2024年12月2日(月)ドル円戦略と結果

ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析
1. トレードシナリオと結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

１．経済指標
・米国PMI確報値（製造業）
・米国建設支出
・米国ISM製造業景気指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・IMM通貨先物円ポジション

２．要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ次期大統領
・FRB

３．その他
・TOM効果：株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い（円キャリー促進）」、「株売り（円キャリー巻き戻し）」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・日銀債券市場サーベイ（11月調査）
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）

４．参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引（促進or巻き戻し）に分類できます。
・来週の円は底堅いか、日米金利差縮小観測－米雇用とトランプ発言警戒（Bloomberg）
・【債券週間展望】長期金利低下か、米利下げ織り込みや中村委員講演で（Bloomberg）
・【日本株週間展望】軟調、為替の円高や貿易問題を懸念－米景気にらみ（Bloomberg）

５．本日の注目材料
（１）米国経済指標
注目は米国ISM製造業景気指数です。
（2024年、米国ISM製造業景気指数発表日のドル円動きまとめ）

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:30)

13:00　報道
ＧＰＩＦの実質運用利回り引き上げへ、1.9％提示－厚労省審議会（Bloomberg）

【考察】GPIFの株式投資配分増期待。日本株上昇からドル円上昇

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

19:00 要人発言
米、ＡＩメモリーや製造装置の対中販売規制強化－禁輸リストに140社（Bloomberg）

【考察】米中貿易戦争悪化懸念。ドル円下落。

22:47 報道
仏首相、予算案を議会強行通過へ－野党は内閣不信任提出の構え（Bloomberg）

【考察】仏政情不安リスクオフ。ドル円下落。

23:11 報道
フランス極右政党ＲＮ、内閣不信任決議案に賛成へ（Bloomberg）

【考察】仏政情不安リスクオフ。ドル円下落。

23:45 経済指標
米国PMI確報値（製造業）
（速報値発表日：1/24, 2/22, 3/21, 4/23, 5/23, 6/21, 7/24, 8/22, 9/23, 10/24, 11/22）
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業：前回48.8、予想48.8、結果49.7（◎）

【考察】強い数値。

23:00 経済指標
米国建設支出
前月比：前回0.1%（改定）、予想0.3%、結果0.4%（◎）

24:00 経済指標
米国ISM製造業景気指数：景気先行指標として注目度大(Institute for Supply Management)
（発表日; 1/3, 2/1, 3/1, 4/1, 5/1, 6/3, 7/1, 8/1, 9/3, 10/1, 11/1, 12/2)
基準50、前回46.5（改定）、予想47.6、結果48.4（◎）

・仕入価格：前回54.8、予想56.0、結果50.3（×）
・新規受注：前回47.1、予想、結果50.4（◎）
・雇用：前回44.4、予想、結果48.1（◎）

米ＩＳＭ製造業景況指数、予想を上回る－新規受注が拡大圏に浮上（Bloomberg）

【考察】
発表前：仏政情不安リスクオフと米国商務省から対中販売規制強発表を受けてドル円下落。直前150.00。
発表後：総じて強い数値。ドル円下げ止まりから上昇。しかし、直前までの仏政情不安リスクオフの影響強く全戻しから、下記中東地政学リスクオフで日足安値へ急落。

24:27　要人発言
ヒズボラがイスラエル軍を攻撃、停戦後初－ネタニヤフ首相は報復示唆（Bloomberg）

【考察】停戦協定が破られ、中東地政学リスクオフ。ドル円下落

26:01～要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁（2024年FOMC投票権あり）
（過去の発言：10/10, 10/16, 10/18, 12/2）
：政策スタンスはハト派。前回10/18金融政策や経済見通しについてはコメントなし。
12月の米利下げ「選択肢オープンにしている」－アトランタ連銀総裁（Bloomberg）

【考察】タカ、ハト派発言。ドル円上昇。

29:17～要人発言
米国ウォラーFRB理事
（過去の発言：10/14, 10/18, 11/12, 12/21）
：政策スタンスは中立。前回11/12金融政策や経済見通しについてコメントなし。
ウォラーＦＲＢ理事、12月会合での利下げ支持に傾いている（Bloomberg）

【考察】ハト派発言。ドル円下落。

29:30 経済指標
IMM通貨先物11/26時点（Investing.com）
円ショート縮小

30:31～要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁（2024年FOMC投票権あり）
（過去の発言：10/10, 11/15, 11/21, 12/2）
：政策スタンスは中立。前回11/21タカ、ハト派発言。
ウィリアムズＮＹ連銀総裁、「時間をかけて」さらなる利下げが必要に（Bloomberg）

【考察】タカ、ハト派発言。ドル円揉み合い。

＜まとめ＞
東京マーケット：
日足始値149.70
取引開始直後に日通し安値149.50を付けると、先週のドル円急落を好機とした月初安値ドル調達需要（日本実需勢、新NISA等の米国投資目的）、中国景気回復期待やGPIF目標運用利回り引き上げ報道から日本株上昇（円キャリー促進）、原油先物価格上昇に連れて日足高値150.75へ上昇して引けました。

【日本市況】２年金利が16年ぶり高水準、12月利上げ観測－金融株上昇（Bloomberg）

欧米マーケット：
東京クローズ直後から11/30植田日銀総裁タカ派発言記事影響や仏政情不安リスクオフの高まりが材料視されて149.99へ下落するも、欧州オープンすると両者とも織り込み済の為かドル円もみ合い上昇。
しかし、米国商務省から対中販売規制強発表されると米中貿易悪化懸念から下落。

米国ISM製造業は総じて強い数値で150.24へ上昇しましたが、仏政情不安リスクオフ、ヒズボラのイスラエル軍へ攻撃を受けた中東地政学リスクオフにより日足安値149.08へ急落。

その後、米国株上昇、原油先物価格上昇と米国ウォラーFRB理事のハト派発言が交錯してドル円乱高下で引けました。
日足終値149.59

【米国市況】Ｓ＆Ｐ500種が再び最高値－円上昇、一時149円台前半（Bloomberg）

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

＜ドル買い優勢＞
買い材料：
・月初安値ドル調達需要（日本実需勢、新NISA等の米国投資目的）
・中国景気回復期待→原油先物価格上昇→インフレ懸念
・米国商務省：対中販売規制強発表→米中貿易戦争悪化→世界景気悪化懸念

売り材料：
・米国ウォラーFRB理事のハト派発言

＜円買い優勢＞
買い材料：
・11/30植田日銀総裁タカ派発言記事影響→日銀追加利上げ観測→日本国債利回り上昇
・仏政情不安リスクオフ
・米国商務省：対中販売規制強発表
・ヒズボラ、イスラエル軍へ攻撃→中東地政学リスクオフ
・IMM通貨先物11/26時点：円ショート縮小

売り材料：
・中国景気回復期待、GPIF目標運用利回り引き上げ報道→日本株上昇（円キャリー促進）
・中国景気回復期待→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96（日本銀行、短観）以上推移→日本企業業績改善・株上昇（円キャリー促進）
・構造的円売り（日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増）
・その他円売り（自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念）