2024年9月5日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本毎月勤労統計
・日本30年国債入札
・米国ADP雇用者数
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国PMI確報値(サービス業、総合)
・米国ISM非製造業景気指数

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米積極利下げ観測が後退しドル一段高に(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利低下か、早期利上げ観測緩和で長期債に買い(Bloomberg
・【日本株週間展望】一進一退、エヌビディア通過も米雇用統計に警戒(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/4(水)マーケット影響
・米国JOLTS求人件数(弱)、米国ベージュブック(経済活動低下)→ドル円急落

本日もドル円下落スタートを想定します。

(2)米国経済指標
本日の注目は米国ISM非製造業景気指数です(2024年、米国ISM非製造業景気指数発表日のドル円動きまとめ

8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。
但し、利下げタイミングとペースはデータ次第であり、特に労働市場(雇用関連指標)の良し悪しで、9月0.50%大幅利下げ有無が決まると見られます。

今週注目指標のドル円動向をみると、「強い数値→ドル円上昇(但し限定的)」、「弱い数値→ドル円急落」であり、弱い数値は景気減速ハードランディング懸念が高まるためか、ドル下落の影響は続きやすい傾向が現れました。

9/3(火)
・米国ISM製造業景気指数、新規受注(弱)→ドル円下落
・米国ISM製造業仕入価格、雇用(強)→ドル円上昇(但し、限定的)

9/4(水)
・米国JOLTS求人件数(弱)→ドル円急落

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
日本毎月勤労統計(厚生労働省
現金給与総額:前回4.5%(改定)、予想2.9%、結果3.6%(○)
実質賃金:前回1.1%、予想-0.6%、結果+0.4%(○)
7月実質賃金0.4%増、2カ月連続プラス 夏ボーナス伸び(日本経済新聞

【考察】実質賃金2か月連続プラス。但し、夏ボーナスの影響大。日銀早期追加利上げ観測からドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

10:02~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/117/167/198/6, 8/26, 9/5)
:政策スタンスは中立。前回8/26ハト派発言。
米利下げ、労働市場の健全性維持のために必要=SF連銀総裁(Reuters

【考察】ハト、タカ派発言

10:30~要人発言
高田日銀審議委員
「前向きな企業行動」続けば、緩和度合いさらに調整=高田日銀委員(Reuters

【考察】利上げ慎重のハト派発言

12:35 経済指標
日本30年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:9000億円程度
最高落札利回り:前回2.239%、結果2.053%(◎)
応札倍率:前回3.47倍、結果3.40倍(×)
テール:前回17銭、結果20銭(×)

【考察】総じて入札不調。

14:50~要人発言
高田日銀審議委員
当面は市場注視、前向き企業行動確認なら緩和調整必要-高田日銀委員(Bloomberg

【考察】午前の挨拶より、経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整が基本姿勢がタカ派発言と判断。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:15 経済指標
米国ADP雇用者数(発表日:1/41/313/64/35/16/57/3, 7/31, 9/5)
後日発表の米国雇用統計との差異も注目されます。
前月比:前回12.2万人(改定11.1)、予想14.5万人、結果9.9万人(×)

【考察】弱い数値。ドル円下落。

21:30 経済指標
米国非農業部門労働生産性指数確報値
農業部門を除いたモノとサービスを生産する労働者の生産性を把握する指標。
前期比:前回2.3%(改定)、予想2.4%、結果2.5%(◎)

米国単位労働コスト
前期比:前回0.9%(改定)、予想0.9%、結果0.4%(×)

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回23.1万件(改定23.2)、予想23.0万件、結果22.7万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回186.8万件(改定186.0)、予想186.7万件、結果183.8万件(◎)

22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:1/242/223/214/235/236/217/24, 8/22
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
サービス業:前回55.2、予想55.2、結果55.7(◎)
総合:前回54.1、予想54.1、結果54.6(◎)

22:58 要人発言
OPECプラス、供給拡大の2カ月見合わせで合意-加盟国代表(Bloomberg

【考察】原油先物価格上昇

23:00 経済指標
米国ISM非製造業景気指数(ISM Report On Business
(過去の発表日; 1/52/53/54/35/36/57/3, 8/5, 9/5)
景気の先行指標として注目度大。
基準50、前回51.4(改定)、予想50.9、結果51.5(◎)

・仕入価格:前回57.0、予想56.0、結果57.3(◎)
・新規受注:前回52.4、予想51.9、結果53.0(◎)
・雇用:前回51.1、予想50.5、結果50.2(×)
米ISM非製造業景況指数、2カ月連続で拡大圏-上昇幅はわずか(Bloomberg

【考察】
発表前:1H足下降チャネル下限付近。直前143.19。
発表後:総じて強い数値。日足高値144.23へ上昇。しかし、明日の米国雇用統計への警戒感が強く、切番144.00付近からはロング勢決済が入りやすく、引けに掛けて全戻し下落しました。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値143.69
取引開始後、9/4米国JOLTS求人件数(弱)・米国ベージュブック(経済活動低下)のリスクオフ影響(株下落、債券買い、円買い)引き継ぎや日本毎月勤労統計の実質賃金(強)を受けて、日通し安値143.19へ下落。

東京オープンすると、月初五十日仲値に向けたドル買い需要、高田日銀審議委員のハト派発言から、日通し高値143.91へ上昇。

その後は、前日リスクオフの影響や高田日銀審議委員のタカ派発言により、東京クローズ直後にや日通し安値143.05を付けました。
(日足レンジ下限・4H足押し安値付近、1H足レンジ形成)

【日本市況】円が1カ月ぶり高値、米求人懸念で株式は続落-債券上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州はリスクオフ後退スタートとなったことで143.71まで上昇するも一時的。再び、リスクオフが強まり揉み合いとなりましたが、米国ADP雇用者数(弱)を受けて日通し安値142.85へ急落。
しかし、直後の米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(強)から再上昇の乱高下展開。
(日足レンジ下限・4H足押し安値付近、1H足下降チャネル形成)

その後、OPECプラス・供給拡大2か月停止報道からの原油先物価格上昇、米国ISM非製造業景気指数・仕入価格・新規受注(強)を受けて、日足高値144.23へ上昇。

しかし、明日の米国雇用統計への警戒感が強く、切番144.00付近からはロング勢決済が入りやすく、引けに掛けて全戻し下落しました。
日足終値143.45
(4H足下降トレンドライン付近、1H足レンジ形成)

【米国市況】S&P500種続落、関心は雇用統計に集中-ドル143円台(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数(強)
・米国PMI確報値(サービス業、総合)(強)
・米国ISM非製造業景気指数、仕入価格、新規受注(強)
・OPECプラス、供給拡大2か月停止→原油先物価格上昇

売り材料:
・9/4米国JOLTS求人件数(弱)・米国ベージュブック(経済活動低下)のリスクオフ影響
・米国ADP雇用者数(弱)
・米国ISM非製造業雇用(弱)

<円売買交錯>
買い材料:
・9/4米国JOLTS求人件数(弱)・米国ベージュブック(経済活動低下)のリスクオフ影響
・日本毎月勤労統計:実質賃金(強)
・日本30年国債入札(弱)
・高田日銀審議委員のタカ派発言

売り材料:
・高田日銀審議委員のハト派発言
・OPECプラス、供給拡大2か月停止→原油先物価格上昇
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ56.0→59.0%、50bps引き下げ44.0→41.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
  • 週足:9/2週、陰線形成中。下降トレンド。
  • 日足:9/4陰線。レンジ下限付近。
  • 4H足:下降トレンド。
  • 1H足:下降トレンド。
  • 15M足:下降トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)日足安値143.711かつ1H足BB-1σをダウ上昇→目標4H足レンジ安値143.948
(B)4H足レンジ安値143.948かつ1H足20MAをダウ上昇→目標1H足戻り高値144.307

②Short
(C)日足安値143.711付近へ上昇→転換下落→目標4H足押し安値ヒゲ先143.446
(D)4H足押し安値ヒゲ先143.446をダウ下落→目標切番143.000

本日:1勝2敗、-23.6pips
9月通算:4勝5敗、勝率44.4%、RR2.11 、+20.8pips

(Trading View)

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