2024年5月16日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日本GDP1次速報値第1四半期
・日本20年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国住宅着工、住宅建築許可件数
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国輸入物価指数、輸出物価指数
・米国鉱工業生産指数、設備稼働率

(2)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

(3)その他
・中東地政学リスクオフ
【債券週間展望】長期金利は上昇か、日銀利上げと買い入れ減額を警戒(Bloomberg
【日本株週間展望】上昇、米CPIで利下げ見極め-好決算銘柄に買い(Bloomberg

本日の注目材料は6点。

①日銀早期金融政策正常化観測
前日ドル円急落したとは言え155円台付近の高水準には変わりなく、本日も早期金融政策正常化観測に関する要人発言や報道のヘッドラインには警戒したい。

②政府・日銀為替介入観測
4/29に続き、5/1も政府・日銀為替介入観測発生しました。しかし、合計3回(4/25,5/4,5/13)米国イエレン財務長官より強い為替介入牽制発言が出たことで介入警戒後退しました。
本日も政府・日銀為替介入が実施される可能性低く、前日ドル円急落したとは言え155円台付近の高水準であることから、円安牽制発言には注意したい。

③米国経済指標
今月の傾向として、初動は素直なドル円反応ですが項目の詳細分析を受けて一気に切り返すことも多いです(5/1, 5/3, 5/14)。

本日も注目度の高い指標が続きます。
中でも前回サプライズ弱の米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数、最近弱い数値が続く景況指数の米国フィラデルフィア連銀景況指数、インフレ指標の米国輸入物価指数・輸出物価指数に注意が必要ですが、同刻発表であることから強弱混在すればドル円乱高下しやすいと考えます。

5/1米国ISM製造業景気指数(弱)、仕入価格(強)→ドル円下落から上昇
5/3米国雇用統計NFP・失業率(弱)、平均時給(弱)→急落
5/3米国ISM非製造業景気指数(弱)、仕入価格(強)→下落から上昇
5/9米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数(サプライズ弱)→急落
5/10米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(弱)、インフレ予測(強)→下落なく上昇
5/14米国生産者物価指数(強)、総合・コア前月比前回値の大幅下方修正→急騰から急落
5/15米国消費者物価指数(弱)、米国小売売上高(弱)、米国NY連銀製造業景気指数(弱)→ドル円急落

④米国FRB要人発言
前日5/14パウエルFRB議長は最近の米国経済指標を総括してタカ派発言へ転換。5/15も米国経済指標が総じて弱い数値にも関わらず単発データでは方針転換しない判断のタカ派発言が続きました。
基本は「タカ派発言→ドル円上昇」ですが、最近の米国経済指標を受けて利下げ示唆の「ハト派発言→ドル円下落」の環境に変るかも知れません。

⑤ECB利下げ観測に伴う投機筋の円ショートポジション巻き戻し
5/15は相次ぐECB要人の利下げ発言を受けてドル円急落が加速しました。歴史的水準まで積み上がった円ショートポジションを解消するきっかけを探っていた投機筋にとっては好材料となります。ドル円押し目買いを狙っても戻り売りに押されるリスクが出てきました。

ECB、6月利下げ開始の可能性極めて高い-フランス中銀総裁(Bloomberg

⑥中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。

総じて、5/15の影響を引き継いでドル円下落スタートしやすいと考えます。特にECB・FRB利下げ観測に伴う投機筋の円ショートポジション巻き戻しが続くならドル円急落は続きやすい。
一方で、日米金融政策差や日本国力低下を背景とするドル円上昇のファンダメンタルズは崩れておらず、ドルを安値で買い損ねていた実需勢や米国金融商品投資勢に取ってはドル買いの好機になり得ます。
強いドル円材料交錯する相場環境になったことから、日足や4H足レベルの節目まではドル円下落の勢いに乗り、日足や4H足レベルの節目で止まり転換するようなら押し目買いが適切と想定します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:50 経済指標
日本GDP1次速報値第1四半期(内閣府
前期比:前回果0.1%(改定0.0)、予想-0.4%、結果-0.5%(×)
前期比年率:前回0.4%(改定0.0)、予想-1.4%、結果-2.0%(×)
GDPデフレータ(=名目GDP/実質GDP)前年比:前回3.9%(改定)、予想3.3%、結果3.6%(○)
日本経済は3期連続で成長なし、「スタグフレーション的」との見方も(Bloomberg

【考察】日本景気後退→早期金融政策正常化観測後退

東京マーケット(9:00~15:00)

11:08~要人発言
林官房長官
景気は緩やかな回復続く、資源高や為替による物価高には注意=官房長官(Reuters

【考察】円安牽制、物価上昇懸念発言。

12:35 経済指標
日本20年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.656%、結果1.742%(×)
応札倍率:前回3.05倍、結果3.65倍(◎)
テール:前回39銭、結果11銭(◎)

【考察】総じて入札好調。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

19:02~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/101/172/232/283/13/84/114/154/18, 5/6, 5/16)
:政策スタンスは中立。前回5/6ハト派発言。
NY連銀総裁、政策スタンスを変更する理由は今のところない-報道(Bloomberg

【考察】タカ派発言。

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回23.1万件(改定23.2)、予想21.9万件、結果22.2万件(△)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回178.5万件(改定178.1)、予想178.0万件、結果179.4万件(×)

21:30 経済指標
米国住宅着工
住宅購入に伴い、家電などの耐久消費財も購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため注目される。また、最近はFRB当局者が住宅関連指標をインフレ把握のために注目していることから、更に重要度が上がっている。

件数:前回132.1万件(改定128.7)、予想146.5万件、結果136.0万件(△)
前月比:前回-14.7%(改定-16.8)、予想9.2%、結果5.7%(△)

米国住宅建築許可
件数:前回145.8万件(改定148.5)、予想147.5万件、結果144.0万件(×)
前月比:前回-4.3%(改定-5.0)、予想1.6%、結果-3.0%(△)

21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標として注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回15.5(改定-)、予想8.2、結果4.5(×)

21:30 経済指標
米国輸入物価指数
前月比:前回0.4%(改定0.6)、予想0.3%、結果0.9%(◎)
前年比:前回0.4%(改定)、予想0.4%、結果1.1%(◎)

米国輸出物価指数
前月比:前回0.3%(改定0.1)、予想0.2%、結果0.5%(◎)
前年比:前回-1.4%(改定-1.6)、予想-%、結果-1.0%(◎)

22:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
:前回1/17は総じて強い数値でドル円上昇。
前回0.4%(改定-)、予想0.1%、結果0.0%(×)

米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回78.4%(改定)、予想78.4%、結果78.4%(○)

23:06~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:2/72/82/122/162/213/14/44/104/114/164/195/6, 5/10, 5/15)
:政策スタンスはタカ派。前回5/10タカ派発言。
米リッチモンド連銀総裁、インフレ低下には「もう少し時間かかる」(Bloomberg

【考察】タカ派発言。

23:30~要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:1/182/72/223/4, 4/4, 5/16)
:政策スタンスはハト派。前回4/4タカ派発言。

【考察】金融政策や米国経済の見通しについて言及なし。

24:01~要人発言
IMF
「米国インフレ長期化見込み」

【考察】タカ派発言

25:00~要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/112/62/293/74/24/4, 4/18, 5/14, 5/16)
:政策スタンスはタカ派。前回4/18タカ派発言。
メスター総裁、景気抑制的スタンスをより長く維持するのが賢明(Bloomberg

【考察】タカ派発言

29:04~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:2/52/92/162/282/293/13/43/254/34/94/124/19, 5/10, 5/16)
:政策スタンスはハト派。前回5/10ハト派発言。
「連銀は忍耐強くある必要がある」
「依然として大きな価格圧力がある」
米インフレ、4月の住居費伸び鈍化が注目に値=アトランタ連銀総裁(Reuters

【考察】タカ派発言

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.91
取引開始直後から前日5/15米国NY連銀製造業景気指数(弱)、米国小売売上高と米国消費者物価指数(対前回値、弱)を受けたFRB利下げ観測やスタグフレーション懸念の影響によりドル円急落スタートでした。

日本GDP1次速報値第1四半期(弱)で一時東京高値154.54を付ける場面もありましたが、急落継続し東京安値153.60(日足逆三尊ヒゲ先、日足BB-1σ、4H足押し安値付近)でようやく下げ止まり。

その後、日本20年国債入札好調とFRB利下げ観測を好感したリスクオン日本株上昇や、ドルを安値で買い損ねていた実需勢や米国金融商品投資勢の153円台押し目買い思惑や、東京安値153.60付近の日足・4H足サポートが支えとなり東京引けに掛けて揉み合いました。

【日本市況】債券一段高、米利下げ期待と入札好調-日経平均大幅続伸(Bloomberg

欧米マーケット:
東京マーケット後半の流れを引き継いで欧州マーケットもドル円上昇スタート。米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言も後押しして上昇継続しました。

注目の米国経済指標は強弱混在(米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数・米国住宅着工・住宅建築許可件数・米国フィラデルフィア連銀景況指数(弱)、米国輸入物価指数・輸出物価指数(強))でした。

しかし、米国輸入物価指数・輸出物価指数(強)によるインフレ懸念が材料視され、日足高値155.54(日足20MA付近)へ上昇。155.53が前日5/15米国NY連銀製造業景気指数(弱)、米国小売売上高と米国消費者物価指数(対前回値、弱)を受けてからの下落起点ですから、全戻ししたことになります。

その後、この全戻し上昇でロング勢決済や戻り売りが入ったことと、FRB要人タカ派発言が交錯して引けに掛けて揉み合いで終えました。
日足終値155.40

【米国市況】株反落、ダウ平均は一時4万ドル台乗せ-155円台前半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・ドルを安値で買い損ねていた実需勢や米国金融商品投資勢押し目買い
・米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国メスター・クリーブランド連銀総裁、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁、IMFのタカ派発言
・米国輸入物価指数、輸出物価指数、米国設備稼働率(強)
・原油先物価格上昇→インフレ懸念

売り材料:
・5/15米国NY連銀製造業景気指数(弱)、米国小売売上高と米国消費者物価指数(対前回値、弱)→FRB利下げ観測、スタグフレーション懸念の影響継続
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数、米国住宅着工、住宅建築許可件数、米国フィラデルフィア連銀景況指数、米国鉱工業生産指数(弱)

<円売り優勢>
買い材料:
・5/15ECBとFRB利下げ観測→歴史的水準へ積み上がった投機筋円ショートポジション巻き戻し観測
・林官房長官の円安牽制、物価上昇懸念発言

売り材料:
・日本GDP1次速報値第1四半期(弱)→日本景気後退→早期金融政策正常化観測後退
・日本20年国債入札好調→日本国債利回り低下、5/17日銀国債買入オペ通知減額予想後退→リスクオン日本株上昇
・5/15米国NY連銀製造業景気指数(弱)、米国小売売上高と米国消費者物価指数(対前回値、弱)→米国債利回り低下→日本国債利回り低下へ波及→リスクオン欧米株上昇
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回6月12日公表:据え置き91.1%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ50.7%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:5/13週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:5/15陰線。レンジ
  • 4H足:下降トレンド。
  • 1H足:下降トレンド。
  • 15M足:下降トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値155.029をダウ上昇→目標日足押し安値155.451

②Short
(B)日足押し安値155.451付近へ上昇→転換下落→目標1H足レンジ高値155.029
(C)日足安値154.692をダウ下落→目標4H足押し安値154.236

5月通算:7勝3敗、勝率70%、+239.7pips

(Trading View)

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