2025年1月10日(金)ドル円戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・米国雇用統計
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、インフレ予測
・IMM通貨先物円ポジション

2.要人発言
・政府日銀円安牽制
・米国トランプ次期大統領
・FRB

3.その他
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国雇用統計です。
2024年、米国雇用統計発表日のドル円動きまとめ

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:30)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

17:51 報道
日銀が物価見通しを上方修正の公算大、コメ価格上昇と円安-関係者(Bloomberg

【考察】1月日銀会合利上げ観測。ドル円急落。

19:37~要人発言
米国ムサレム・セントルイス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし、2025年投票権あり)
(過去の発言:11/811/13, 12/4, 1/10)
:政策スタンスはハト派。前回12/4タカ派発言
米セントルイス連銀総裁「利下げに一段と慎重姿勢必要」=WSJ(Reuters

【考察】タカ派発言。ドル円上昇。

22:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;1/52/23/84/55/36/77/58/29/6,10/411/1, 12/6, 1/10)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回22.7万人(改定21.2)、予想16.4万人、結果25.6万人(◎)
失業率:前回4.2%(改定)、予想4.2%、結果4.1%(◎)
平均時給
前月比:前回0.4%(改定)、予想0.3%、結果0.3%(○)
前年比:前回4.0%(改定)、予想4.0%、結果3.9%(×)
米雇用者数25.6万人増、失業率は低下-利下げ休止の論拠裏付け(Bloomberg

【考察】
発表前:日銀物価見通し上方修正示唆報道を受けて日通し安値157.62へ急落から、米国雇用統計控えてショート勢決済や米国ムサレム・セントルイス連銀総裁のタカ派発言を受けてドル円上昇から揉み合い。直前157.99(切番158.00付近)。
発表後:総じて強い数値。年内FOMC利下げ観測後退。日足高値158.880へ急上昇。しかしながら、米国債利回り急上昇を嫌気した欧米株下落リスクオフ(円キャリー巻き戻し)も生じて全戻しのドル円急落。

24:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(速報値発表日; 1/192/163/154/125/106/147/128/169/1310/1111/8, 12/6, 1/10)
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できます。

前回74.0、予想73.9、結果73.2(×)

米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回2.8%、予想2.8%、結果3.3%(◎)
5年先:前回3.0%、予想3.0%、結果3.3%(◎)

【考察】強弱混在。

24:09~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2025年FOMC投票権あり)
(過去の発言: 11/2512/3, 12/6, 1/10)
:政策スタンスは中立。前回12/6ハト派発言。
シカゴ連銀総裁、雇用統計は労働市場の安定化示す-景気過熱ではない(Bloomberg

【考察】ハト派発言。

29:30 経済指標
IMM通貨先物時点(Investing.com
円ショート

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値158.13
東京オープン後、日本株下落に連れて日通し安値157.94付けるも、1/9日銀支店長会議・地域経済報告(さくらリポート)の影響継続のためか、日通し高値158.43へ上昇して引けました。

【日本市況】株式続落、米雇用統計前に長期金利は一段高-円も軟調(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン直前に日通し高値158.45を付けましたが、オープン直後に日銀物価見通し上方修正示唆報道を受けて日通し安値157.62へ急落。
その後、米国雇用統計控えてショート勢決済や米国ムサレム・セントルイス連銀総裁のタカ派発言を受けてドル円上昇から揉み合い。

米国雇用統計(強)を受けて日足高値158.88へ急上昇しましたが、米国債利回り急上昇を嫌気した欧米株下落リスクオフも生じて全戻しのドル円急落。
更に米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言で日通し安値157.23

日足終値

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル>
買い材料:
・米国ムサレム・セントルイス連銀総裁のタカ派発言
・米国雇用統計(強)
・欧米寒波の需要増、ロシア産原油に対する新たな米国制裁→原油先物価格上昇→インフレ懸念

売り材料:
・米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言

<円>
買い材料:
・日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・日銀、物価見通し上方修正示唆報道
・米国雇用統計(強)→米国債利回り急上昇を嫌気した欧米株下落リスクオフ(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・1/9日銀支店長会議、地域経済報告(さくらリポート):中小企業収益面の厳しさや人件費価格転嫁の難しさの影響継続→1月日銀会合利上げ観測後退
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

・FRB:現行政策金利4.25-4.50%
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回1月29日(水)公表:据え置き(94.7→93.1%)、0.25%引き下げ(5.3→6.9%)
2025年利下げ観測:-0.25%×2回=0.50% → 政策金利3.75~4.00%相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:1月陽線形成中。レンジ。ダウ転換シグナル付近。
  • 週足:1/6週、陽線形成中。上昇トレンド。三尊右肩かつ戻り高値付近。
  • 日足:1/9陰線。上昇チャネル。チャネル上限かつBB+1σ付近
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値158.510をダウ上昇→目標4H足戻り高値158.758
(B)4H足レンジ安値156.611付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値157.427

②Short
(C)1H足押し安値157.427をダウ下落→目標4H足レンジ安値156.611

(Trading View)

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