ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)経済指標
・日本消費者物価指数
・米国耐久財受注速報値
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、インフレ予測
(2)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人
(3)その他
・実質五十日仲値(5/25休場につき)
・主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(5/23~5/25)
・5/27(月)メモリアルデー(戦没者追悼記念日)控えた投資適格級社債の発行前倒し影響
・IMM通貨先物ポジション
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
【債券週間展望】長期金利は上昇か、早期利上げとオペ減額に警戒続く(Bloomberg)
【日本株週間展望】続伸へ、為替相場が落ち着き業績評価の見直し買い(Bloomberg)
本日の注目材料は4点。
①前日米国PMI速報値(強)の影響
製造業(◎)・サービス業(◎)・総合(◎)が全て強く初動は日足高値157.20の157円台乗せ。しかし、米高金利長期化を嫌気したリスクオフ株急落発生。ドル買い・円買い交錯し、より強い円買いによりドル下落しました。
本日東京マーケットもドル買い・円買い交錯しやすく、ドル円は揉み合いやすいと推測します。
しかし、米高金利長期化は変わりないことから、156円前半や155円台まで下落する場面があれば、押し目買いのリスク低いと考えます。
②台中地政学リスクオフ
前日、中国軍が台湾周辺で軍事演習を開始し、台湾軍が対抗措置として海軍・空軍配備、更に中国が6月初旬に台湾侵攻予定報道も出るなど、一気に台中緊張が高まりドル円下落が生じました。
③米国経済指標
本日の指標への注目度は高くありませんが、サプライズあれば初動は「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定します。
一方、弱い数値が出ても、単発データでは最近のFRB要人タカ派発言の見解が変わることはなく、ドル円下落は一時的で押し目買いの機会と考えます。
④米国FRB要人発言
5/20(月)~5/23(木)に掛けて総じてFRB要人発言タカ派発言が続きました。
本日も「タカ派発言→ドル円上昇」がメインと考えます。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:30 経済指標
日本消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口)
(過去の発表日; 1/19, 2/27, 3/22, 4/19, 5/24)
日銀物価目標2.0%。日銀政策金利0.0-0.1%
前年比:前回2.7%、予想2.4%、結果2.5%(○)
コア前年比:前回2.6%、予想2.2%、結果2.2%(○)
コアコア前年比:前回2.9%、予想2.4%、結果2.4%(○)
【考察】強い数値。ドル円反応薄。
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 実質五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。
【考察】ドル円上昇
15:30~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:4/1, 4/2, 4/4, 4/5, 4/9, 4/11, 4/12, 4/15, 4/16, 4/17, 4/18, 4/19, 4/23, 4/25, 4/26, 5/3, 5/8, 5/9, 5/10, 5/14, 5/21, 5/24)
:前回5/21円安牽制発言。
鈴木財務相、為替157円「動き注視」 3週間ぶり水準で(日本経済新聞)
【考察】円安牽制発言。ドル円下落から即全戻し。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国耐久財受注速報値:設備投資の先行指標
前月比:前回2.6%(改定0.8)、予想0.3%、結果0.7%(○)
コア前月比:前回0.2%(改定0.0)、予想0.2%、結果0.4%(◎)
【考察】強い数値。ドル円上昇から全戻し。
22:20~要人発言
米国ウォラーFRB理事
(過去の発言:11/7, 11/28, 1/16, 2/14, 2/15, 2/23, 3/1, 3/28, 5/17, 5/21, 5/24)
:政策スタンスは中立。前回5/21タカ、ハト派発言
米「自然利子率」、今後上昇する可能性も=ウォラーFRB理事(Reuters)
【考察】金融政策や金利見通しに関するコメントなし
22:23 要人発言
イスラエルはラファで軍事活動即時停止を、国際司法裁が命じる(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ後退。ドル円下落
23:00 経済指標
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(過去の速報値発表日;5/12, 6/16, 7/14, 8/11, 9/15, 10/13, 11/10, 12/8, 1/19, 2/16, 3/15, 4/12, 5/10)
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高い。米国GDPの約70%を占める個人消費の動向を確認できる。
前回67.4、予想67.4、結果69.1(◎)
米国ミシガン大学インフレ予測
1年先:前回3.5%、予想3.4%、結果3.3%(×)
5年先:前回3.1%、予想3.1%、結果3.0%(×)
【考察】強弱混在ですが、インフレ予測(弱)に反応してドル円下落。
23:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q2:前回3.6%、予想3.6%、結果3.5%(×)
【考察】弱い数値。ドル円下落継続
24:47~要人発言
神田財務官
(過去の発言:3/5, 3/25, 3/27, 3/29, 4/11, 4/15, 4/17, 4/18, 4/29, 4/30, 5/2, 5/7, 5/9, 5/24)
:前回5/9円安牽制発言。
神田財務官、「過度な変動あれば適切な行動取る」-為替市場について(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言。ドル円下落継続。
28:30 経済指標
IMM通貨先物5/21時点(ポジション推移)
円ショート大幅増
【考察】ドル円反応薄
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.95
取引開始直後、日通し安値156.91を付けてからは、前日米国PMI(強)の影響や実質五十日仲値へ向かいドル需要から日足高値157.15へ上昇しました。
しかし、米国PMI(強)による米国債利回り上昇が日本国債利回り上昇へ波及(10年利回り1.005%と12年ぶりの高水準)、米高金利長期化嫌気からリスクオフ日本株下落も交錯し、東京引けに掛けて157.00付近で揉み合いました。
【日本市況】株式反落、長期金利は12年ぶり高水準-円は157円台軟調(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後も157.00付近で揉み合い継続してましたが、
国際司法裁判所からイスラエルへラファでの軍事活動即時停止命令が出たことで中東地政学リスクオフ後退でドル円下落。
米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値・インフレ予測は強弱混在でしたが、インフレ予測(弱)に反応して下落継続、更に神田財務官の円安牽制発言を受けて日足安値156.82を付けました。
その後、リスクオン株上昇に連れてドル円上昇して引けました。
総じて、日足始値と終値同じの方向感ない動き。
日足終値157.00
【米国市況】株は上昇、インフレ鈍化への期待でードル156円台後半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・5/23(木)米国PMI速報値(強)の影響継続
・米国ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(強)
売り材料:
・米国ミシガン大学インフレ予測(弱)
・米国アトランタ連銀GDP Now(弱)
・欧米3連休前のポジション調整観測
<円売り優勢>
買い材料:
・5/23(木)米国PMI速報値(◎)→米国債利回り上昇→日本国債利回り上昇へ波及(10年利回り1.005%と12年ぶりの高水準)
・日本国債買い入れオペ減額や早期追加利上げへの警戒感継続→日本国債利回り上昇→リスクオフ日本株下落
・日本消費者物価指数(○)
・鈴木財務相、神田財務官の円安牽制発言
・国際司法裁判所からイスラエルへラファでの軍事活動即時停止命令
・海外円債ラッシュ、5月起債額は5年ぶり高水準-英ロイズや米KKR(Bloomberg)
売り材料:
・5/23(木)米国イエレン財務長官の為替介入牽制発言(4/25から数えて4回目)
・米国ミシガン大学インフレ予測(弱)→リスクオン株上昇
・IMM通貨先物5/21時点円ショート大幅増
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回6月12日公表:据え置き99.1%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ45.7%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
- 週足:5/20週、形成中。上昇トレンド。
- 日足:5/23陽線。三角持ち合い上抜け
- 4H足:上昇チャネル。
- 1H足:上昇チャネル。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足高値157.198をダウ上昇→目標日足戻り高値157.802
(B)日足安値156.529、4H足チャネル下限や4H足20MA付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ高値156.829
(C) (B)後、4H足ダウ高値156.829をダウ上昇→目標4H足ダウ高値157.051
②Short
(D) (A)後、4H足ダウ高値156.829かつ1H足20MAをダウ下落→目標日足安値156.529
5月通算:12勝6敗、勝率66.7%、+261.2pips
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