2024年12月3日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本10年債入札
・米国JOLTS求人件数

2.要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ次期大統領
・FRB

3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い(円キャリー促進)」、「株売り(円キャリー巻き戻し)」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国JOLTS求人件数です。
2024年、米国JOLTS求人件数発表日のドル円動きまとめ

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

7:59 報道
米が対中半導体規制を強化-AIメモリーや製造装置へのアクセス制限(Bloomberg

【考察】日本やオランダなどの主要同盟国に適用除外。リスクオフ後退。ドル円上昇

東京マーケット(9:00~15:30)

11:23 要人発言
トランプ氏、日鉄によるUSスチール買収計画にあらためて反対表明(Bloomberg

【考察】買収交渉改善期待があっただけに失望から日本製鉄株価下落。ドル円揉み合い。

12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回1.002%、結果1.089%(×)
応札倍率:前回3.13倍、結果3.12倍(×)
テール:前回4銭、結果5銭(×)

【考察】入札不調。日本株上昇影響強くドル円上昇継続。

15:44~要人発言
仏財務相「国は重大な局面にある」 内閣不信任案可決見通しで(Reuters

【考察】仏政情不安リスクオフ。ドル円下落。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

17:21 報道
中国、米国へのゲルマニウム・ガリウム輸出を禁止-米規制に報復(Bloomberg

【考察】米中貿易戦争悪化。世界景気後退懸念。ドル円下落。

17:35 報道
イスラエルがガザ北部を攻撃、14人死亡 南部に退避命令(Reuters

【考察】前日同様、停戦協定が破られ中東地政学リスクオフ再燃。ドル円下落

22:33~要人発言
韓国の尹大統領、戒厳令を宣言-ウォン・株式など関連資産は急落(Bloomberg

【考察】地政学リスクオフ。ドル円下落。

24:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 1/31/303/64/25/16/47/27/309/410/1, 10/29, 12/3)
(Bureau of Labor Statistics)
前回744.3万件(改定737.2)、予想747.5万件、結果774.4万件(◎)
米求人件数、10月は774万件に増加-低迷していた労働需要が安定(Bloomberg

【考察】
発表前:仏政情不安リスクオフに加えて、中国商務省の対米規制報復報道、イスラエルのガザ北部攻撃で中東地政学リスクオフ、サプライズの韓国尹錫悦大統領の戒厳令宣言により、日足安値148.64へ急落。直前148.82
発表後:強い数値。初動ドル円上昇するもリスクオフの影響強く全戻し。しかし、直後の下記の韓国大統領戒厳令宣言阻止の決議が可決されリスクオフ後退し、ドル円上昇から揉み合い。

25:02 要人発言
韓国国会、大統領戒厳令宣言を阻止する決議を可決

【考察】地政学リスクオフ後退。ドル円上昇。

26:21~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:10/1010/15, 10/22, 12/3)
:政策スタンスは中立。前回10/22ハト派発言
SF連銀総裁、金利低下は今後も継続へ-12月の利下げは不確実(Bloomberg

【考察】タカ、ハト派発言

26:36~要人発言
米国クーグラーFRB理事
(過去の発言:9/2510/8, 11/14, 12/3)
:政策スタンスは中立。11/14タカ、ハト派発言。
クーグラーFRB理事、インフレ率は2%への持続可能な道筋にある(Bloomberg

【考察】タカ、ハト派発言

27:47~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言: 11/1511/21, 11/25, 12/3, 12/6)
:政策スタンスは中立。前回11/25ハト派発言。

【考察】ハト派発言。

28:29~要人発言
韓国の尹錫悦大統領、戒厳令を解除するとテレビで表明(Bloomberg

【考察】地政学リスクオフ後退。ドル円上昇。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値149.59
取引開始直後に日通し安値149.50を付けると、前日同様に150円付近では月初安値ドル調達需要(日本実需勢、新NISA等の米国投資目的)強く、更に米国バイデン政権の対中半導体規制で日本を含む主要同盟国適用除外報道、2/2GPIF目標運用利回り引き上げ報道影響から日本株上昇(円キャリー促進)に連れて、日足高値150.24を付けて引けました。

【日本市況】株価が大幅高、米の対中半導体規制で日本除外-円は下落(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン前から前日同様に仏政情不安リスクオフに加えて、中国商務省の対米規制報復報道、イスラエルのガザ北部攻撃で中東地政学リスクオフ、更にはサプライズの韓国尹錫悦大統領の戒厳令宣言により、日足安値148.64へ急落。

しかし、米国JOLTS求人件数(強)、韓国大統領戒厳令宣言阻止の決議が可決されたことと韓国尹錫悦大統領の戒厳令解除表明を受けたリスクオフ後退を受けてドル円上昇して引けました。
日足終値149.60

【米国市況】S&P500小幅高、今年55回目の最高値-円は一時148円台(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売買交錯>
買い材料:
・月初安値ドル調達需要(日本実需勢、新NISA等の米国投資目的)
・イスラエルのガザ北部攻撃→中東地政学リスクオフ→原油先物価格上昇→インフレ懸念
・米国JOLTS求人件数(強)

売り材料:

<円売買交錯>
買い材料:
・日本10年国債入札(弱)
・中国商務省、対米規制報復報道→米中貿易戦争悪化→世界景気後退懸念
・仏政情不安リスクオフ
・イスラエルのガザ北部攻撃→中東地政学リスクオフ
・韓国尹錫悦大統領の戒厳令宣言→地政学リスクオフ

売り材料:
・12/2GPIF目標運用利回り引き上げ報道→日本株上昇(円キャリー促進)
・米国バイデン政権:対中半導体規制、主要同盟国適用除外報道→日本株上昇
・イスラエルのガザ北部攻撃→中東地政学リスクオフ→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・韓国国会、大統領戒厳令宣言を阻止する決議を可決→地政学リスクオフ後退
・韓国尹錫悦大統領の戒厳令解除表明→地政学リスクオフ後退
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利450-475bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回12月18日(水)公表:据え置き38.4→27.9%、25bps引き下げ61.6→72.1%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:12月陰線形成中。レンジ。20MA付近。
  • 週足:12/2週、陰線形成中。レンジ。20MA付近
  • 日足:12/2陰線。下降トレンド。
  • 4H足:下降チャネル。
  • 1H足:下降チャネル。
  • 15M足:下降トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値149.662かつ1H足20MAをダウ上昇→目標4H足三尊右肩150.164

②Short
(B)日足安値149.079をダウ下落→目標日足押し安値148.585

本日:1勝0敗、+28.7pips

(Trading View)

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