ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)5/2の欧米マーケット影響
欧州オープン後も東京マーケットのじり下げ展開。歴史的水準へ積み上がっていた円売りポジションを有する海外投機勢が、日銀タカ派化とFRBハト派化への転換を警戒して円売りポジション解消も入ってきたのかも知れません。
日銀当座預金見通しが発表され、日銀当座預金増減要因は短資会社の予想から大きく乖離しており、5/1ドル円暴落は政府・日銀為替介入由来とほぼ確定(約3.5兆円規模示唆)。市場ではあと1回は為替介入実施の可能性が高いとの見方がありドル円下落継続。
米国経済指標は強弱混在ですが総じて強い数値。雇用とコストは強くインフレ懸念ありながらもドル円上昇乏しく下落継続。
米株上昇リスクオンにも関わらず円買いに傾いていたことから、市場は日銀タカ派化とFRBハト派化への警戒感がより強くなった様子。引けに掛けて断続的に下落継続して日足安値153.06到達。
日足終値153.68
(2)経済指標
・米国雇用統計
・米国PMI確報値(サービス業、総合)
・米国ISM非製造業景気指数
(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人
(4)その他
・日本祝日休場(憲法記念日)
・IMM通貨先物ポジション
・中東地政学リスクオフ
本日の注目材料は4点。
①5/1政府日銀為替介入観測の影響
4/29に続き、5/1も政府・日銀為替介入観測発生しました。市場ではあと1回は為替介入実施の可能性が高いとの見方もあります。加えて、リパトリ減税報道や追加利上げ前倒し観測も出てきており、投機筋円売りポジション拡大には逆風となりポジション解消の動きが出やすい環境になりました。従って、ドル円上昇しても急騰ではなくじり上げ展開を想定します。
34年ぶりの円安水準で注目される「リパトリ減税」導入、6月の骨太方針に明記の可能性も(産経新聞)
日銀の利上げペース、市場想定より速まる可能性も-物価予想通りなら(Bloomberg)
②米国経済指標
最大の注目は米国雇用統計。
5/1米国FOMC公表・パウエルFRB議長会見でのハト派姿勢を受けてドル円下落しやすいですが、高金利長期化懸念は根強い。最近の米国経済指標は、GDP・景況指数(弱)、インフレ・労働コスト(強)であり、景気後退懸念を示唆しています。
従って、以下が想定されます。
・非農業部門雇用者数(弱)かつ平均時給(強)→スタグフレーションの景気後退懸念→ドル円下落
・非農業部門雇用者数(強)かつ平均時給(弱)→リスクオン、インフレ懸念低下→ドル円乱高下
但し、上値158.00は政府・日銀為替介入への警戒感で重く、下値152.50も固く一方的な動きになりにくいと推測します。
米国債が上げ拡大、パウエル議長が利上げ懸念を緩和-注目は米統計に(Bloomberg)
③中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;5/5, 6/2, 7/7, 8/4, 9/1, 10/6, 11/3, 12/8, 1/5, 2/2, 3/8, 4/3, 5/3)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回30.3万人(改定31.5)、予想24.0万人、結果17.5万人(×)
失業率:前回3.8%(改定)、予想3.8%、結果3.9%(×)
平均時給
前月比:前回0.3%(改定)、予想0.3%、結果0.2%(×)
前年比:前回4.1%(改定)、予想4.0%、結果3.9%(×)
【米雇用統計】FRB再び笑顔、利下げ観測広がる-市場関係者の見方(Bloomberg)
【考察】
発表前:揉み合い。直前153.22。
発表後:全て弱い数値のサプライズ。ドル円急落で日足安値151.86付け(下落幅=153.22-151.86=1.36)。
しかし、切番152.00、日足レンジ高値151.86付近からの押し目買い強く、インフレ低下を好感したリスクオン株上昇(円キャリー促進)発生、加えて152.00付近への急落はドルを安値で買い損ねていた実需勢の好機となり急反発。
その後、下記経済指標やFRB要人タカ派発言も受けて153.08へ再上昇(約90%戻し)。
22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:4/21, 5/23, 6/23, 7/24, 8/23, 9/22, 10/24, 11/24, 12/15, 1/24, 2/22, 3/21, 4/23)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
サービス業:前回50.9、予想50.9、結果51.3(◎)
総合:前回50.9、予想50.9、結果51.3(◎)
【考察】強い数値。ドル円上昇。
22:45~要人発言
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:1/8, 1/17, 2/3, 2/12, 2/21, 2/27, 3/7, 4/2, 4/5, 4/10, 4/18, 5/3)
:政策スタンスは中立。前回4/18金融政策に関するコメントなし。
ボウマンFRB理事、インフレ率は「しばらくの間」高止まりへ(Bloomberg)
【考察】米国雇用統計(弱)を受けても追加利上げの可能性を残すタカ派発言。ドル円上昇。
22:57~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/5, 3/7, 3/8, 3/12, 3/15, 3/19, 3/21, 3/22, 3/26, 3/27, 3/29, 4/1, 4/2, 4/4, 4/5, 4/9, 4/11, 4/12, 4/15, 4/16, 4/17, 4/18, 4/19, 4/23, 4/25, 4/26, 5/3)
:前回4/26円安牽制発言
介入有無はコメント控える、行き過ぎた変動はならす必要-鈴木財務相(Bloomberg)
【考察】為替介入有無コメントなし。円安牽制発言。しかし、直前の米国PMI確報値(強)と米国ボウマンFRB理事タカ派発言の影響強く上昇継続。
23:00 経済指標
米国ISM非製造業景気指数(ISM Report On Business)
(過去の発表日; 5/3, 6/5, 7/6, 8/3, 9/6, 10/4, 11/3, 12/5, 1/5, 2/5, 3/5, 4/3, 5/2)
景気の先行指標として注目度大。
基準50、前回51.4(改定)、予想51.9、結果49.4(×)
・仕入価格:前回53.4、予想55.0、結果59.2(◎)、2024年1月以来の高値更新
・雇用:前回48.5、予想49.0、結果45.9(×)
・新規受注:前回54.4、予想54.5、結果52.2(×)
【考察】
発表前:米国雇用統計(弱)で日足安値151.86を付けると、切番152.00や日足レンジ高値151.86からの押し目買い、米国PMI確報値(強)とFRB要人タカ派発言で上昇。直前152.52
発表後:総じて弱い数値。初動152.17へ下押しするも、仕入価格サプライズ(強)のインフレ懸念から全戻しから153.08へ上昇し揉み合い。
1~4月度と異なり日足抵抗に届かず戻し発生。日足抵抗の戻しが強い為か上昇勢い収束しても、指標(弱)による再下落なし。
23:31~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:1/11, 1/12, 1/19, 2/2, 2/5, 2/14, 2/29, 3/1, 3/8, 3/25, 4/4, 4/8, 4/10, 4/12, 4/19, 5/3)
:政策スタンスは中立。前回4/19タカ派発言
「NFP17.5万人増は非常に堅実な報告」
「最近のインフレが再加速の兆候ではないという安心感が必要」
シカゴ連銀総裁、雇用統計「堅調」-こうしたデータさらに確認したい(Bloomberg)
【考察】米国雇用統計(弱)を受けても利下げ否定のタカ派発言。ロンドンフィックスに向けて上昇し153.08へ到達。
28:30 経済指標
IMM通貨先物4/30時点(ポジション推移)
円ショート縮小
【考察】円買い材料
28:26 要人発言
米国イエレン財務長官
イエレン氏、ファンダメンタルズはインフレ鈍化なお示していると指摘(Bloomberg)
【考察】インフレ鈍化示唆。ドル円反応なし
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.68
取引開始直後、日通し高値153.79を付けてからは前日の流れを引き継いで日通し安値152.72へ下落。その後、日本祝日の閑散相場かつ注目の米国雇用統計を控えて動意薄く、153.00前後をレンジ推移。
欧米マーケット:
欧州オープン後も、下値152.80~上値153.30付近のレンジ推移継続。
注目の米国雇用統計は全て弱い数値のサプライズ。日足安値151.86へ急落。しかし、152.00付近への急落はドルを安値で買い損ねていた実需勢の好機、インフレ鈍化を好感したリスクオン株上昇が生じて急反発、加えて米国PMI確報値(強)、米国ボウマンFRB理事、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁とタカ派発言の影響強く上昇。但し、153.00付近は戻り売りも強く引けに掛けて揉み合い。
日足終値152.98
【米国市況】米雇用統計後に円一段高、一時対ドル151円台-株は続伸(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い:
・米国PMI確報値(強)
・米国ISM非製造業仕入価格(強)
・米国ボウマンFRB理事、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のタカ派発言。
売り:
・5/1米国FOMC公表・パウエルFRB議長会見ハト派の影響継続
・米国雇用統計、米国ISM非製造業景気指数(弱)
・米国イエレン財務長官のインフレ鈍化発言
・原油先物価格下落
<円買い優勢>
買い:
・政府・日銀為替介入警戒
・日銀タカ派化観測
・IMM通貨先物4/30時点円ショート縮小
・原油先物価格下落
売り:
・米株上昇
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回6月12日公表:据え置き91.8%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ48.7%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
トレード
- 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
- 週足:4/29週、陰線形成中。上昇トレンド。
- 日足:5/2陰線。レンジ。
- 4H足:下降トレンド。
- 1H足:下降トレンド。
- 15M足:下降トレンド。
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足レンジ安値153.654をダウ上昇→目標4H足ダウ安値154.431
②ショート
(B)4H足ダウ安値154.431付近へ上昇→転換下落→目標4H足レンジ安値153.654
(C) (B)後、4H足レンジ安値153.654をダウ下落→目標日足安値153.058
5月通算:1勝1敗、勝率50.0%、+84.1pips
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