2024年6月27日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

(1)経済指標
・日本2年国債入札
・米国実質GDP確報値
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国耐久財受注速報値
・米国中古住宅販売成約指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国7年債入札

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言

(3)その他
・財務官人事公表(未確定)。任期は一般的には2~3年で神田財務官は現在3年目。同氏退任なら、為替介入警戒後退から円売り材料と見込まれています(財務省、人事情報
・米国大統領選候補者第1回テレビ討論会
・月末ロンドンフィックス
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

(4)参考情報
来週のドル・円は160円を試すか、日本当局の介入時期が焦点(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利は上昇か、買い入れ大幅減額や20年入札警戒(Bloomberg
【日本株週間展望】下落、米景気懸念で円高リスク-仏政治不安も重し(Bloomberg

(5)本日の注目材料

①月末・四半期末最終週ポジション調整
前日は月末・四半期末最終週ポジション調整と推測される欧州通貨(ポンド・ユーロ)買い・ドル売りが発生し、欧州序盤にドル円乱高下する場面もありました。
今週、心理的節目として意識される160円付近は、需給要因で突発的な乱高下が続く可能性が出てきたことから上値追いはリスク高く、急落後の押し目狙いのみが適切かもしれません。

②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
前日一気に161円台目前へ急上昇したことで、政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。
一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)は留まらないことから押し目買い狙いが適切と考えます。

③米国経済指標
注目度の高い材料が続きます。
基本は(1)か(3)ですが、米国株が大きく動けば(2)と(4)も生じやすい。
但し、(2)や(3)で一時的にドル円下落が生じても押し目買い機会と考えます。

(1)強い数値→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)強い数値→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)弱い数値→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)弱い数値→リスクオン株上昇→ドル円上昇

④FRB要人発言
6/12FOMC公表・パウエルFRB議長会見はタカ派以降、複数のFRB要人からタカ派発言が相次いでいましたがハト派寄りの発言も出てきました。
引き続き基本は(1)ですが、ハト派発言増から(3)や(4)も要警戒。いずれにせよドル円下落が生じても一時的で押し目買い機会と考えます。

(1)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)タカ派発言→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)ハト派発言→リスクオン株上昇→ドル円上昇

⑤米国大統領選候補者第1回テレビ討論会
経済対策、移民政策、対中政策、地政学リスク(中東、ウクライナ・ロシア、台中)などへの論戦で株や債券利回りの動きに注目したい。2020年討論会の様な罵声合戦になれば失望ドル売りが起きる可能性もあります。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

10:36~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/46/76/186/216/24, 6/25, 6/27)
:前回6/25円安牽制発言
経済への影響強く懸念、必要に応じて対応=円安進行で鈴木財務相(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

10:40~要人発言
林官房長官
為替の過度な変動望ましくない、適切な対応取っていきたい=官房長官(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

12:35 経済指標
日本2年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回0.422%、結果0.382%(◎)
応札倍率:前回3.78倍、結果3.83倍(◎)
テール:前回9厘、結果8厘(◎)

【考察】入札好調。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国実質GDP確報値(過去の発表日:5/256/297/278/309/2810/2611/2912/21,1/252/283/284/25, 5/30, 6/27)
速報値は改定値や確報値に比べて注目度高いですが、改定値や確報値でもドル円が大きく動くことあり。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」

【6/12米国FOMC公表2024年見通し:実質GDP2.1%、コアPCE2.6%】
実質GDP(=名目GDP-物価変動):前回1.3%、予想1.5%、結果1.4%(△)
個人消費:前回2.0%、予想2.0%、結果1.5%(×)
GDPデフレータ(=名目GDP/実質GDP):前回3.0%、予想3.0%、結果3.1%(◎)
PCEコアデフレータ(FRB目標2.0%):前回3.6%、予想3.6%、結果3.7%(◎)

21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回23.8万件(改定23.9)、予想23.4万件、結果23.3万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回182.8万件(改定182.1)、予想182.3万件、結果183.9万件(×)

21:30 経済指標
米国耐久財受注速報値:設備投資の先行指標
前月比:前回0.6%(改定)、予想0.1%、結果0.1%(○)
コア前月比:前回0.4%(改定-)、予想0.1%、結果-0.1%(×)

【考察】米国実質GDP確報値、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数、米国耐久財受注速報値は全て強弱混在。初動日足安値160.28へ下落から揉み合い上昇。

23:00 経済指標
米国中古住宅販売成約指数
売買契約が結ばれているものの、最終引渡しが行われていない物件の指数。引き渡しが済んだ中古住宅販売件数の先行指標として注目される。
前月比:前回-7.7%(改定)、予想1.0%、結果-2.1%(△)
前年比:前回-0.8%(改定-)、予想-4.6%、結果-6.6%(×)

【考察】一瞬下振れから上昇継続

23:01~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:5/105/165/205/215/225/23, 5/30, 6/27)
:政策スタンスはハト派。前回5/30タカ、ハト派発言。
アトランタ連銀総裁、10-12月期の利下げを想定-インフレ進展の兆し(Bloomberg

【考察】市場初回利下げ観測9月に対して10-12月期利下げはタカ派発言。ドル円上昇。

23:30 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 5/245/316/3, 6/6, 6/7, 6/18, 6/20, 6/27, 6/28)
Q2:前回3.0%、予想3.0%、結果2.7%(×)

【考察】一瞬下振れから上昇継続

24:00 月末ロンドンフィックス
前後の時間帯でポジション調整によって不規則な乱高下生じやすい。

26:00 経済指標
米国7年債入札(Upcoming Auctions
(過去の発表日:5/29, 6/27)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):440億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.650%、結果4.276%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.43倍、結果2.58倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回66.9%、結果69.7%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+1.3 bps、結果-0.3bps(◎)
WI:4.279%

【考察】入札好調。ドル円下落

27:05~要人発言
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:4/24/54/104/185/35/105/175/28, 6/25, 6/27)
:政策スタンスは中立。前回6/25タカ派発言。
利下げまだ支持できず、インフレ圧力なお高い=ボウマンFRB理事(Reuters

【考察】タカ派発言。

28:00~要人発言
IMF
「FRBは2024年後半まで利下げを待つべき」
米、債務増を抑制する必要 堅調な経済成長でも=IMF(Reuters

【考察】市場初回利下げ観測9月に対して2024年後半利下げはタカ派発言

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値160.83付けると、前日スワップ3倍付与狙いの利確、161円台目前の政府・日銀為替介入警戒感、鈴木財務相の円安牽制発言、日本2年国債入札(強)、リスクオフ日本株下落を受けて、東京安値160.30へ下落。
しかしながら一時的な円買い材料であることから、恒常的円売り材料に支えられ引けに掛けて揉み合いました。
東京終値160.46

【日本市況】円38年ぶり安値圏、金利1カ月ぶり高水準-介入恐れ株安(Bloomberg

欧米マーケット:
前日同様、欧州オープン前から再び160.61へ上昇するも、161円台目前の政府・日銀為替介入警戒感は継続、かつリスクオフ欧州株下落が交錯し揉み合い。

米国実質GDP確報値、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数、米国耐久財受注速報値は全て強弱混在。初動日足安値160.28へ下落から揉み合い上昇。今週の傾向通り、弱い数値で一時的に下振れしても押し目買い材料扱い。

更にFRB要人タカ派発言を受けて上昇継続。米国中古住宅販売成約指数(弱)や米国アトランタ連銀GDP Now(弱)で一瞬下振れても、直ぐに恒常的円売り材料が直ぐに支えとなり、リスクオン米株上昇や原油先物価格上昇に連れて再び日足高値160.83へ全戻し。
日足終値160.78

【米国市況】国債上昇、景気減速の兆しで利下げ観測-円は160円後半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国ボスティック・アトランタ連銀総裁、米国ボウマンFRB理事、IMFのタカ派発言
・原油先物価格上昇

売り材料:
・米国中古住宅販売成約指数(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)
・米国7年債入札(強)

<円売買交錯>
買い材料:
・日銀7月会合国債買い入れ大幅減額、追加利上げ観測→日本国債利回り上昇
・リスクオフ日本株、欧州株下落
・鈴木財務相の円安牽制発言

売り材料:
・日本2年国債入札(強)
・リスクオン米株上昇
・原油先物価格上昇
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・自動車認証不正問題→日本経済悪化→日銀政策修正観測後退
・インバウンド関連の旅行収支悪化懸念
成田空港 燃料確保できず 1週間に57便 新規就航や増便見合わせ(NHK

38年ぶり安値の円相場、もはや日本株の支援者にならず-相関関係示唆(Bloomberg

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き89.7%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ57.9%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/24週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/25陽線。上昇トレンド。
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値160.636付近へ下落→転換上昇→目標切番161.000
(B) (A)後、切番161.000をダウ上昇→目標切番161.500
(C)1H足押し安値160.303付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値160.636

②Short
(D)1H足押し安値160.636かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値160.303

6月通算:17勝7敗、勝率70.8%、+302.7pips

(Trading View)

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