ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・米国雇用統計
・IMM通貨先物円ポジション
2.要人発言
・日本政府
・FRB
3.その他
・実質五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国雇用統計です(2024年、米国雇用統計発表日のドル円動きまとめ)
直近の労働市場関連指標結果に絞ってみると、
10/1米国ISM製造業雇用(弱),米国JOLTS求人件数(強)
10/2米国ADP雇用者数(強)
10/3米国新規失業保険申請件数(弱)、失業保険継続申請件数(強)、米国ISM非製造業雇用(弱)
の強弱交錯となっており、米国雇用統計も読みにくい展開になりました。
更に、下記の中東地政学リスクオフ悪化が交錯する可能性は続いており、週跨ぎのポジション保有を避けたい投資家の決済も入りやすいと推測します。
<10月度、主要指標とドル円関係>
10/1(火)
・米国ISM製造業新規受注(強)、米国ISM製造業景気指数,仕入価格,雇用(弱)、米国JOLTS求人件数(強)→ドル円乱高下。但し、サプライズの中東地政学リスクオフ悪化も交錯。
10/2(水)
・米国ADP雇用者数(強)→ドル円急上昇。中東地政学リスクオフ後退中。
10/3(木)
・米国新規失業保険申請件数(弱)、失業保険継続申請件数(強)→ドル円乱高下
・米国ISM非製造業景気指数,仕入価格, 新規受注(強)、米国ISM非製造業雇用(弱)、米国製造業新規受注(弱)→ドル円乱高下。但し、米国バイデン大統領発言で中東地政学リスクオフ・原油先物価格急騰も交錯。
(2)中東地政学リスクオフ
10/1、イランがイスラエルへ大規模なミサイル攻撃を実施し、米国軍も今まで以上に戦闘に直接関与することから、中東戦争拡大への懸念が高まりました。
10/2、イラン攻撃休止かつイスラエル大規模報復攻撃がなかったことでリスクオフ後退しましたが、イスラエルは数日以内の報復攻撃を予告しており、リスクオフ悪化はほぼ確実。
10/3、米国バイデン大統領「イスラエルによるイラン石油施設攻撃を協議中」発言も飛び出し、中東地政学リスクオフと原油先物価格急上昇。
地政学リスクオフ悪化となれば初動ドル円急落から乱高下の可能性が高く、地政学リスクオフ後退となれば巻き戻しのドル円上昇を想定します。今まで以上に報道や要人発言ヘッドラインに要警戒が必要と考えます。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→リスクオフドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 実質五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。
14:13~要人発言
石破首相
デフレ脱却を最優先に実現、地方創生で独自色-石破首相が所信演説(Bloomberg)
【考察】デフレ脱却最優先→日銀利上げ牽制(ハト)。物価高克服→日銀利上げ容認(タカ)。直接的な日銀利上げ牽制表現がなかったためか、タカ派発言が材料視されドル円下落継続。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;1/5, 2/2, 3/8, 4/5, 5/3, 6/7, 7/5, 8/2, 9/6,10/4)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回14.2万人(改定15.9)、予想15.0万人、結果25.4万人(◎)
失業率:前回4.2%(改定)、予想4.2%、結果4.1%(◎)
平均時給
前月比:前回0.4%(改定0.5)、予想0.3%、結果0.4%(○)
前年比:前回3.8%(改定3.9)、予想3.7%、結果4.0%(◎)
米雇用者数の伸び、9月は全予想上回る-失業率は4.1%に低下(Bloomberg)
【考察】
発表前:日足安値145.92から強い数値期待の織り込みやショート勢決済により上昇。直前146.50(4H足上昇トレンド調整波内部の1H足下降チャネル上限付近)。
発表後:サプライズの強い数値。11月FOMC0.50%利下げ織り込み消失かつ利下げなし観測も浮上。日通し高値148.81へ急騰から、日足高値149.00へ上昇継続。
23:04~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言: 9/6, 9/23, 9/30, 10/3, 10/4)
:政策スタンスは中立。前回10/3ハト派発言
シカゴ連銀総裁、雇用統計「素晴らしい内容」-過度な反応には警鐘(Bloomberg)
【考察】ハト派発言
28:30 経済指標
IMM通貨先物10/1時点(Investing.com)
円ロング減少
<まとめ>
東京マーケット:
・ドル円:下落
・株式:日経平均,TOPIX上昇から下落、ダウ先物上昇から下落
・国債:日本10年債利回り上昇、米国10年債利回り揉み合い
・通貨強弱:円>ドル(円買い、ドル売り)
・原油先物価格:下落
日足始値146.90
取引開始後、前日のドル円乱高下のレンジ内を推移して日通し高値146.93を付けたものの、147円台トライ失敗で米国雇用統計前のポジション調整が優勢になったためかロング勢決済入り、ドル円急落。
更に、石破首相の所信演説で前日までの直接的な日銀利上げ牽制発言なく、日足安値145.92へ急落して引けました(1H足押し安値146.03、切番146.00付近)。
【日本市況】円上昇、首相の発言修正で利上げ観測復活-中長期債安い(Bloomberg)
欧米マーケット:
・ドル円:欧州上昇、NY上昇
・株:欧州株まちまち、米国主要3指数(ダウ、S&P、ナスダック)上昇、日経平均先物上昇
・国債:欧州10年債利回り上昇、米国10年債利回り上昇
・通貨強弱:ドル>円(ドル買い、円売り)
・原油先物価格:揉み合い上昇
欧州オープンすると、東京から一転して米国雇用統計(強)期待の織り込みやショート勢決済によりドル円上昇。
米国雇用統計サプライズ(強)となり11月FOMC0.50%利下げ織り込み消失かつ利下げなし観測も浮上し、日足高値149.00へ急騰し引けました。
日足終値148.70
【米国市況】株と利回り上昇、市場は利下げ予想を修正-148円台後半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国雇用統計(強)
売り材料:
・米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言
<円売り優勢>
買い材料:
・石破首相のタカ派発言
売り材料:
・石破首相のハト派発言
・米国雇用統計(強)
・IMM通貨先物10/1時点:円ロング減少
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:据え置き0.0→6.6%、25bps引き下げ67.9→97.5%、50bps引き下げ32.1→0.0%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:10月陽線形成中。レンジ。20MA付近。
- 週足:9/30週、陽線形成中。下降トレンド中の調整波で戻り高値付近。
- 日足:10/3陽線コマ足。上昇トレンド。戻り高値付近。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:三角持ち合い。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足高値147.244をダウ上昇→目標切番148.000
(B)1H足押し安値146.026付近へ下落→転換上昇→目標4H足レンジ安値146.712
②Short
(C)4H足レンジ安値146.712かつ1H足20MAをダウ下落→目標日足安値146.286
(D)1H足押し安値146.026かつ4H足20MAをダウ下落→目標日足レンジ高値144.822
本日:1勝0敗、+29.8pips
10月通算:4勝3敗、勝率57.1%、RR2.05 、+120.8pips
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