ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・東京消費者物価指数
・日本2年国債入札
・米国PCE、PCEデフレータ
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測
・米国アトランタ連銀GDP Now
2.要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(7/20~8/1)につき
3.その他
・G20財務相、中央銀行総裁会議(7/25~7/26)
・日銀会合関連リーク報道
・米国主要企業決算
・IMM通貨先物円売りポジション
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
4.参考情報
5.本日の注目材料
(1)前日マーケット影響
7/23~7/25欧州序盤まで、7月日銀会合の金融政策正常化観測から投機筋円売りポジション調整(推測)、株下落(円キャリー巻き戻し)に伴う強い円買いが続いていましたが、切番152.00、月足・週足抵抗151.86付近でドル円急落ストップ。
つまり、152.00付近が円キャリー巻き戻しが防衛水準だったことで、米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国実質GDP速報値(強)に素直に反応してドル円急騰したと推測します。
従って、本日も投機筋円売りポジション調整や株下落が続くなら下値目途152.00付近。152.00付近へ急落が生じるなら一旦は押し目買い優勢と考えます。
(2)円安是正・利上げ発言の火消し
7/17に河野デジタル相が円安是正・利上げ発言が出た後、2日後の7/19に河野デジタル相から火消し発言と、鈴木財務相から河野デジタル相へ牽制発言がありました。この時は、巻き戻しのドル円上昇発生。
連日の日本株急落、一服したとは言え急速な円買いを受けて、下記発言があるか注目したい。発言有ればドル円上昇材料。
・茂木幹事長の火消し発言
・鈴木財務相の茂木幹事長への牽制発言
(3)ハリス氏、9月10日の討論会に意欲-トランプ氏はABCの主催に難色(Bloomberg)
7/25から7/26取引開始時点のReal Clear Politicsの大統領勝利確率は、トランプ氏56から57%へ上昇、ハリス副大統領が36から35%へ低下しました。
ここで、考えられるのは2点。
①ハリス副大統領の知名度や実績はトランプ氏に遠く及ばないと判断され、トランプトレード(株高、ドル高、金利高)加速
②バイデン大統領よりハリス副大統領の当選確率が高く、59歳と大幅な若返りにもなることから、米国政情不安リスクオフになりやすい。
バイデン大統領の選挙戦撤退以降、トランプ氏の当選確率低下とハリス副大統領当選確率の急上昇がようやく一服。但し、下記(a)トランプトレードになりにくく、(b)政情不安からドル円下落に繋がっています。
7/23,7/24はポジション調整と推測される強い円買い発生しましたが、7/25は調整が落ち着きを見せました。従って、円売り材料(c)~(e)からドル円上昇しやすいと考えます。
(a)トランプ氏の大統領返り咲き確率増→インフレ懸念、株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
(b)トランプ氏の大統領返り咲き確率減→巻き戻しのドル円下落
(c)ドル円急落を好機とした、安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
(d)7月日銀会合では景気悪化懸念から追加利上げできないとの見方
(e)恒常的円売り材料の影響
(4)米国経済指標
本日最大の注目は、米国PCEデフレータです。(2024年、米国PCEデフレータ発表日のドル円動きまとめ)
最近の指標のインフレ鈍化・景気減速傾向を踏まえて基本は(c)(d)を想定します。
更に、前日にはドル円急落が152.00付近でストップしたことから、円キャリー巻き戻しが一旦収まる水準が判り、米国実質GDP速報値(強)を受けて素直にドル円急騰が生じました。
つまり、152円台前半で強い数値が出れば素直にドル円上昇しやすく、サプライズの弱い数値が出なければ一時的に152円下抜けしても下降トレンド継続は難しいと推測されます。
(a)強い数値→初回9月利下げ期待織り込み剥落→巻き戻しのドル円上昇
(b)強い数値→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)ならドル円上げ止まりから下落
(c)弱い数値→初回7月利下げ・年内3回利下げ観測高進→ドル円下落
(d)弱い数値→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円下げ止まりから上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:30 経済指標
東京消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口)
全国消費者物価指数の先行指標で日本国内のインフレが進んでいる中で注目度が高まっています。
前年比(日銀目標2.0%):前回2.3%(改定)、予想2.3%、結果2.2%(×)
コア前年比:前回2.1%(改定)、予想2.2%、結果2.2%(○)
コアコアCPI前年比:前回1.8%(改定)、予想1.6%、結果1.5%(×)
【考察】弱い数値。ドル円上昇
8:37~要人発言
神田財務官
(過去の発言:7/2, 7/11, 7/12, 7/17, 7/26)
:前回7/17円安牽制発言
【考察】円安牽制発言。ドル円下落。
東京マーケット(9:00~15:00)
12:35 経済指標
日本2年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回0.382%、結果0.412%(×)
応札倍率:前回3.83倍、結果4.19倍(◎)
テール:前回8厘、結果7厘(◎)
【考察】入札好調。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
18:14 報道
財務省、日銀国債購入は銀行保有余力踏まえた減額重要と認識-関係者(Bloomberg)
【考察】日銀国債買い入れ大幅減額牽制。ドル円上昇。
21:30 経済指標
米国PCE
個人所得:前回0.5%(改定0.4)、予想0.4%、結果0.2%(×)
個人支出:前回0.2%(改定0.4)、予想0.3%、結果0.3%(○)
米国PCEデフレータ(過去の発表日:6/30, 7/28, 8/31, 9/29, 10/27, 11/30, 12/22, 1/26, 2/29, 3/29, 4/26, 5/31, 6/28, 7/26)
総合指数より基調的なインフレを反映するコア指数がより注目されます。
強い数値なら、「インフレへの警戒感→FF金利上昇する可能性→ドル買い材料」
【6/12米国FOMC公表2024年見通し:コアPCE2.6%】
前月比:前回0.0%(改定)、予想0.1%、結果0.1%(○)
前年比(FRB目標2.0%):前回2.6%(改定)、予想2.5%、結果2.5%(○)
コア前月比:前回0.1%(改定)、予想0.2%、結果0.2%(○)
コア前年比:前回2.6%(改定)、予想2.5%、結果2.6%(○)
FRB重視のPCEコア価格指数、6月は小幅な伸び-消費は堅調(Bloomberg)
【考察】
発表前:リスクオン欧州株上昇(円キャリー促進)、財務省の日銀国債買い入れ大幅減額牽制報道を受けてドル円上昇。直前154.49(4H足ダウ安値154.59かつ4H足20MA付近)
発表後:総じて強い数値。
(対予想:個人所得が弱い、他は予想以上。対前回:個人所得と総合前年比が弱い、他は前回以上)
但し、概ね予想通りでしたが、対前回の弱い数値がインフレ鈍化として材料視され初動からドル円急落し153.67付け。
23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(速報値発表日; 1/19, 2/16, 3/15, 4/12, 5/10, 6/14, 7/12)
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。
前回66.0、予想66.0、結果66.4(◎)
米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回2.9%、予想2.9%、結果2.9%(○)
5年先:前回2.9%、予想2.9%、結果3.0%(◎)
【考察】強い数値。初動ドル円上昇するも、戻り売りに押されて日足安値153.10へ急落。
23:30 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 7/1, 7/3, 7/10, 7/16, 7/17, 7/24, 7/26, 8/1, 8/6, 8/8, 8/15, 8/16, 8/26, 8/30)
Q2:前回2.6%、予想2.6%、結果2.8%(◎)
【考察】強い数値
28:30 経済指標
IMM通貨先物7/16時点(ポジション推移)
円ショート大幅減
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.93
「前日米国経済指標(強)の影響継続→ドル買い」
「神田財務官の円安牽制発言→円買い」
「東京消費者物価指数(弱)→円売り」
「日本株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い」、「日本2年国債入札(強)→円売り」の材料交錯では、切番154.00乗せ失敗。
1H足レンジ高値154.036からの戻り売りに押されると、東京始値153.70直後に東京安値153.37を付けてからは東京高値154.14の間をレンジ推移。
東京終値153.60
【日本市況】債券上昇、日銀会合前に2年入札順調-日経平均8日続落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープンすると、前日同様にリスクオン欧州株上昇(円キャリー促進)、財務省の日銀国債買い入れ大幅減額牽制報道を受けて日足高値154.74付け。
一方、155円台付近は円キャリー巻き戻しが意識されるためかドル円上昇ストップ。
注目の米国PCE、PCEデフレータは総じて強い数値。概ね予想通りでしたが、対前回の弱い数値がインフレ鈍化として材料視され、初動からドル円急落。
更に米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値・インフレ予測(強)で初動ドル円上昇するも戻り売り材料となり、原油先物価格急落も後押しして日足安値153.10付け。
しかし、切番153.00付近からは、米国株上昇(円キャリー促進)が支えとなり、153.88へ上昇の約56%戻し(PCE直前154.49-日足安値153.10=1.39。153.88-153.10=0.78。0.78/1.39=0.56)から引けに掛けて揉み合いました。
日足終値153.76
【米国市況】株上昇、PCE好感し利下げ観測強まる-153円台後半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
・7/25米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国実質GDP速報値(強)の影響継続
・7/25米国イエレン財務長官のドル高容認発言の影響継続
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測(強)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)
売り材料:
・米国PCE、PCEデフレータ(強)。対前回の弱い数値がインフレ鈍化として材料視
・原油先物価格急落
<円売買交錯>
買い材料:
・神田財務官の円安牽制発言
・日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・IMM通貨先物7/16時点:円ショート大幅減
・原油先物価格急落
売り材料:
・東京消費者物価指数(弱)
・日本2年国債入札(強)
・財務省、日銀国債買い入れ大幅減額牽制報道
・欧米株上昇(円キャリー促進)
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回7月31日公表:据え置き93.3→95.3%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ89.6→87.7%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。ダウ高値151.86付近から反発上昇
- 週足:7/22週、陰線形成中。上昇トレンド。押し安値ヒゲ先151.86到達から反発上昇
- 日足:7/25下ヒゲピンバー陽線。押し安値ヒゲ先151.86到達から反発上昇。下降トレンド。
- 4H足:下降トレンドからレンジ移行。
- 1H足:上昇トレンド。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値154.036をダウ上昇→目標日足高値154.321
(B)日足高値154.321をダウ上昇→目標4H足戻り高値154.857
(C)1H足三尊右肩153.254付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値153.639
②Short
(D)4H足戻り高値154.857付近へ上昇→転換下落→目標日足高値154.321
(E)1H足レンジ安値153.639かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足三尊右肩153.254
7月通算:15勝9敗、勝率62.5%、+241.1pips
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