2024年9月27日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・東京消費者物価指数
・米国PCE、PCEデフレータ
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測
・米国アトランタ連銀GDP Now
・IMM通貨先物円ポジション

2.要人発言
・自民党新総裁記者会見
・FRB

3.その他
・自民党総裁選:石破・高市・小泉氏が軸 自民党新総裁、27日午後選出(日本経済新聞
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・月末ロンドンフィックス
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤米国大統領選挙、⑥地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は神経質な展開か、自民党総裁選で上下に振れるリスク(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利低下へ、米金利低下や40年債入札を楽観視(Bloomberg
・【日本株週間展望】戻り試す、米景気懸念が和らぐ-自民総裁選も注視(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)9/26(木)マーケット影響
9/24以降の欧米マーケットで見られる大口投資家の月末・四半期末ポジション調整(推測)で今回は強いドル売りにより日足安値144.11へ急落。
しかし、米国耐久財受注速報値(強)、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強弱)、米国実質GDP確報値(強)、米国ボウマンFRB理事のタカ派発言、米国中古住宅販売成約指数(強)を受け、日足高値145.22へ急上昇。その後、原油先物価格下落に連れて揉み合い。

円も株価との連動が乏しく、本日は週末・月末のため円ポジション調整も生じる可能性があることから、ドル円の方向性を見極めるには通貨強弱をメインにした方が良いかもしれません。

(2)自民党新総裁投開票、記者会見
事前情報から有力候補は3名に絞られていますが、1回目の投票で決着がつかず上位2人の決選投票となるのが確実な情勢となっています。

誰が総裁になっても、政情不安後退・ご祝儀相場からドル円上昇しやすいですが、下記の通り金融政策への言及もあります。
よって、新総裁が(a)高市ならドル円急上昇、(b)小泉氏ならドル円上昇から揉み合い、(c)石破氏ならドル円乱高下を想定します。
但し、新総裁会見でスタンスのブレがあれば全戻しや乱高下継続の懸念もあるため要警戒。

<金融政策スタンス>
(a)高市早苗経済安全保障担当相:日銀早期追加利上げ否定
(b)小泉進次郎元環境相:不透明
(c)石破茂元幹事長:財政健全化・金融正常化

(3)米国経済指標
注目は米国PCEデフレータです(2024年、米国PCEデフレータ発表日のドル円動きまとめ
今年の傾向として、数値の強弱の関わらず引けまで上昇継続するか、一時的に下落が生じても引けまでに全戻しもしくは半値戻しが生じています。
サプライズの弱い数値がないためか、引けまで下落が続く動きは見られていません。本日のこの傾向が見られるか注視したい。

9/19(木)
・米国フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強)→ドル円上昇。但し、一時的。
・米国景気先行指数(強)、中古住宅販売件数(弱)交錯→ドル円下落から揉み合い。

9/23(月)
・米国PMI速報値サービス業・総合(強)、製造業(弱)→ドル円上昇から全戻し

9/24(火)
・米国住宅価格指数(弱)、米国S&Pケースシラー住宅価格指数(強弱)→ドル円揉み合い
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(弱)、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)→ドル円急落

9/25(水)
・米国新築住宅販売件数(強)→ドル円上昇

9/26(木)
・米国耐久財受注速報値(強)、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(強弱)、米国実質GDP確報値(強)→ドル円上昇
・米国中古住宅販売成約指数(強)→ドル円上昇→全戻し下落

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

7:00~要人発言
米国クックFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:6/25, 7/11, 9/27)
:政策スタンスは中立。前回7/11ソフトランディング示唆
クックFRB理事、先週の0.5ポイント利下げを「心底から」支持(Bloomberg

【考察】ハト派、労働市場減速懸念発言

8:30 経済指標
東京消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口
全国消費者物価指数の先行指標で日本国内のインフレが進んでいる中で注目度が高まっています。
日銀物価目標2.0%。日銀政策金利0.25%
前年比:前回2.6%(改定)、予想2.2%、結果2.2%(○)
コア前年比:前回2.4%(改定)、予想2.0%、結果2.0%(○)
コアコアCPI前年比:前回1.6%(改定)、予想1.6%、結果1.6%(○)

東京消費者物価は4カ月ぶりに伸び縮小、補助金再開でエネルギー鈍化(Bloomberg

【考察】強い数値。

東京マーケット(9:00~15:00)

13:00~
自民党総裁選投開票1回目

14:12~
自民党総裁選決選投票
円146円台に下落 自民総裁選、高市氏「最多得票」を意識(日本経済新聞

【考察】立候補者9名の中で1回目投票では過半数獲得議員なし。但し、議員票と党員の合計票は高市氏1位(181票)で石破氏2位(154票)。高市氏が石破氏を大きく上回ったことで決選投票でも高市氏勝利への期待が更に高まり、日足高値146.49へ急上昇。

15:22
自民党総裁選決選投票、石破氏が新総裁選出
円が急騰、一時142円台 自民党新総裁に石破茂氏(日本経済新聞

【考察】市場はサプライズの結果を受けて、高市氏新総裁期待織り込み巻き戻しと今後の引き締め警戒から日通し安値142.78へ急落

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

18:05~要人発言
石破自民党新総裁
自民総裁に石破氏、「新しい資本主義」加速へ-岸田路線を継承(Bloomberg
自民・石破新総裁の記者会見要旨 「ルール守る政党に」(日本経済新聞

【考察】直前までの株・ドル円急落のためか、財政政策・金融政策への言及なし。ドル円揉み合い。

21:30 経済指標
米国PCE
個人所得:前回0.3%(改定)、予想0.5%、結果0.2%(×)
個人支出:前回0.5%(改定)、予想0.3%、結果0.2%(×)

米国PCEデフレータ(過去の発表日:1/262/293/294/265/316/287/26, 8/30, 9/27)
総合指数より基調的なインフレを反映するコア指数がより注目されます。
強い数値なら、「インフレへの警戒感→FF金利上昇する可能性→ドル買い材料」

9/18(水)米国FOMC公表2024年見通し:コアPCE2.3%】
前月比:前回0.2%(改定)、予想0.1%、結果0.1%(○)
前年比(FRB目標2.0%):前回2.5%(改定)、予想2.3%、結果2.2%(×)
コア前月比:前回0.2%(改定)、予想0.3%、結果0.1%(×)
コア前年比:前回2.6%(改定)、予想2.7%、結果2.7%(○)
米PCEコア価格、前月比の伸びが予想下回る-消費支出も低調(Bloomberg

【考察】
発表前:自民党新総裁のサプライス石破氏選出で約3.7円急落後、揉み合い。直前143.18。
発表後:米国PCE(弱)、PCEデフレータ前月比・コア前年比(強)、前年比・コア前月比(弱)。総じて弱い数値。弱い数値が材料視され、日通し安値142.388へ下落。

23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(速報値発表日; 1/192/163/154/125/106/147/128/16, 9/13
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。

前回69.0、予想69.0、結果70.1(◎)

米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回2.7%、予想2.7%、結果2.7%(○)
5年先:前回3.1%、予想3.0%、結果3.1%(○)

【考察】強い数値。ドル円下げ止まりから上昇

23:15 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日:9/3, 9/4, 9/9, 9/17, 9/18, 9/27)
Q3:前回2.9%、予想2.9%、結果3.1%(◎)

【考察】強い数値

23:24~要人発言
石破自民党新総裁
「必要あれば財政出動」「緩和姿勢維持」

【考察】今までのタカ派発言は鳴りを潜めてハト派発言。ドル円上昇継続

24:21 要人発言
イスラエル、ベイルート南部のヒズボラ本部を攻撃したと発表(Bloomberg

【考察】戦闘激化の中東地政学リスクオフ。ドル円下落

28:13~要人発言
米国ムサレム・セントルイス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:6/187/11, 8/15, 9/27, 10/2)
:政策スタンス不明。前回8/15ハト派発言
FOMC「漸進的」金利引き下げに戻るべきだ-セントルイス連銀総裁(Bloomberg

【考察】ハト派発言。NYクローズ直前の為かドル円反応薄。

28:30 経済指標
IMM通貨先物9/24時点(Investing.com
円ロング増

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.82
取引開始直後から、麻生副総裁の高市氏総裁選支持(日銀追加利上げ反対)を受けた期待織り込みリスクオン株上昇(円キャリー促進)でドル円上昇。
自民党総裁選投票1回目は、立候補者9名の中で過半数獲得議員なし。但し、議員票と党員の合計票は高市氏1位(181票)で石破氏2位(154票)。高市氏が石破氏を大きく上回ったことで決選投票でも高市氏勝利への期待が高まり日足高値146.49へ急上昇して引けました
(日足高値-日足安値=146.49-144.82=+1.67)

【日本市況】円が上昇に急転換、石破氏が自民党新総裁に-株先は急落(Bloomberg

欧米マーケット:
自民党総裁選決選投票では石破氏が高市氏を破り新総裁選出。市場はサプライズの結果を受けて、高市氏新総裁期待織り込み巻き戻しと今後の引き締め警戒からリスクオフ株急落(円キャリー巻き戻し)となり、欧州オープン直後に日通し安値142.78へ暴落しました
(日通し安値-日足高値=142.78-146.49=-3.71)

更に、米国PCE(弱)、PCEデフレータ前月比・コア前年比(強)、前年比・コア前月比(弱)の総じて弱い数値から、日通し安値142.388へ下落。

その後、米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値・インフレ予測(強)、石破自民党新総裁ハト派発言、月末ロンフィクに向けてもポジション調整により、米国PC・PCEデフレータの下落分を全戻し。

しかしながら、月末ロンフィク通過後、イスラエルのヒズボラ本部攻撃発表が伝わると中東地政学リスクオフ悪化から引けに掛けて下落継続し、日足安値142.07を付けました。
日足終値142.22

【米国市況】株は小幅安、円は上げ幅を拡大し対ドル142円に接近(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国PCEデフレータ前月比、コア前年比(強)
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測(強)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・中東地政学リスクオフ悪化→原油先物価格上昇

売り材料:
・米国PCE(弱)
・米国PCEデフレータ前年比・コア前月比(弱)
・米国ムサレム・セントルイス連銀総裁のハト派発言

<円買い優勢>
買い材料:
・東京消費者物価指数(強)
・石破自民党新総裁サプライズ選出→高市氏期待の巻き戻し
・イスラエル、ベイルート南部のヒズボラ本部攻撃発表→中東地政学リスクオフ。地政学リスオフ
・IMM通貨先物9/24時点:円ロング増
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・自民党総裁選投開票1回目:高市氏リード
・中東地政学リスクオフ悪化→原油先物価格上昇
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回11月7日(木)公表:25bps引き下げ50.7→45.2%、50bps引き下げ49.3→54.8%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利400~425bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:9月陰線形成中。レンジ。20MA・押し安値付近。
  • 週足:9/23週、陽線形成中。下降トレンド中の調整波に相当。BB-1σ付近
  • 日足:9/26陰線。上昇トレンド。BB+1σ付近。
  • 4H足:上昇チャネル。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値145.028をダウ上昇→目標4H足戻り高値145.903
(B)1H足レンジ安値144.160付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値144.568

②Short
(C)1H足押し安値144.568をダウ下落→目標1H足レンジ安値144.160
(D)4H足戻り高値145.903付近へ上昇→転換下落→目標日足高値145.216

本日:1勝0敗、+84.2pips
9月通算:20勝14敗、勝率58.3%、RR2.00 、+326.8pips

(Trading View)

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