ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)1/11の欧米マーケット影響
米国CPIの強い数値でドル円急騰。FRB要人からタカ派相次ぐも、利上げ終了(追加利上げなし)観測維持や、中東地政学リスクオフ悪化懸念(米英のイエメン空爆実施予定の事前織り込みが入ったか)により全戻し下落。
(2)経済指標
・日本国際収支
・日本30年国債入札
・米国生産者物価指数
(3)要人発言
・FRB要人
(4)その他
・米国主要企業決算
・IMM通貨先物ポジション
・中東地政学リスクオフ
・来週はドル高一服か、米CPI注視-日銀修正観測後退で円高は限定的(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利は上昇か、日銀オペ減額や国債入札を警戒(Bloomberg)
・【日本株週間展望】続伸へ、米利下げ観測後退し円安推移が下支え(Bloomberg)
本日の注目は、①中東地政学リスクオフの影響と②米国生産者物価指数。
①中東地政学リスクオフ:リスクオフ円買い・ドル買い、安全資産米国債買いの利回り低下によるドル売り、原油先物価格上昇のドル買い・円売りが交錯しやすいですが、どの動きが強く出るか注目したい。
②米国生産者物価指数:前日米国消費者物価指数は強い数値でドル円上昇するもFRB利下げ観測は変化なく全戻し下落となったことから、米国生産者物価指数が強い数値でも同じ流れになりやすい。一方、弱い数値で下落しても、FRB要人からはタカ派発言が相次いでおり下落トレンドは続きにくいと推測します。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:36 要人発言
米当局者
米英、イエメンのフーシ派軍事拠点に空爆実施(Bloomberg)
【考察】地政学リスクオフで円買い、安全資産米国債買いドル売りと原油先物価格上昇ドル買いが交錯しながらもドル円下落。
8:50 経済指標
日本国際収支
経常収支:前回25828億円(改定)、予想23700億円、結果19256億円(×)
経常収支(季調済):前回26217億円(改定)、予想21455億円、結果18854億円(×)
貿易収支:前回-4728億円、予想-5139億円、結果-7241億円(×)
【考察】日本景気悪化懸念の円売りでドル円上昇。しかし、地政学リスクオフの影響強く直ぐに全戻し下落。
東京マーケット(9:00~15:00)
12:35 経済指標
日本30年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.623%、結果1.649%(×)
応札倍率:前回2.62倍、結果3.00倍(◎)
テール:前回1円20銭、結果40銭(◎)
【考察】市場は総じて入札不調と判断。ドル円は反応薄。
欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)
15:25 報道
日本政府、被災地支援財源、5000億の赤字国債追加発行最終調整(テレ東)
【考察】国債発行で国債利回り上昇は円買い材料ですが、赤字財政悪化拡大の円売り強くドル円上昇。
20:57 米国主要企業決算
JPモルガン・チェース
売上高:前回398.7億ドル、予想397.8億ドル、結果385.7億ドル(×)
EPS:前回4.33ドル、予想3.36ドル、結果3.97ドル(○)
JPモルガン、10-12月純金利収入は過去最高-24年通年は増加見込む(Bloomberg)
21:03 米国主要企業決算
バンク・オブ・アメリカ
売上高:前回251.7億ドル、予想237.4億ドル、結果235億ドル(×)
EPS:前回0.90ドル、予想0.63ドル、結果0.70ドル(○)
BofA、純利益半減-債券トレーディング収入が予想外の減少(Bloomberg)
21:11 米国主要企業決算
ウェルズ・ファーゴ
売上高:前回208.6億ドル、予想202.8億ドル、結果204.8億ドル(○)
EPS:前回1.48ドル、予想1.17ドル、結果0.86ドル(×)
ウェルズ・ファーゴ、予想以上に費用増加-FDICへの拠出など響く(Bloomberg)
22:06 米国主要企業決算
シティグループ
売上高:前回201億ドル、予想188.8億ドル、結果174億ドル(×)
EPS:前回1.63ドル、予想0.79ドル、結果0.84ドル(○)
シティグループ、従業員2万人削減へ-リターン押し上げ策の一環(Bloomberg)
22:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)(過去の発表日; 1/18, 2/16, 3/15, 4/13, 5/11, 6/14, 7/13, 8/11, 9/14, 10/11, 11/15, 12/13, 1/12)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.0%(改定-0.1)、予想0.2%、結果-0.1%(△)
前年比:前回0.9%(改定0.8)、予想1.4%、結果1.0%(△)
コア前月比:前回0.0%(改定)、予想0.2%、結果0.0%(△)
コア前年比:前回2.0%(改定)、予想2.0%、結果1.8%(×)
米PPI、前月比で3カ月連続の低下-利下げ観測が再び強まる(Bloomberg)
【考察】
発表前:強い数値への期待織り込みや地政学リスクオフ悪化による原油先物価格上昇に連れて日足高値145.57付け。直前145.43
発表後:総じて弱い数値(対予想は全て弱い数値。対前回は前年比が強い、他は同等以下。)
初動から急落して日足安値144.35付け。
その後、一気に日足ダウ高値144.61や4H足戻り高値転換144.45へ急落したことで押し目買い入り、145.02へ上昇(約62%戻し)から引けに掛けて揉み合い。
29:30 経済指標
IMM通貨先物1/9時点(ポジション推移)
円ショート縮小
【考察】円買い材料
30:43~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
:政策スタンスは中立。前回1/11はタカ派発言。
(過去の発言:11/7, 11/9, 11/14, 11/17, 11/28, 11/29, 12/1, 12/15, 12/17, 12/18, 12/20, 1/11, 1/12)
「米国PPIはノイズが多く予測性は低い」
【考察】米国PPIの弱い数値を否定するタカ派発言。NYクローズ後でドル円動きなし。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値145.30。
東京始値145.10
東京高値145.41
東京安値144.85
東京終値145.25
きょうの国内市況(1月12日):株式、債券、為替市場 (Bloomberg)
米英によるイエメン空爆による地政学リスクオフで円買い、安全資産米国債買いドル売りと原油先物価格上昇ドル買いが交錯しながらもドル円下落し東京安値144.85を付けましたが、原油先物価格上昇ドル買いドル円上昇。
欧米マーケット:
欧州始値145.15
日足高値145.57(4H足レジスタンスかつ転換シグナル145.35付近)
NY始値144.56
日足安値144.35(日足ダウサポート144.63付近)
NY終値144.90
日足終値144.91
【米国市況】2年債利回り急低下、PPI下振れ-ドル一時144円36銭(Bloomberg)
原油先物価格上昇、米国PPIの強い数値への期待もあるためか上昇継続し、日足高値145.57を付けましたが、直後の米国PPI弱い数値でドル円急落。NYオープン後に日足安値144.35を付けましたが、日足サポート144.63付近でのショート勢決済や押し目買いも入り上昇して引け。米国三連休前でショート勢決済も入ったためと推測。
総じて、米英によるイエメン空爆による地政学リスクオフ悪化円買い、安全資産米国債買いドル売りと原油先物価格上昇ドル買いが交錯しドル円乱高下から米国PPIの弱い数値で下落。米国三連休前のショート勢決済も入ったためか上昇して引け。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
・1/12ドル買い、ドル売り交錯優勢:
ドル買い:米国CPIの強い数値で利下げ観測後退、FRB要人タカ派発言、中東地政学リスクオフ(原油先物価格上昇)
ドル売り:中東地政学リスクオフ(米国債買い)、米国PPIの弱い数値
米英がフーシ派拠点を空爆、中東で緊張拡大の恐れ-原油価格上昇(Bloomberg)
インフレ懸念再び、中東混乱で輸送コストや原油価格が上昇(Bloomberg)
・1/11円売り優勢
円買い:中東地政学リスクオフ
円売り:日銀早期政策修正観測後退(24年物価見通し下方修正)、中東地政学リスクオフ(原油先物価格上昇)
日本株ETFに殺到-中国人投資家、本土株の損失にうんざり(Bloomberg)
日銀の24年度物価見通し下方修正の公算大、23年度成長率も-関係者(Bloomberg)
米国債イールドカーブ
1/12(金)は1/11(木)に対しブル(短期金利低下、長期金利低下)、逆イールド縮小。ドル売り・買い材料交錯(U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY)
FRB政策金利:525~550bps
FOMC見通し(CME FedWatch Tool)
次回公表24年1月31日:25bps引き下げ6.7%、据え置き93.3%
初回利下げ観測24年3月20日公表:25bp引き下げ74.2%
24年合計利下げ観測:25bps×6回=150bps → 政策金利375~400bps見込み
2023年12月13日FOMC政策金利見通し(Projection Materials)と1/11織り込み
24年:4.6%(米国1年債利回り4.68%)
25年:3.6%(米国2年債利回り4.16%)
26年:2.9%(米国3年債利回り3.94%)
Longer run: 2.5%(米国10年債利回り3.90%)
24年利下げ見通し:25bps×3回=75bps →政策金利450~475bps相当
実質金利=政策金利-総合消費者物価指数12月度前年比=5.5%-3.4%=2.1%
(現状の相関関係は、25bpsでドル円約3円変動)
テクニカル分析
トレード
- 月足:1月陽線形成中。押し安値や20MA付近から上昇中。
- 週足:1/8週、陽線形成中。
- 日足:1/11陽線コマ足。ダウ転換上昇。BBスクイーズ。
- 4H足:上昇トレンド。BBスクイーズ。
- 1H足:レンジ。BBスクイーズ。
- 15M足:レンジ。BBスクイーズ。
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足サポート145.073付近へ下落→ダウ転換上昇→目標4H足レジスタンス145.354
(B)4H足レジスタンス145.354をダウ上昇→目標1H足レジスタンス145.803
(C)1H足レジスタンス145.803をダウ上昇→目標4H足レジスタンス146.255
②ショート
(D)1H足20MA付近へ上昇→4H足サポート145.354をダウ下落→目標4H足サポート145.073又は4H足20MA
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