ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)4/10の欧米マーケット影響
米国消費者物価指数発表は全て予想より強い数値でドル円急騰。一気に152円台乗せ。加えて、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のタカ派発言、米国10年債入札不調、米国FOMC議事要旨のタカ派内容、中東地政学リスクオフ悪化に伴う原油先物価格上昇も後押しし日足高値153.24へ到達
日足終値153.15
(2)経済指標
・日本20年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国生産者物価指数
・米国30年債入札
・ECB理事会
(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人
・ラガルドECB総裁
(4)その他
・中東地政学リスクオフ
来週のドル・円は軟調か、米CPIの鈍化予測や中東リスク警戒が重し(Bloomberg)
【債券週間展望】長期金利低下か、需給良好で-利上げ観測はくすぶる(Bloomberg)
【日本株週間展望】続落、米物価指標の上振れ警戒-ファストリ決算も(Bloomberg)
本日の注目材料は4点。
①政府・日銀口先介入、実介入
前日4/10米国消費者物価指数の強い数値を受けて一気に153円台乗せ。従って、今までより強い口先介入・実介入への警戒感が高まりました。しかし、ファンダメンタルズに基づくドル円急騰であることから、実介入が実施されてドル円暴落が生じても、押し目買いに機会になりやすいと推測します。
②FRB要人発言
タカ派発言でドル円下げ止まりやドル円上昇、ハト派発言ではドル円下落一時的から押し目買い機会の傾向が継続見込み。
③米国経済指標
4/10米国消費者物価指数が強い数値だったことから。米国生産者物価指数への注目度が高まりました。「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定しますが、政府・日銀為替介入による一時的な急落には要警戒。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB政策利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいと推測します。
④中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:19~要人発言
神田財務官
(過去の発言:11/1, 12/21, 2/14, 2/29, 3/5, 3/25, 3/27, 3/29, 4/11)
:前回3/29円安牽制発言
神田財務官、行き過ぎた動きにはあらゆる手段排除せず対応-円153円台(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言。ドル円下落
東京マーケット(9:00~15:00)
9:46~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/5, 3/7, 3/8, 3/12, 3/15, 3/19, 3/21, 3/22, 3/26, 3/27, 3/29, 4/1, 4/2, 4/4, 4/5, 4/9, 4/11)
為替円安、数字だけでなく背景も分析=鈴木財務相(Reuters)
【考察】円安牽制発言。しかし従来通りの文言に留まりドル円下落は直ぐ全戻し。
11:22~要人発言
林官房長官
円安進行「適切に対応」 林官房長官(時事通信)
【考察】円安牽制発言。しかし従来通りの文言に留まりドル円下落は直ぐ全戻し。
12:35 経済指標
日本20年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.585%、結果1.656%(×)
応札倍率:前回3.01倍、結果3.05倍(◎)
テール:前回38銭、結果39銭(×)
【考察】入札不調。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回22.1万件(改定22.2)、予想21.4万件、結果21.1万件(◎)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回179.1万件(改定178.9)、予想179.9万件、結果181.7万件(×)
21:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)
(過去の発表日; 4/13, 5/11, 6/14, 7/13, 8/11, 9/14, 10/11, 11/15, 12/13, 1/12, 2/16, 3/14, 4/11)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.6%(改定-)、予想0.4%、結果0.2%(×)
前年比:前回1.6%(改定1.0)、予想2.2%、結果2.1%(△)
コア前月比:前回0.3%(改定-)、予想0.2%、結果0.2%(○)
コア前年比:前回2.0%(改定)、予想2.2%、結果2.4%(◎)
3月の米PPI、11カ月ぶりの大幅上昇-一部項目では伸び鈍化(Bloomberg)
【考察】
発表前:高値警戒感からじり下げ。直前153.13。
発表後:強弱混在(対予想は総合が弱く、コアは同等以上。対前回は総合・コア前年比が強く、総合・コア前月比が弱い)
初動152.80へ下落。しかし、総合より注目度の高いコア指数(強)や、ECB理事会ハト派姿勢のユーロ売りドル買いや直後のFRB要人タカ派発言を受けて、4H足押し安値152.84から押し目買い入り全戻し。
21:44~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:12/15, 1/10, 1/17, 2/23, 2/28, 3/1, 3/8, 4/11)
:政策スタンスは中立。前回3/8金融政策や経済見通しには言及なし。
NY連銀総裁、「ごく近い将来」の利下げの必要ない-道のり長い(Bloomberg)
【考察】タカ派発言。
21:15 経済指標
ECB理事会
(過去の速報発表日:6/15, 7/27, 9/14, 10/26, 12/14, 1/25, 3/7, 4/11)
政策金利:前回4.50%、予想4.50%、結果4.50%(○)
ECB声明:ハト派発言
ECB、金利据え置き-6月利下げへの道筋固める(Bloomberg)
21:50~要人発言
ラガルドECB総裁
【考察】ハト派発言
22:50~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:1/3, 1/5, 1/11, 2/7, 2/8, 2/12, 2/16, 2/21, 3/1, 4/4, 4/10, 4/11)
:政策スタンスはタカ派。前回4/10タカ派発言。
リッチモンド連銀総裁、「時間かけることが賢明」ー利下げの前に(Bloomberg)
【考察】タカ派発言
25:00~要人発言
米国コリンズ・ボストン連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:11/17, 2/7, 2/8, 2/28, 4/5, 4/11)
:政策スタンスは中立。前回4/5金融政策についてはコメントなし。
ボストン連銀総裁、年内想定の利下げ減る可能性も-確信得るのに時間(Bloomberg)
【考察】タカ派発言
26:00 経済指標
米国30年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回4.331%、結果4.671%(×)
応札倍率:前回2.47倍、結果2.37倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率:前回69.29%、結果64.4%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-2.1bps、結果+1bps(×)
【考察】入札不調。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.15
東京高値153.01を付けてから東京・日足安値152.76へ下押しするも引けに掛けかけて再び上昇。4/10米国消費者物価指数の強い数値の影響と、政府・日銀為替介入警戒感の綱引きで小幅推移。
きょうの国内市況(4月11日):株式、債券、為替市場(Bloomberg)
欧米マーケット:
東京マーケット中盤からの流れを引きついで欧州オープン後には日通し高値153.29へ上昇。
米国生産者物価指数は強弱混在。初動は総合の弱い数値を受けてドル円下落するも注目度の高いコア指数の強い数値の影響や、ECB理事会ハト派姿勢のユーロ売りドル買い、FRB要人の相次ぐタカ派発言もあり全戻しで日足高値153.32へ上昇しました。
日足終値153.28
【米国市況】S&P500種が反発、ハイテクが上げ主導-153円20銭台(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
・ドル売買交錯
買い:4/10米国消費者物価指数の影響継続。米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁、米国コリンズ・ボストン連銀総裁のタカ派発言。
売り:
・円売買交錯
買い:神田財務官、鈴木財務相、林官房長官の円安牽制発言。日本20年国債入札不調。
売り:
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
5月1日公表:25bp引き下げ5.5%、据え置き94.5%
9月18日公表(初回利下げ観測):25bp引き下げ44.8%、据え置き30.7%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
トレード
- 月足:4月陽線形成中。レンジ上限ブレイク
- 週足:4/8週、陽線形成中。レンジブレイク。
- 日足:4/10大陽線。上昇トレンド。政府・日銀の強い口先介入か実為替介入なければ4/11も上昇優勢と推測。
- 4H足:上昇トレンド。
- 1H足:上昇トレンド。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)1H足押し安値152.771付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ上限153.140
(B)15M足押し安値152.380付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値152.771
(C)1H足レンジ上限153.140をダウ上昇→目標切番153.500
②ショート
(D) (A)後、1H足押し安値152.771をダウ下落→目標15M足押し安値152.380
4月通算:5勝1敗、勝率83.3%、+47.0pips
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