2024年3月7日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)3/6の欧米マーケット影響
欧州オープン直前、日銀政策修正観測報道により日通し安値149.33へ急落。しかし政策委員9人のうち少なくとも1人の主張であり、政策修正には5人以上の委員が賛成であることからハードルは高い。そのためか直ぐに全戻し上昇。
本日最大の注目材料であった米国パウエルFRB議長の議会証言はハト・タカ派発言交錯し、日足安値149.10(日足押し安値付近)を付けながらドル円乱高下。
その後、米国パウエルFRB議長・米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁・米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言、米国ベージュブックの経済活動拡大報告でドル円上昇。
日足終値149.41

(2)経済指標
・日本毎月勤労統計
・日本30年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値
・米国貿易収支
・ECB理事会

(3)要人発言
・政府日銀要人
・FRB要人
・ラガルドECB総裁

(4)その他
・メジャーSQ前日(株売買決済)
・中東地政学リスクオフ
来週のドル・円はやや円高か、米イベントに注目-期末の円買い(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利上昇か、10年入札は日銀政策修正に警戒強い(Bloomberg
【日本株週間展望】続伸、FRB議長証言で波乱リスクも-SQ警戒(Bloomberg

本日注目材料は3点。

①米国経済指標
注目度の高い指標が続きます。前日パウエルFRB議長の議会証言でも利下げはデータ次第と示されており、強い数値なら素直にドル円上昇、弱い数値なら下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

②FRB要人発言
前日パウエルFRB議長の議会証言はハト派・タカ派発言交錯。本日もバランスを取った発言に終始する可能性が高いことからドル円の反応は低い見込み。

③中東地政学リスクオフ
米軍報復が開始されたことで原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買いによる材料交錯が生じるため、どの材料の影響が強いか見極め必要。基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすいと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
日本毎月勤労統計(厚生労働省
現金給与総額:前回1.0%(改定0.8)、予想1.2%、結果2.0%(◎)
実質賃金:前回-1.9%、予想-1.5%、結果-0.6%(◎)
実質賃金1月0.6%減、22カ月連続マイナス 減少幅は縮小(日本経済新聞

【考察】予想より強い数値。実質賃金22カ月連続マイナスであるものの、マイナス解消が見えつつあると判断され、日銀政策修正観測からドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

10:31~要人発言
中川日銀審議委員(日本銀行
賃金に変化の兆し、物価目標へ着実に歩を進めている=中川日銀委員(Reuters

【考察】タカ派発言。ドル円下落継続

10:49 要人発言
産業別労組UAゼンセン
UAゼンセン、5.15%賃上げ 満額回答の組合昨年上回る(Reuters
連合、今春闘の賃上げ要求は30年ぶりに5%上回る-日銀正常化後押し(Bloomberg

【考察】賃上げ満額回答で日銀政策修正観測。ドル円下落継続

12:35 経済指標
日本30年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.800%、結果1.790%(◎)
応札倍率:前回3.18倍、結果2.93倍(×)
テール:前回17銭、結果37銭(×)

【考察】総じて入札不調。ドル円下落継続

14:36~要人発言
中川日銀審議委員(日本銀行

【考察】午前と同じタカ派発言。ドル円下落継続

14:49~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:11/1011/1311/1412/151/192/92/142/162/202/22, 3/5, 3/7)
:前回3/5デフレ脱却報道否定発言
「2022年為替介入に他国から苦情はない」
「為替対応は米通貨当局と緊密に連携」

【考察】為替介入正当化。

14:54~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:12/712/1912/271/41/232/62/92/162/222/29, 3/5
:前回3/5CBDCへの言及。金融政策についてコメントなし。
日銀財務への配慮から必要な政策妨げられるとは考えず=植田総裁(Reuters

【考察】タカ派発言。ドル円下落継続

15:35 要人発言
連合、今春闘の賃上げ要求は30年ぶりに5%上回る-日銀正常化後押し(Bloomberg

【考察】日銀政策修正観測。ドル円下落継続

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

22:15 経済指標
ECB理事会
(過去の速報発表日:6/157/279/1410/2612/14, 1/25, 3/7)
政策金利:前回4.50%、予想4.50%、結果4.50%(○)
ECB声明:インフレ見通し下方修正
ECB、政策金利据え置き-インフレと成長見通し下方修正(Bloomberg

【考察】ECB声明のインフレ見通し下方修正→欧州国債利回り低下→米国債利回り低下に波及→ドル円下落

22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
(過去の発表日; 2/82/152/22, 2/29, 3/7)
前回21.5万件(改定21.7)、予想21.6万件、結果21.7万件(△)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回190.5万件(改定189.8)、予想187.2万件、結果190.6万件(×)

22:30 経済指標
米国非農業部門労働生産性指数確報値
農業部門を除いたモノとサービスを生産する労働者の生産性を把握する指標。
前期比:前回3.2%(改定)、予想3.1%、結果3.2%(○)

米国単位労働コスト確報値
前期比:前回0.5%(改定)、予想0.7%、結果0.4%(×)

22:30 経済指標
米国貿易収支
前回-622億ドル(改定-642)、予想-632億ドル、結果-674億ドル(×)

22:51~要人発言
ラガルドECB総裁
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨(Reuters

【考察】利下げに踏み切る自信ないとのタカ派発言で、巻き戻しの米国債利回り上昇。

23:11~要人発言
米国ボウマンFRB理事
:政策スタンスは中立。前回2/27タカ派発言。
(過去の発言:11/711/911/281/81/172/32/122/21, 2/27, 3/7)
ボウマンFRB理事、利下げ時期「まだその地点に達していない」(Bloomberg

【考察】タカ派発言

24:14~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(議会証言、上院金融委員会)
:政策スタンスは中立。前回3/6ハト派、タカ派発言交錯。
(過去の発言:10/210/1911/111/912/112/131/31, 2/5, 3/6, 3/7)
パウエルFRB議長、利下げ開始は「遠くない」時点に確信へ(Bloomberg

【考察】3/6と同じくハト派、タカ派発言交錯するも、証言後半の利下げ開始時期に言及したことでハト派姿勢が強くなりドル円下落。

25:30~要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
:政策スタンスはタカ派。前回2/29タカ派発言。
(過去の発言:11/1611/2912/181/112/6, 2/29, 3/7)
メスター総裁、年内利下げ見込む-インフレ鈍化の証拠なお必要(Bloomberg

【考察】市場の年内4回利下げ織り込みに対して、今年後半利下げ示唆はタカ派発言。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値・日足高値149.41
日本毎月勤労統計の強い数値、中川日銀審議委員のタカ派発言、産業別労組UAゼンセンの賃上げ満額回答、日本30年国債入札不調、鈴木財務相の為替介入正当化発言、植田日銀総裁のタカ派発言、連合の賃上げ要求5%以上、日本株下落リスクオフで東京安値148.40へ急落。

【日本市況】円高加速、月内のマイナス金利解除意識-株ほぼ500円安(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン前に、連合の賃上げ要求5%以上発言も加わり、日通し安値147.81へ急落。日銀政策修正観測から投機筋円売りポジション解消の可能性もあり。
ECB声明ハト派発言による欧州国債利回り低下が米国債利回り低下に波及し、日足安値147.59(日足押し安値ヒゲ先147.61付近)まで下落継続。
その後、ラガルドECB総裁のタカ派発言、米国ボウマンFRB理事のタカ派発言、米国パウエルFRB議長のタカ派・ハト派発言交錯、米国メスター・クリーブランド連銀総裁のタカ派発言を受けてドル円揉み合い。
日足終値148.03

【米国市況】株が続伸、米欧の利下げ近づくとの見方-ドル148円付近(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・ドル売り優勢
買い:ラガルドECB総裁のタカ派発言で巻き戻しの米国債利回り上昇、米国ボウマンFRB理事、米国パウエルFRB議長、米国メスター・クリーブランド連銀総裁のタカ派発言
売り:ECB声明のインフレ低下発言の米国債利回り低下波及、米国パウエルFRB議長のハト派発言

・円買い優勢
買い:日本毎月勤労統計の強い数値、中川日銀審議委員のタカ派発言、産業別労組UAゼンセンの賃上げ満額回答、日本30年国債入札不調、鈴木財務相の為替介入正当化発言、植田日銀総裁のタカ派発言、連合の賃上げ要求5%以上、日本株下落、投機筋円売りポジション解消の可能性
売り:

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
3月20日公表:25bp引き下げ5.0%、据え置き95.0%
5月1日公表:25bp引き下げ25.4%、据え置き73.5%
合計利下げ:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレード

  • 月足:3月陽線形成中。三尊右肩付近
  • 週足:3/4週、陰線形成中。上昇トレンド。BB+1σ付近から下落中。
  • 日足:3/6大陰線。レンジ。押し安値かつBB-2σ付近。よって3/7は押し目買い優勢と推測。
  • 4H足:下降トレンド。BB-2σ付近。
  • 1H足:下降チャネル。BB-1σ付近。
  • 15M足:上昇チャネル。BB-2σ付近。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H足レジスタンス149.408かつ1H足20MAをダウ上昇→目標1H足レジスタンス149.645

②ショート
(B)日足レジスタンス149.978付近へ上昇→ダウ転換下落→目標4H足サポート149.645

3月通算:2勝0敗、獲得Pips +25.0

(Trading View)

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