2024年4月16日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)4/15の欧米マーケット影響
欧州オープン直後、日通し高値153.97を付けると、神田財務官の強い円安牽制発言で153.70まで下押しするも直ぐに押し目買い入り全戻し。
米国小売売上高、米国NY連銀製造業景気指数の強い数値となり日通し高値154.45へ上昇。直後、イスラエル国防相とイラン外相の相次ぐ応戦発言による地政学リスクオフで153.86へ急落するも、リスクオフドル買いも強くほぼ全戻しから引けに掛けて揉み合い。
日足終値154.27

(2)経済指標
・米国住宅着工、住宅建築許可件数
・米国鉱工業生産指数、設備稼働率

(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

(4)その他
・米国主要企業決算
・中東地政学リスクオフ

【日本株週間展望】続伸、半導体関連の決算に注目-IMFの見通しも(Bloomberg

本日の注目材料は4点。
①政府・日銀口先介入、実介入
4/15米国小売売上高の強い数値で154円台に乗ったことで今までより強い口先介入・実介入への警戒感が高まりましたが、ファンダメンタルズに基づくドル円急騰であることから、実介入が実施されてドル円暴落が生じても、押し目買いに機会になりやすいと推測します。

②FRB要人発言
タカ派発言でドル円下げ止まりやドル円上昇、ハト派発言ではドル円下落一時的から押し目買い機会の傾向が継続見込み。

③米国経済指標
「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定しますが、政府・日銀為替介入による一時的な急落には要警戒。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB政策利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいと推測します。

④中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特に、先週末からイスラエルとイランの対立が急速に悪化しており中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフドル買い・円買い材料交錯し、ドル円乱高下しやすい相場環境になりました。特に投機筋の円売りポジションは2007年以来の水準まで積み上がっており、巻き戻しの円買いが急速に進むようなら一時的にドル円急落が生じる可能性が高いと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:58~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/53/73/83/123/153/193/213/223/263/273/294/14/24/44/54/94/114/12, 4/15, 4/16)
為替「しっかり注視」と財務相、G20前に介入動きにくいとの見方も(Bloomberg

【考察】円安牽制発言。

東京マーケット(9:00~15:00)

9:12~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:12/181/192/162/293/13/64/2, 4/12, 4/16)
:政策スタンスは中立。前回4/12タカ派発言
SF連銀総裁、利下げの緊急性ない-金融政策は良い位置にある(Bloomberg

【考察】タカ派発言。

9:52~要人発言
林官房長官
過度な変動望ましくない、動向注視し万全な対応行う=円安で官房長官(Reuters

【考察】円安牽制発言。

15:29 要人発言
ライシ・イラン大統領
「厳しい対応取る」

【考察】地政学リスクオフ。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

19:50 米国主要企業決算
バンク・オブ・アメリカ
売上高:前回235億ドル、予想254.9億ドル、結果258.0億ドル(◎)
EPS:前回0.70ドル、予想0.76ドル、結果0.83ドル(◎)
BofA、トレーディング収入と利益が予想上回る-経費は増大(Bloomberg

20:35 米国主要企業決算
モルガン・スタンレー
売上高:前回128.9億ドル、予想144.2億ドル、結果151.0億ドル(◎)
EPS:前回0.85ドル、予想1.66ドル、結果2.02ドル(◎)
モルガン・スタンレー、14%増益-トレーディング収入が予想上回る(Bloomberg

21:30 経済指標
米国住宅着工
住宅購入に伴い、家電などの耐久消費財も購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため注目される。また、最近はFRB当局者が住宅関連指標をインフレ把握のために注目していることから、更に重要度が上がっている。

件数:前回152.1万件(改定154.9)、予想148.5万件、結果132.1万件(×)
前月比:前回10.7%(改定12.7)、予想-2.7%、結果-14.7%(×)

米国住宅建築許可
件数:前回151.8万件(改定152.3)、予想150.0万件、結果145.8万件()
前月比:前回1.9%(改定2.3)、予想-0.3%、結果-4.3%(×)

22:06~要人発言
米国イエレン財務長官
米、世界経済のリスク軽減に取り組む=イエレン財務長官(Reuters

【考察】タカ派発言

22:08~要人発言
米国ジェファーソンFRB理事
(過去の発言:10/911/14, 2/22, 4/16)
:政策スタンスは中立。前回2/22タカ派発言。
ジェファーソンFRB副議長、金利維持でもインフレ押し下げ見込む(Bloomberg

【考察】タカ派発言

22:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
:前回1/17は総じて強い数値でドル円上昇。
前回0.1%(改定-)、予想0.4%、結果0.4%(○)

米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回78.3%(改定)、予想78.5%、結果78.4%(△)

26:09~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/31/51/112/72/82/122/162/213/14/44/10, 4/11, 4/16)
:政策スタンスはタカ派。前回4/11タカ派発言。
「利下げを急ぐ必要ない」

【考察】タカ派発言

26:30~ 要人発言
米国パウエルFRB議長
(過去の発言:12/112/131/312/53/63/73/203/223/29, 4/3, 4/16)
:政策スタンスは中立。前回4/3タカ派・ハト派発言。
パウエルFRB議長、より長期間の高金利維持を示唆-インフレ根強く(Bloomberg

【考察】タカ派発言

27:51 報道
イスラエル、対イラン報復計画を最終決定

【考察】地政学リスクオフ。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.27
オープン直後、東京・日通し安値154.13を付けてからは、
4/15米国小売売上高の強い数値の影響継続。過去最高ペースの米社債発行。米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言。中東地政学リスクオフドル買いにより東京高値154.42へ上昇。鈴木財務相、林官房長官の円安牽制発言あるもドル円下落小で直ぐに全戻し。
しかし、一気に154円台乗せたことで政府・日銀為替介入警戒買いも根強く、日本株下落リスクオフに連れて154.24へじり下げ。

きょうの国内市況(4月16日):株式、債券、為替市場(Bloomberg

欧米マーケット:
東京クローズに掛けて下げ渋ると、4/15米国小売売上高の強い数値と過去最高ペースの米社債発行、中東地政学リスクオフの影響継続、加えて米国イエレン財務長官、米国ジェファーソンFRB理事のタカ派発言により日通し高値154.77へ急騰。
NYオープン後、155円台目前で政府・日銀為替介入警戒感やパウエルFRB議長発言を控えてロング勢の利確が入ったためか日足安値153.90へ急落。しかし、ここで押し目買いが入り全戻し。
また、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国パウエルFRB議長のタカ派発言で日足高値154.79へ上昇。
日足終値154.73

【米国市況】2年債利回り一時5%台、円は約34年ぶり安値更新(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・ドル買い優勢
買い:4/15米国小売売上高の強い数値の影響継続。過去最高ペースの米社債発行。米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、米国イエレン財務長官、米国ジェファーソンFRB理事、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国パウエルFRB議長のタカ派発言。中東地政学リスクオフ。
売り:米国住宅着工、米国住宅建築許可の弱い数値。原油先物価格高止まり。

過去最高ペースの米社債発行、ゴールドマンやシティの利益を押し上げ(Bloomberg

・円売り優勢
買い:鈴木財務相、林官房長官の円安牽制発言。中東地政学リスクオフ。
売り:原油先物価格高止まり。

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
5月1日公表:据え置き96.0%
9月18日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ45.5%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

トレード

  • 月足:4月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:4/15週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:4/15大陽線。上昇トレンド。政府・日銀の強い口先介入か実為替介入なければ4/16も上昇優勢と推測。
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H足押し安値153.858付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ高値154.298
(B)日足高値154.45をダウ上昇→目標切番155.00

②ショート
(C)1H足押し安値153.858かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ高値153.312

4月通算:7勝3敗、勝率70.0%、+60.6pips

(Trading View)

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