ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本10年国債入札
・米国PMI確報値(製造業)
・米国建設支出
・米国ISM製造業景気指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
2.要人発言
・政府、日銀
・FRB
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米積極利下げ観測が後退しドル一段高に(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利低下か、早期利上げ観測緩和で長期債に買い(Bloomberg)
・【日本株週間展望】一進一退、エヌビディア通過も米雇用統計に警戒(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)9/2(月)マーケット影響
・8/30米PCE・PCEデフレータの影響継続と月初ポジション調整と推測される円売り→ドル円上昇
本日、米国経済指標発表までドル円下押しが生じても一時的で上昇優位と推測します。
(2)米国経済指標
本日の注目は米国ISM製造業景気指数です。(2024年、米国ISM製造業景気指数発表日のドル円動きまとめ)
8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。但し、利下げタイミングとペースはデータ次第。
従って、注目は9月0.50%大幅利下げの有無となります。
(a)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回0.981%、結果0.925%(◎)
応札倍率:前回2.98倍、結果3.17倍(◎)
テール:前回50銭、結果9銭(◎)
【考察】入札好調。しかしながら、市場ではやや弱めとの判断。日本国債利回り上昇。
13:30~14:00 要人発言
植田日銀総裁:経済財政諮問会議(内閣府)
【考察】経済・物価見通し実現なら利上げ継続示唆のタカ派発言。植田日銀総裁資料提出報道前ですが、警戒感からかドル円下落。
14:30 報道
経済・物価見通し実現なら利上げ継続、日銀総裁が諮問会議に資料提出(Bloomberg)
【考察】7/31日銀会合後、8/23国会閉会中審査の発言内容と同じですが、材料不足の中、アルゴリズム取引が反応しやすかったためか、ドル円下落継続。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:1/24, 2/22, 3/21, 4/23, 5/23, 6/21, 7/24, 8/22)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回48.0、予想48.1、結果47.9(×)
23:00 経済指標
米国建設支出
前月比:前回-0.3%(改定0.0)、予想0.1%、結果-0.3%(×)
23:00 経済指標
米国ISM製造業景気指数:景気先行指標として注目度大(Institute for Supply Management)
(発表日; 1/3, 2/1, 3/1, 4/1, 5/1, 6/3, 7/1, 8/1, 9/3)
基準50、前回46.8(改定)、予想47.5、結果47.2(△)
・仕入価格:前回52.9、予想52.0、結果54.0(◎)
・新規受注:前回47.4、予想、結果44.6(×)
・雇用:前回43.4、予想、結果46.0(◎)
米ISM製造業指数、5カ月連続で活動縮小-受注と生産が低迷(Bloomberg)
【考察】
発表前:東京・欧州マーケットからの下落継続。直前145.44(4H足レンジ高値145.40付近)。
発表後:強弱混在。
初動は米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)で日足安値145.13付けるも、米国ISM製造業仕入価格・雇用(強)から、日足三尊右肩145.21付近からの押し目買いに乗って急上昇。
25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q2:前回2.5%、予想2.5%、結果2.0%(×)
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値146.91
東京オープン直後に日足高値147.21を付けると、日本株下落(円キャリー巻き戻し)、日本10年国債入札弱め、経済財政諮問会議での植田日銀総裁タカ派発言・資料提出報道を受けると、東京クローズ後に日通し安値146.00へと急落しました。
【日本市況】長期金利1カ月ぶり高水準、円上昇-緩和調整と植田総裁(Bloomberg)
欧米マーケット:
東京の流れを引き継いで欧州株下落スタート、原油先物価格急落、米国PMI確報値(製造業)(弱)を受けて、日通し安値145.28へ急落。
直後、米国ISM製造業景気指数・新規受注(弱)で日足安値145.13付けるも、米国ISM製造業仕入価格・雇用(強)を受けると、日足三尊右肩145.21付近からの押し目買いに乗って145.92へ急上昇。
また、リスクオフ(米国株売り・米国債券買い、ドル買い・円買い)や米国勢連休明け・月初ポジション調整のためか、引けに掛けてドル円もみ合い下落となりました。
日足終値145.48
(1H足下降チャネル形成)
【米国市況】S&P500、1カ月ぶり大幅安-円が対ドル一時1%上昇(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国ISM製造業仕入価格、雇用(強)
売り材料:
・米国PMI確報値(製造業)、米国建設支出(弱)
・米国ISM製造業景気指数、新規受注(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)
・リスクオフ(米国債買い)
・リビア産油再開合意が近いとの見方、中国景気減速懸念→原油先物価格急落
<円買い優勢>
買い材料:
・日本10年国債入札(弱)
・植田日銀総裁、経済・物価見通し実現なら利上げ継続のタカ派発言
・植田日銀総裁の経済財政諮問会議への資料提出報道(7/31日銀会合後や8/23国会閉会中審査の発言内容)
・リスクオフ(米株下落)
・原油先物価格急落
売り材料:
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ70.0→61.0%、50bps引き下げ30.0→39.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陽線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
- 週足:9/2週、形成中。下降トレンド。
- 日足:9/2陽線。レンジ。BB+1σ付近。
- 4H足:上昇トレンド。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値146.673付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ高値146.991
(B) (A)後、1H足レンジ高値146.991をダウ上昇→目標4H足戻り高値ヒゲ先147.347
②Short
(C)1H足押し安値146.673かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足レンジ高値146.230
(D)4H足戻り高値ヒゲ先147.347付近へ上昇→転換下落→目標1H足レンジ高値146.991
本日:1勝1敗、+14.9pips
9月通算:1勝2敗、勝率33.3%、RR2.08 、+1.6pips
コメント