ファンダメンタルズ分析
注目材料
１．経済指標
・日本2年債入札
・米国耐久財受注速報値
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国実質GDP改定値第4四半期
・米国中古住宅販売成約指数
２．要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ大統領
・FRB
３．その他
・TOM効果：株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。
・米英首脳会談
・2/26～2/27 G20財務相・中央銀行総裁会議（南アフリカ共和国）（JETRO）
・月末ロンドンフィックス
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）
４．参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤円キャリー取引（促進or巻き戻し）に分類できます。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:30)
12:35 経済指標
日本2年債入札（財務省）
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額：2兆6000億円程度
最高落札利回り：前回0.730%、結果0.833%（×）
応札倍率：前回4.06倍、結果3.16倍（×）
テール：前回6厘、結果1銭3厘（×）
【考察】入札不調。
欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)
22:30 経済指標
米国耐久財受注速報値：設備投資の先行指標
前月比：前回-2.2%（改定-1.8）、予想1.9%、結果3.1%（◎）
コア前月比：前回0.3%（改定0.1）、予想0.4%、結果0.0%（×）
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.9万件（改定22.0）、予想22.1万件、結果24.2万件（×）
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回186.9万件（改定186.7）、予想187.1万件、結果186.2万件（◎）
22:30 経済指標
米国実質GDP改定値第4四半期（過去の発表日：6/27, 7/25, 8/29, 9/26, 10/30, 11/27, 12/19, 1/30, 2/27）
速報値は改定値や確報値に比べて注目度高いですが、改定値や確報値でもドル円が大きく動くことあり。
実質GDP（=名目GDP-物価変動）：前回2.3%、予想2.3%、結果2.3%（○）
個人消費：前回4.2%、予想4.2%、結果4.2%（○）
GDPデフレータ（=名目GDP/実質GDP）：前回2.2%、予想2.2%、結果2.4%（◎）
PCEコアデフレータ（FRB目標2.0%）：前回2.5%、予想2.5%、結果2.7%（◎）
【考察】
発表前：日通し高値149.97へ上昇から150円台乗せ失敗すると、米国景気減速懸念への警戒感のためかロング勢決済入りドル円下落。直前149.56。
発表後：総じて強い数値。初動は米国新規失業保険申請件数（弱）で149.36へ下押しするも切り返し上昇。
22:39～要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁（2025年FOMC投票権なし）
（過去の発言：1/9, 1/15, 2/5, 2/25, 2/27）
：政策スタンスはタカ派。前回2/25タカ派発言
【考察】金融政策についてコメントなし。
22:47～要人発言
トランプ氏、カナダ・メキシコ関税３月４日発動－中国も10％追加（Bloomberg）
【考察】2/26に、4/2へ関税発動延期発言があったばかりのためサプライズ。インフレ懸念ドル買いとリスクオフ円買い交錯してドル円乱高下から上昇継続。
23:00～要人発言
米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁（2025年FOMC投票権あり）
（過去の発言： 11/21, 1/9, 1/14, 2/27）
：政策スタンスはタカ派。前回1/14タカ、ハト派発言
ＦＲＢ、警戒緩めるべきでない インフレ期待上昇受け＝カンザスシティー連銀総裁（Reuters）
【考察】タカ派発言
24:00 経済指標
米国中古住宅販売成約指数
売買契約が結ばれているものの、最終引渡しが行われていない物件の指数。引き渡しが済んだ中古住宅販売件数の先行指標として注目される。
前月比：前回-5.5%（改定-4.1）、予想-1.0%、結果-4.6%（×）
前年比：前回-2.9%（改定-3.1）、予想-1.4%、結果-5.2%（×）
24:00～要人発言
米国バーFRB副議長
（過去の発言：2/18, 2/20, 2/25, 2/27）
：政策スタンスは中立。前回2/25経済見通しについてコメントなし。
【考察】金融政策についてコメントなし。
24:07～要人発言
ゲオルギエバIMF専務理事
「経済不確実性高い、下振れリスク」
24:44～要人発言
植田日銀総裁
（過去の発言：2/18, 2/20, 2/21, 2/27）
:政策スタンスは中立。前回2/21長期金利上昇牽制発言
植田総裁、長期金利急上昇する「例外的な状況では機動的にオペ打つ」（Bloomberg）
【考察】長期金利上昇牽制発言。
25:00 月末ロンドンフィックス
前後の時間帯でポジション調整によって不規則な乱高下生じやすい。
25:45～要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事
（過去の発言：1/31, 2/5, 2/17, 2/27）
：政策スタンスは中立。前回2/17タカ派発言
米国経済成長にとってコミュニティバンクが不可欠とFRBボウマン理事が強調（Investing.com）
【考察】金融政策についてコメントなし。
27:15～要人発言
米国ハマック・クリーブランド連銀総裁（2025年FOMC投票権なし）
（過去の発言：12/20, 1/17, 2/11, 2/27）
：政策スタンスはタカ派。前回2/11タカ派発言
クリーブランド連銀総裁、金利は有意に抑制的ではない－据え置き支持（Bloomberg）
【考察】タカ派発言
29:11～要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁（2025年FOMC投票権なし）
（過去の発言：11/13, 1/9, 2/17, 2/27）
：政策スタンスはハト派。前回2/17タカ派発言
米金融政策はインフレ押し下げに十分なほど景気抑制的－ハーカー総裁（Bloomberg）
【考察】金利据え置きを支持のタカ派発言
＜まとめ＞
東京マーケット
日足始値149.08
取引開始後、2/26NYマーケットの流れ（ホワイトハウス「大規模な職員削減準備」指示、三村財務官の円安牽制発言、米国トランプ大統領「カナダ・メキシコ関税、4/2へ再延期」発言）を引き継いで、日足安値148.75へ下落。
しかし、2/26NYクローズ後のNVIDIA決算（強）に連れた日本株上昇や、2/25五十日仲値、2/26仲値に向けて金融機関ドル吊り上げの様に149円台ドル需要は根強いことから、週足や日足押し安値ヒゲ先148.64付近からの押し目買いが再び入り、日通し高値149.42へ上昇して引けました。
【日本市況】長期金利一転上昇、財務官発言で日銀利上げ警戒－円下落（Bloomberg）
欧米マーケット
欧州オープンすると欧州株下落にもかかわらず、2/26米国トランプ大統領「EU関税、25%決定」発言影響、原油先物価格上昇、更に大口投資家の月末ポジション調整のためか強い円売り発生し、日通し高値149.97へ急上昇。
ところが、150円台乗せ失敗すると米国景気減速懸念のなか本日経済指標（弱）への警戒感もあるためか、ロング勢決済入り下押し。
米国新規失業保険申請件数（弱）で149.36へ下押ししましたが、米国実質GDP改定値（強）でドル円上昇。
更に、米国トランプ大統領「4/2カナダ・メキシコ関税発動、中国10%追加関税」発言、米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁のタカ派発言を受けて日通し高値150.144へ急上昇。
しかし、4H足BB+2σかつ1H足戻り高値150.15、切番150.00到達でアルゴリズム取引等の決済が入りやすく、米国中古住宅販売成約指数（弱）も後押しして149.54へ急落しました。
その後、月末ロンドンフィックスに向けてポジション調整交錯や、植田日銀総裁の長期金利上昇牽制発言を受けて日足高値150.16へ上昇。
ところが、米国関税を嫌気したリスクオフが徐々に強まり、欧米株下落・安全資産米国債買いに連れ引けに掛けてドル円下落となりました。
日足終値149.80
【米国市況】円下落、一時対ドル150円台－トランプ関税でドル浮揚（Bloomberg）
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
＜ドル買い優勢＞
買い材料：
・米国実質GDP改定値（強）
・米国トランプ大統領「4/2カナダ・メキシコ関税発動、中国10%追加関税」発言→インフレ懸念
・米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、米国ハマック・クリーブランド連銀総裁、米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁のタカ派発言
・原油先物価格上昇→インフレ懸念
売り材料：
米国トランプ大統領「4/2カナダ・メキシコ関税発動、中国10%追加関税」発言→貿易戦争激化→景気減速懸念→安全資産米国債買い
＜円売買交錯＞
買い材料：
・米国トランプ大統領「4/2カナダ・メキシコ関税発動、中国10%追加関税」発言→貿易戦争激化→景気減速懸念→欧米株下落（円キャリー巻き戻し）
売り材料：
・2/26NVIDIA決算（強）影響→リスクオン日本株上昇（円キャリー促進）
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・植田日銀総裁の長期金利上昇牽制発言
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96（日本銀行、短観）以上推移→日本企業業績改善・株上昇（円キャリー促進）
・構造的円売り（日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増）
・その他円売り（航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念）
政策金利市場織り込み
・FRB：現行政策金利4.25-4.50%
FOMC市場織り込み（CME FedWatch Tool）
次回3月19日（水）公表：据え置き（96.0→95.5%）、0.25%引き下げ（4.0→4.5%）
2025年利下げ観測：0.25%×2回=0.50% → 政策金利3.75～4.00%相当
・日銀：現行政策金利0.50%
市場織り込み（東京短資株式会社）
次回3月19日（水）公表：0.25%引き上げ（0→0%）
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足：2月陰線形成中。レンジ。押し安値かつ20MA付近。
- 週足：2/24週、陽線形成中。下降トレンド。押し安値ヒゲ先付近。
- 日足：2/26コマ足陽線。下降トレンド。BB-2σ付近。
- 4H足：三角持ち合い。
- 1H足：レンジ。
- 15M足：下降トレンド。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ安値148.834付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値149.348
(B)4H足押し安値149.348をダウ上昇→目標1H足戻り高値149.667
②Short
(C)1H足戻り高値149.667付近へ上昇→転換下落→目標4H足押し安値149.348
本日：１勝１敗、+6.5pips
2月通算：18勝13敗、勝率58.1%、RR1.96 、+309.6pips
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