ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国生産者物価指数(PPI)
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、インフレ予測
・IMM通貨先物円ポジション
2.要人発言
・政府日銀円安牽制発言
・FRB
3.その他
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国生産者物価指数です。
(2024年、米国生産者物価指数発表日のドル円動きまとめ)
前日10/10(木)米国消費者物価指数(強)だったことでインフレ懸念が再燃し、米国生産者物価指数にドル円は反応しやすいと推測します。
(a)米国生産者物価指数(強)→ドル円上昇
(b)米国生産者物価指数(弱)→ドル円下落
(2)中東地政学リスクオフ
10/1以降、イランがイスラエルへ大規模なミサイル攻撃を実施し、イスラエルは報復を宣言、米国軍も今まで以上に戦闘に直接関与することから、中東戦争拡大への懸念が高まりました。
現状は地政学リスクオフ悪化の一途を辿っておりドル円急落から乱高下の可能性が高いですが、イスラエル報復開始が停滞するようなら地政学リスクオフ後退から巻き戻しのドル円上昇を想定します。
今まで以上に報道や要人発言ヘッドラインに要警戒が必要と考えます。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→リスクオフドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)(日銀、オペレーション)
(2024年9~10月、日銀国債買いオペ通知日のドル円動きまとめ)
(発表日:9/4, 9/6, 9/11, 9/18, 9/25, 10/2, 10/7, 10/11, 10/18, 10/28)
1~3年債:前回3250億円、予想3250億円、結果3250億円(○)
5~10年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)
10~25年債:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
【考察】
発表前:前日米国消費者物価指数(強)と米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(弱)交錯、FRB要人ハト派・タカ派発言交錯で生じたドル円乱高下を引き継ぎ。
発表後:据え置き。日通し安値148.41から上昇するも、上記乱高下継続。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
19:50 米国主要企業決算
JPモルガン・チェース
売上高:前回502.0億ドル、予想414.5億ドル、結果426.5億ドル(○)
EPS:前回4.40ドル、予想3.99ドル、結果4.37ドル(○)
【決算速報】JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、売上高は予想を上回り、利益は予想を上回る結果に(Investing.com)
20:08 米国主要企業決算
ウェルズ・ファーゴ
売上高:前回206.9億ドル、予想203.9億ドル、結果203.7億ドル(×)
EPS:前回1.33ドル、予想1.28ドル、結果1.42ドル(◎)
【決算速報】ウェルズ・ファーゴ・アンド・カンパニー、売上高は予想を下回り、利益は予想を上回る結果に(Investing.com)
21:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)
(発表日; 1/12, 2/16, 3/14, 4/11, 5/14, 6/13, 7/12, 8/13, 9/12, 10/11)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.2%(改定)、予想0.1%、結果0.0%(×)
前年比:前回1.7%(改定1.9)、予想1.6%、結果1.8%(○)
コア前月比:前回0.3%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
コア前年比:前回2.4%(改定2.6)、予想2.6%、結果2.8%(◎)
米PPI、9月は前月比横ばい-ガソリン価格が下落(Bloomberg)
【考察】
発表前:10/12中国大規模財政政策発表期待の欧州株上昇(円キャリー促進)と、前日FRB要人タカ派発言影響でドル円上昇。直前149.00(4H足・1H足戻り高値148.92付近)
発表後:強弱混在するも総じて強い数値。初動148.79への下押しから日通し高値149.26上昇。しかし全戻しの乱高下。
23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(速報値発表日; 1/19, 2/16, 3/15, 4/12, 5/10, 6/14, 7/12, 8/16, 9/13, 10/11)
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できます。
前回70.1、予想71.0、結果68.9(×)
米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回2.7%、予想2.7%、結果2.9%(◎)
5年先:前回3.1%、予想3.0%、結果3.0%(○)
【考察】強弱混在。インフレ予測が材料視されドル円上昇継続。
24:04~要人発言
米国ローガン・ダラス連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:4/5, 5/10, 6/18, 10/9)
:政策スタンスはタカ派。前回6/18タカ派発言
ダラス連銀総裁、「緩やかな」ペースでの利下げをあらためて呼びかけ(Bloomberg)
【考察】ハト派発言
26:10~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar)
(過去の発言:9/20, 9/24, 9/26, 9/30, 10/2, 10/11)
:政策スタンスは中立。前回10/2金融政策についてはコメントなし。
【考察】経済見通しや金融政策についてコメントなし
28:30 経済指標
IMM通貨先物10/8時点(Investing.com)
円ロング減少
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値148.58
取引開始直後から、前日米国消費者物価指数(強)と米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数(弱)交錯、FRB要人ハト派・タカ派発言交錯で生じたドル円乱高下を引き継いで推移し、日足安値148.41付け。
その後、日銀買いオペ通知や10/12中国大規模財政政策発表期待と米国消費者物価指数(強)嫌気の日本株上昇・下落に連れて、ドル円乱高下して引け。
【日本市況】債券上昇、米金利低下と高利回りで見直し買い-円は下落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープンすると、10/12中国大規模財政政策発表期待の欧州株上昇(円キャリー促進)と、前日FRB要人タカ派発言影響のためか米国10年債利回り急上昇につれて再び149円台乗せ。
米国生産者物価指数は強弱混在するも総じて強い数値。初動148.79への下押しから日通し高値149.26上昇。しかし、全戻しの乱高下。
その後、米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(弱)・インフレ予測速報値(強)しましたが、インフレ予測速報値(強)が材料視され、日足高値149.29へ上昇。
その後、米国ローガン・ダラス連銀総裁のハト派発言で下落から揉み合いで引けました。
日足終値149.13
【米国市況】銀行株に買い、S&P500は再び最高値-ドル149円台(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売買交錯>
買い材料:
・10/10米国消費者物価指数(強)影響
・10/10米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言影響
・米国生産者物価指数(強)
・米国ミシガン大学インフレ予測速報値(強)
売り材料:
・10/10米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数(弱)影響
・10/10米国コリンズ・ボストン連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言影響
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(弱)
・米国ローガン・ダラス連銀総裁のハト派発言
<円売り優勢>
買い材料:
・10/10米国消費者物価指数(強)影響→日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・10/10米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言影響→日本株下落
売り材料:
・日銀買いオペ通知
・10/12中国大規模財政政策発表期待→日本株、欧米株上昇(円キャリー促進)
中国、最大42兆円規模の財政刺激策を発表か-投資家の期待高まる(Bloomberg)
・IMM通貨先物10/8時点:円ロング減少
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利475-500bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回11月7日(木)公表:据え置き16.7→11.6%、25bps引き下げ83.3→88.4%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:10月陽線形成中。レンジ。20MA付近。
- 週足:10/7週、陰線形成中。下降トレンド中の調整波相当。戻り高値付近
- 日足:10/10陰線。上昇トレンド。
- 4H足:上昇チャネル。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足押し安値148.176付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値148.557
(B) (A)後、1H足レンジ安値148.557かつ1H足20MAをダウ上昇→目標1H足戻り高値148.917
②Short
(C)4H足レンジ高値149.397付近へ上昇→転換下落→目標1H足戻り高値148.917
(D)1H足レンジ安値148.557かつ4H足20MAをダウ下落→目標日足押し安値148.176
本日:1勝1敗、+2.2pips
10月通算:7勝7敗、勝率50.0%、RR2.05 、+104.0pips
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