅販売成約指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国7年債入札
2.要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ次期大統領
・FRB
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・月末スポット応当日
・日本財務省、国債投資家懇談会
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
・スワップ3倍デー
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。
今週は11/28(木)米国感謝祭で祝日休場、11/29(金)米国ブラックフライデーで短縮取引となりますが、既に休暇入りしている投資家が多いことから閑散相場となりやすいです。
従って値動き乏しい展開になりやすいですが、一方で市場参加者が少ないタイミングを狙った投機筋による仕掛けで乱高下に警戒が必要と言えます。
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数、米国PCE・PCEデフレータです。
(2024年11~12月、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数発表日のドル円動きまとめ)
(2024年、米国PCEデフレータ発表日のドル円動きまとめ)
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:30)
9:55 仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。年末・月末スポット応当日は仲値に向けて売買交錯しやすい。
*スポット:直物為替(直物取引)。原則、売買を契約した日(約定日)から2営業日後に受け渡しをする外国為替取引のことです。
*スポット応当日:スポットの受け渡し日のこと。年末、月末や四半期末には仲値に向けた実需勢等の売買が交錯しやすく荒い値動きが生じる可能性があります。
12:35 経済指標
日本40年債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:7,000億円程度
最高落札利回り:前回2.34%、結果2.55%(×)
応札倍率:前回2.58倍、結果2.24倍(×)
【考察】入札不調。
欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)
22:30 経済指標
米国耐久財受注速報値:設備投資の先行指標
前月比:前回-0.7%(改定-0.4)、予想0.4%、結果0.2%(△)
コア前月比:前回0.5%(改定0.4)、予想0.2%、結果0.1%(×)
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.3万件(改定21.5)、予想21.6件、結果21.3万件(◎)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回190.8万件(改定189.8)、予想189.0万件、結果190.7万件(×)
22:30 経済指標
米国実質GDP改定値(過去の発表日:1/25, 2/28, 3/28, 4/25, 5/30, 6/27, 7/25, 8/29, 9/26, 10/30, 11/27)
速報値は改定値や確報値に比べて注目度高いですが、改定値や確報値でもドル円が大きく動くことあり。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
【9/18(水)米国FOMC公表2024年見通し:実質GDP2.0%、コアPCE2.3%】
実質GDP(=名目GDP-物価変動):前回2.8%、予想2.8%、結果2.8%(○)
個人消費:前回3.7%、予想3.7%、結果3.5%(×)
GDPデフレータ(=名目GDP/実質GDP):前回1.8%、予想1.8%、結果1.9%(◎)
PCEコアデフレータ(FRB目標2.0%):前回2.2%、予想2.2%、結果2.1%(×)
【考察】
発表前:日足高値153.24を付けてから米国感謝祭前・月末ポジション調整と推測されるドル円急落。直前151.62(日足押し安値151.58付近)。
発表後:同刻発表指標、強弱混在。米国感謝祭前・月末ポジション調整の影響継続のためかドル円下落。
23:45 経済指標
米国シカゴ購買部協会景気指数
米国ISM製造業景気指数の前営業日に発表される同指標の先行指標。
基準50、前回41.6(改定)、予想44.6、結果40.2(×)
【考察】弱い数値。
24:00 経済指標
米国中古住宅販売成約指数
売買契約が結ばれているものの、最終引渡しが行われていない物件の指数。引き渡しが済んだ中古住宅販売件数の先行指標として注目される。
前月比:前回7.4%(改定7.5)、予想-2.1%、結果2.0%(○)
前年比:前回2.2%(改定-)、予想0.2%、結果6.6%(◎)
24:00 経済指標
米国PCE
個人所得:前回0.3%(改定)、予想0.3%、結果0.6%(◎)
個人支出:前回0.5%(改定)、予想0.5%、結果0.1%(×)
米国PCEデフレータ
(過去の発表日:1/26, 2/29, 3/29, 4/26, 5/31, 6/28, 7/26, 8/30, 9/27, 10/31, 11/27)
総合指数より基調的なインフレを反映するコア指数がより注目されます。
強い数値なら、「インフレへの警戒感→FF金利上昇する可能性→ドル買い材料」
【9/18(水)米国FOMC公表2024年見通し:コアPCE2.3%】
前月比:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
前年比(FRB目標2.0%):前回2.1%(改定)、予想2.3%、結果2.3%(○)
コア前月比:前回0.3%(改定)、予想0.3%、結果0.3%(○)
コア前年比:前回2.7%(改定)、予想2.8%、結果2.8%(○)
米PCEコア価格、前年比の伸び加速-FRBの慎重姿勢を裏打ち(Bloomberg)
【考察】
発表前:日足高値153.24を付けてから米国感謝祭前・月末ポジション調整と推測されるドル円急落。直前151.37(日足押し安値151.58付近)。
発表後:同刻発表指標を含め、総じて強い数値。初動ドル上昇。しかし、米国PCEデフレータが予想通りなら12月FOMC0.25%利下げの可能性高いと判断やポジション調整の影響が強いためか全戻し下落。
25:30 経済指標
米国7年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):440億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.215%、結果4.183%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.74倍、結果2.71倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回72.0%、結果64.1%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.2 bps、結果-1.4bps(◎)。4.183-4.197=-0.014
WI:4.197%
【考察】総じて入札好調。ドル円下落継続。
25:45 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q4:前回2.6%、予想2.6%、結果2.7%(◎)
【考察】強い数値。ドル円揉み合い。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.09
取引開始直後、日足高値153.24を付けてからは、月末スポット応当日に絡んだポジション調整と推測される円買いドル売り、11/26同様に米国トランプ次期大統領関税政策表明と今後の発言への警戒感からリスクオフ日本株下落(円キャリー促進)連れて、日通し安値152.15へ急落して引けました。
【日本市況】152円台前半に円一段高、日米金利差縮小を意識-株続落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後も東京マーケットの流れを引き継いでドル円下落。
米国耐久財受注速報値(弱)、米国新規失業保険申請件数(強)、米国失業保険継続申請件数(弱)、米国実質GDP改定値(強弱)と強弱混在でしたが、月末ポジション調整の影響が強いためかドル円下落継続し、NYオープン直前に日通し安値151.00へ急落。
しかし、直後の米国PCEデフレータ(強)で初動ドル円上昇するも、米国PCEデフレータが予想通りなら12月FOMC0.25%利下げの可能性高いと判断され、月末ロンフィクに絡んだポジション調整のためか全戻し下落。
更に米国7年債入札(強)で拍車が掛かり、日足安値150.46へ急落しましたが、150円台前半の値頃感か押し目買いが入り上昇して引けました。
日足終値151.12
【米国市況】S&P500種8日ぶり反落、ハイテク安い-150円台に上昇(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国新規失業保険申請件数(強)、米国中古住宅販売成約指数(強)、米国PCEデフレータ(強)、米国アトランタ連銀GDP Now(強)
売り材料:
・月末ポジション調整(推測)
・米国耐久財受注速報値(弱)、米国失業保険継続申請件数(弱)、米国シカゴ購買部協会景気指数(弱)
・米国7年債入札(強)
<円買い優勢>
買い材料:
・11/26米国トランプ次期大統領の追加関税表明影響継続→貿易戦争から世界景気後退を嫌気→リスクオフ日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・日本40年債入札(弱)
・月末ポジション調整(推測)
売り材料:
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利450-475bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回12月18日(水)公表:据え置き40.6→33.5%、25bps引き下げ59.4→66.5%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:11月陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
- 週足:11/25週、陰線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
- 日足:11/26陰線。レンジ。20MA付近。
- 4H足:下降チャネル。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足押し安値152.681付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値153.459
②Short
(B)1H足レンジ安値153.248付近へ上昇→転換下落→目標日足押し安値152.681
本日:1勝0敗、+23.7pips
11月通算:11勝11敗、勝率50.0%、RR1.91 、+162.6pips
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